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真鍮のむし 永見緋太郎の事件簿 [読書・ミステリ]


真鍮のむし (永見緋太郎の事件簿) (創元推理文庫)

真鍮のむし (永見緋太郎の事件簿) (創元推理文庫)

  • 作者: 田中 啓文
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2014/03/12
  • メディア: 文庫
評価:★★★

主人公・永見緋太郎(ながみ・ひたろう)はテナーサックスの奏者。
天才的な腕前ながらも世事には疎く、天然キャラで飄々と生きている。
そして彼にはもう一つの才能があった。
不思議な出来事に出会うと、その謎を
するすると解き明かす見事な推理を披露するのだ。

永見が所属するジャズバンドのリーダー・唐島が
ワトソン役兼本編の語り手を務めている。
そんな二人の出会う事件を綴った連作ミステリの第3弾。


「塞翁が馬」
人気ドラマー・久米山が自伝を出版したところベストセラーとなり、
映画化が決定して唐島のバンドにも出演依頼が来る。
永見たちは、クライマックス・シーンのリハーサルに臨むが
最大のライバルだったドラマー・野際と対決する場面の
撮影に立ち会っていた久米山の態度が何やらおかしい・・・
永見の推理が過去の因縁に新たな光を投げかける。
でも、この真相は読んでて "痛そう"。
へんな意味ではなく、ホントに怪我したときの "痛み" を感じる。

「犬猿の仲」
ベーシストの生瀬とドラマーの東は、ともにジャズ界の大物だが
25年前にある事情から仲違いし、それ以来犬猿の仲となっていた。
その生瀬と東を競演させようという企画が持ちあがるが
最初のリハーサルで二人は衝突してしまう。
周囲はイベントの失敗を確信するが、なぜか永見は
二人のいさかいは "解決" できると言い出す・・・
ミステリと言うよりは人情話みたいなオチだが、読後感は心地よい。

「虎は死して皮を残す」
私淑する名トランペット奏者タイガー・ブロンソンが
生前使用していたトランペットを、全財産はたいて購入した唐島。
しかしその楽器を何者かに盗まれてしまう。
現場はマンションの37階、しかも楽器はまもなく
35階の非常階段で発見される・・・。
密室状況からの物体消失と、犯人の意外な動機など
本書でいちばんミステリ要素が強い作品かな。

この事件のラストで、唐島は思うところあって
本場アメリカのジャズ巡りに行くことを決意、
自分のバンドを解散して旅立つが、なぜか永見がついてくる。
よって、この後の3作は二人が旅先で出会った事件が描かれる。

「獅子真鍮の虫」
ニューヨークに到着した二人だが、
さっそく永見がニックという青年から泥棒と間違われてしまう。
乱闘騒ぎで気を失った唐島が目を覚ましたのはニックの部屋。
しかし彼の部屋からテナーサックスが盗まれてしまう。
盗難事件の背後に隠された事情というミステリ要素より、
奏者として独り立ちしたいニックの奮闘ぶりがメイン。

「サギをカラスと」
シカゴにやってきた二人。
シカゴ川に架かる橋の上でテナーサックスを吹いていた永見たちは
掃除夫をしている老黒人と知り合うが、彼が実は、ある日突然失踪した
伝説のクラリネット奏者ジョセフ・キンガンである可能性が・・・
ジョセフが失踪に至った理由を永見が明らかにする。
これもミステリというよりは、音楽がらみの "いい話" という感じ。

「ザリガニで鯛を釣る」
旅の最後はニューオーリンズ。住民すべてがジャズ好きで、
街中が音楽で溢れている描写が延々と続く。
唐島たちが巻き込まれる事件も深刻なものではないし
ミステリ要素は本書中でいちばん希薄かも知れない。
演奏を楽しむ人たちを観ていた唐島の心の中に、
もう一度バンドを組んでジャズをやりたいという気持ちが湧き上がる。

そして、この事件の後で二人は日本に帰ってくる。

「狐につままれる」
芸能界の大御所・バンビー田﨑がデビュー40周年を迎え、
その記念パーティーでは、かつて彼が率いていたグループ、
アントライオンズが再結成されるという。
そのバックの演奏を引き受けた唐島と永見だが
会場となったホテルの別室に展示されていた
田﨑のデビュー曲大ヒット記念<ゴールド・ディスク>が
何者かに盗まれてしまう・・・
これもまたミステリには違いないんだが、
人情や音楽にまつわる話が続いた後で「最後の最後でこれかよ!」
真面目な人なら怒り出しそうなトリックだなあ。
普通の人なら「ホントにこんなこと可能なの?」って思うだろう。
まあそれもまたこの作者の持ち味だけど。


いちおうの本書で完結らしいのだけど、
作者は「本書がバカ売れすればすぐに再開する」って
あとがきに書いてるので、
続きが読みたい人は頑張って買いましょう(笑)。


あと、各話の最後にジャズのアルバムについて
作者の蘊蓄が語られてるんだけど、
如何せん私は全くといって良いほどジャズに無知なので
さっぱり分からない。
ジャズ自体は嫌いではないのだけど、たまにYouTubeで聞く程度。

いつか、もうちょっと詳しくなりたいなあという
願望だけは持ってるんだが・・・

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プリズン・トリック [読書・ミステリ]


プリズン・トリック (講談社文庫)

プリズン・トリック (講談社文庫)

  • 作者: 遠藤 武文
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/01/17
  • メディア: 文庫
評価:★★

第55回江戸川乱歩賞受賞作。

千葉県市原市の交通刑務所内で、受刑者・石原が殺害される。
現場は密室状況で、さらに犯人と目される受刑者・宮崎は
刑務所を脱走していた。

宮崎は家族の住む長野県安曇野市にも姿を見せず、
さらには死体の顔が損壊されていたことから
石原と宮崎が入れ替わっている可能性が浮上する。

やがて、宮崎が収監される原因となった交通事故と
安曇野市の汚職事件とのつながりが明らかになり・・・


私のつけた評価が低いのはいくつか理由がある。

まず、物語の中でスポットが当たる人物が複数いて、
それが頻繁に入れ替わるので、事態の進行が分かりにくい。

 単に私のアタマが悪いだけかも知れないが。

脱走者の捜索に加わる刑務官・野田、
捜査を指揮するキャリア警察官僚・武田、
週刊誌の記者から保険会社の調査員へと転身した滋野、
細かいところでは要所要所で情報をつかんでくる捜査員もいて、
それぞれの視点でストーリーが綴られていく。

しかも、彼らの中に "主役" はいない。
というか全編にわたってそれらしき人物がいない。
強いて言えば主役は "犯人" なのだろうけど、
これも終盤近くにならないと明らかにならない
(もちろん、ミステリだからwww)。

そしてまた、見事なまでに彼らに感情移入が出来ない。
というか感情移入できるような描写がされてない。
むしろ、真相(動機)が明らかになるにつれて
"犯人" の側に感情移入できるようになってしまう。

終盤にはそれなりにサスペンス・シーンもあるのだけど
登場人物への思い入れが乏しいのであまりハラハラしないし。

そして最大の理由は、読後感がよろしくないこと。
詳しく書くとネタバレになるので明かせないけど
いわゆる "イヤミス" なのかとも思う。


私は、長編では特にその傾向があると思うんだが
登場人物に入れ込んで読む質(たち)のようで、
それができにくい作品は評価が低くなる傾向があるようだ。
そして、入れ込んだキャラが報われないとさらに評価が辛くなる。

日本最大のミステリの賞をもらった作品だけあって、
冒頭の密室トリックや人間の入れ替わりとか、
多彩な謎が作中に仕込んであって
ミステリとしての要素は十分に持ちあわせていると思う。

でもまあ、私の好みには合わなかったということで。

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人形遣いの影盗み [読書・ミステリ]


人形遣いの影盗み (創元推理文庫)

人形遣いの影盗み (創元推理文庫)

  • 作者: 三木 笙子
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2013/09/29
  • メディア: 文庫
評価:★★★

明治末の時代を舞台に
雑誌記者・里見高広と天才絵師・有村礼のコンビが
帝都・東京で起こる不思議な事件の謎を解く
<帝都探偵絵図>シリーズの第3作。

「第一話 びいどろ池の月」
人気芸者・花竜(かりょう)は、新橋の御茶屋『びいどろ』で働く傍ら
私塾に通いながら勉学に励んでいる。
そこで長野出身の素封家の娘・圭子と仲良くなるが
そんな頃、御茶屋の女中がひとり失踪し、
『びいどろ』を巡ってある "噂" が流れ始める・・・
この事件の背景にあるものは、現代でも変わっていない。
いつの世でも○○を求める人はいるということ。
それが悪いことだとは思わないが、手段が問題だよねえ。

「第二話 恐怖の下宿屋」
高広が住む下宿屋・聖修館を訪れた礼だが、あいにく彼は不在で
代わりに出迎えたのは下宿屋の主・梨木桃介(とうすけ)。
礼は、所用でそこに居あわせた二人の男、竹下と愛川と一緒に
昼飯を振る舞われるが、食事が済むと桃介から「食った分は働け」と
下宿の仕事のあれこれを手伝わされる羽目に・・・
ミステリではないけれど、桃介の何気ない好意が
続発していた空き巣事件を解決してしまうという
ある種ほのぼのとしたものを感じるコミカルな一編。

「第三話 永遠の休暇」
礼が絵を教えにいっている松平子爵家。
正室から生まれた嫡男・顕芳(あきよし)が病弱だったため、
妾腹である次男・顕昌(あきまさ)に家督を譲ったとされている。
しかし「兄は本当は "島流し" にされたのではないか」という疑惑を
顕芳の妹・雛(ひな)は抱いていた。
礼は高広に無断で真相解明を請け負ってしまうが・・・
作中で『ロビンソン・クルーソー』が採り上げられる。
懐かしいなあ。最初に読んだのは小学校低学年だったなあ。
しばし回想に耽ってしまったよ。

「第四話 妙なる調べ奏でよ」
高広は、ライバル誌の記者・佐野から意外な話を聞かされる。
最近、礼がいかがわしい料理屋に出入りしているらしい。
密輸や故買などがからむ犯罪の噂が絶えない店内で、
礼は3人の人間と会っている。しかもそのうち1人は外国人だという。
ミステリ好きなら、礼の思いもまあ分かるかなあ・・・

「第五話 人形遣いの影盗み」
養父にして司法大臣である基博から、ある調査を頼まれた高広。
政財界の実力者・田無和盛の奥方が突如 "影を盗まれた" と言いだし、
真っ暗にした寝室に閉じ籠もるようになってしまったという。
事の起こりは、爪哇(ジャワ)からやってきた
影絵芝居の一座を見学したことらしい・・・
文庫で約300ページの本書の中でその約1/3、100ページを占める。
最大の長さの作品だけあって、後半には事件の鍵を握る存在として
怪盗ロータスまで登場するというサービス満点な一編。

「第六話 美術祭異聞」
第1作『人魚は空に還る』第一話「点灯人」で初登場し、
前作『世界記憶コンクール』第三話「黄金の日々」で再登場した
東京美術学校の学生・森恵(さとし)くん、三度目の登場である。
学校あてに「美術祭の間、第六講義室を使用するな」という脅迫状が届く。
最初は悪戯だと考えられていたが、展示所に飾られていた絵の一枚が
滅茶苦茶に切り裂かれるという事件が起こる。
文庫化の際に書き下ろされたボーナストラックで
わずか30ページちょっとの長さだけれど
現場を一目見て真相を見破る高広の名探偵ぶりがいいし、
最後に明らかになる "人の思い" が胸を熱くする。
本書の中でこれがいちばん好きな作品だ。

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バチカン奇跡調査官 月を呑む氷狼 [読書・ミステリ]


バチカン奇跡調査官月を呑む氷狼 (角川ホラー文庫)

バチカン奇跡調査官月を呑む氷狼 (角川ホラー文庫)

  • 作者: 藤木 稟
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2014/09/25
  • メディア: 文庫
評価:★★★

カソリックの総本山、バチカン市国。
世界中から寄せられてくる "奇跡" 発見の報に対して
その真偽を判別する調査機関『聖徒の座』。

そこに所属する「奇跡調査官」である
天才科学者の平賀と、その相棒で
古文書の読解と暗号解読の達人・ロベルト。
この神父二人の活躍を描くシリーズの第9弾。
長編としては8作目になる。

FBI捜査官ビル・サスキンスは、第6作『ラプラスの悪魔』事件で
その途轍もない真相にすっかり打ちのめされてしまった。

閑職に追いやられたビルだが、新たな命令が下る。
ノルウェーの研究所で開発された、
画期的なテロ対策プログラムを受領してくること。

研究所のある場所は、山に囲まれた田舎町・オーモット。
そこに到着したビルだが、早々に騒ぎに巻き込まれる。
町の中央広場に突然轟音が響き渡り、つむじ風と赤い焔が駆け巡る。
そして、すべての光が消えて広場は暗闇に沈んでしまう。

さらに、広場近くの民家では氷漬けの凍死体が発見される。
現場となった部屋は、天井から無数の氷柱(つらら)が下がり
壁と床は一面の霜に覆われていたのだ。
北欧とは言っても当日の外気温は10℃を越えていて
決して寒冷な気象状況ではなかったのにも関わらず。

ごく短時間で部屋を凍結に至らしめた怪奇に
人々は北欧神話に伝わる、氷狼ハティの仕業と噂する。
そしてその氷狼は、町を囲む山の中腹にある
廃墟となったアウン城に棲むという・・・

しかし、被害者は何らかの陰謀で殺害されたと睨むビルは
バチカンにいるロベルトと平賀に救援を求める。


シリーズキャラクターにしてロベルト&平賀の宿敵である
ジュリア神父(らしき人物)の登場し、
やがて2人の調査によって、凍死した男・ケヴィンが
働いていた会社の裏の顔と、彼自身が抱えていた秘密が明らかになり、
さらには氷狼の正体を暴くべく、ビルを含めた3人は
アウン城に乗り込んでいく・・・
とまあこんな感じで、読者の興味をつないで最後まで飽きさせない。

シリーズに共通する特徴として、伝奇的な衣をまとっているけれど、
作中で起こる不思議な事件の背後には、意外なほど(失礼!)
最新の科学技術や知見を取り入れられていることがある。
今作ではケヴィンに関わる秘密あたりがそうだ。

カソリックをはじめとするさまざまな宗教や、
各種の神話や伝説にまつわる題材も頻繁に登場するし、
作者はかなり勉強も取材もしていることを窺わせる。

今回、いちばん大がかりなのはもちろん、
短時間で部屋を凍結させたトリックなのだが
これはもう分かってしまえばあまりにもベタなネタで、
"直球ど真ん中" と言っていい。
もし普通のミステリでこれを使ったら噴飯物だろう。
このシリーズだからこそ通用するネタだといえる。

短編ではけっこうオカルト・怪奇風味が濃いけれど
長編ではそれなりに(あくまでそれなりに、だけど)、
本書のように科学的で合理的な解釈が示される。

たまに "ハズレ" なときもあるのだが
"いい塩梅" で納まると楽しい読み物になる。

まさに現代版「怪奇大作戦」だと思う。

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パダム・パダム 京都府警平安署 新任署長・二条実房 [読書・ミステリ]


パダム・パダム: 京都府警平安署 新任署長・二条実房 (光文社文庫)

パダム・パダム: 京都府警平安署 新任署長・二条実房 (光文社文庫)

  • 作者: 古野 まほろ
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2015/07/09
  • メディア: 文庫
評価:★★★★

同じ作者の『天帝』シリーズに
準レギュラー出演している警察官僚・二条実房。
本書は、若き日の彼を主役としたシリーズの第2作である。

 ちなみに、変わったタイトルだけど
 これはフランス語で足音を表す擬音語らしい。
 日本語で言うと「どたどた」と「ぱたぱた」の間くらいかな。

東京帝國大学法学部在学中は学生運動に身を投じていた二条だが、
卒業後は真逆の道を選び、キャリア警察官となった。

前作では、新米警部補として着任した二条が
学生時代の親友で、いまは過激派組織『革命的人民戦線』の
幹部となった男・我妻と対決する様が描かれた。

そしてこの第2作では前作から5年後が描かれる。


1年半のロンドン留学を終え、警視庁へ戻ってきた二条のもとへ
京都府警平安署長への異動が示される。

京都では、3人の人間を殺害したシリアル・キラーが跳梁していた。
犯人は被害者の眼球をくりぬくことから
「眼喰鬼」(アイ・イーター)と呼ばれていた。

連続殺人犯の検挙を至上命令として着任した二条だが
その日の夜、4人目の被害者が出てしまう。
しかも殺されたのは警戒出動中の平安署員だった。

「奴は我々を本気で怒らせた」
仲間である警官を殺されたことに憤る二条は、捜査員たちを前に
平安署の威信を賭けた "総力戦" を宣言する・・・

 いやあ、このシーンの二条くんはホントにカッコいいよ。


縦割り組織の集合体であるから、ある意味当たり前なのかも知れないが
部門間の確執、意地の張り合いが半端ではない。
それを、なだめたりスカしたり逆に煽ったりして御していく上層部。
もちろん、現場で必死になって汗を流している警官たちの姿も
しっかり描く。彼らの活躍なくして解決はあり得ないのだから。

このあたり、元警察官僚の作者が書いてるだけあって、
内部の描写がとにかく分厚い。
ところどころに学生運動の闘士だった二条の過去も顔を出して
警察小説としての読み応えも抜群だ。


そしてミステリとしても、さまざまな謎が設定されている。

警察の厳しい警備をかいくぐっては犯行を繰り返す、
犯人の神出鬼没ぶりも謎なんだが
もっとも大きいのは、ミッシングリンクだろう。
一見して無差別のように殺されているが、
彼ら彼女らが被害者として選ばれた理由は存在するのか?
殺害されるに至った動機は? そして、なぜ眼球を奪うのか?


そしてそして、いちばん大きいネタは冒頭の十数ページにある。
ここで、なんと作者は犯人についての重大な情報を
読者に開示しているのだ。

「えー、こんなことここで書いちゃっていいの?」

この情報のおかげで、私はもう
犯人が分かったようなつもりになって本編に入ったのだけど・・・

しかし結果はどうか。
この情報はもちろん間違いじゃないんだが
それに囚われて、最後まで作者に
いいように引き回されてしまったように思う。

 そう考えたら、これは上手な "撒き餌" だったのだろう。
 いわゆる「肉を切らせて骨を断つ」ってやつですね。

 こんなにあからさまなんだから「これは絶対 "引っかけ" だぞ」って
 心の中で叫ぶ声もあった(笑)んだけど・・・

ラストで明かされる真相には十分に驚かされてしまった。
「分かっていてもだまされる」という経験はそうそうない。
もう脱帽、流石です。


最後に余計なことを。

前作の終盤で、二条は近い将来に結婚することを宣言したのだが、
本作ではその相手が明らかになる。
誰なのかはお楽しみだが、私は「どひゃあ」だったね。

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緑のカプセルの謎 [読書・ミステリ]


緑のカプセルの謎【新訳版】 (創元推理文庫)

緑のカプセルの謎【新訳版】 (創元推理文庫)

  • 作者: ジョン・ディクスン・カー
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2016/10/09
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

小さな町の菓子店で、商品に毒入りチョコレート・ボンボンが混入され、
それを食べた子どもが死亡する。

村の実業家、マーカス・チェズニーの娘マージョリーに
疑いの目が向けられるが、一家はそれから逃れるように
3ヶ月のヨーロッパ旅行にでかける。

マージョリーは旅先で出会った青年ジョージ・ハーディングと婚約し、
一家は帰国するが、相変わらず彼女を疑う声は消えない。

マーカスは疑惑を払拭すべく、自ら提案した心理学的なテストを
マージョリーやジョージをはじめ、親類・知人たちの立ち会いの下で行う。

しかしその中で行われた寸劇の最中、その場に突然登場した謎の人物に
青酸入りの緑色のカプセルを飲まされ、殺害されてしまう。

捜査に乗り出したのはロンドン警視庁のエリオット警部。
しかし彼もまた、チェズニー家と同時期にヨーロッパを旅行しており、
たまたま旅先でみかけたマージョリーに
想いを寄せるようになっていたのだった。

衆人環視の中での犯行なのに目撃者の証言はかみ合わず、
少ない容疑者にも関わらず犯人は杳として知れない。
そして、事件の一部始終を撮影していたフィルムに写っていたのは・・・

捜査と恋の板挟みになって悩む警部と
名探偵ギディオン・フェル博士が難事件に挑む。


複数の目撃者がいる殺人なのに、
一体何が起こったのかが一向に明らかにならず、
容疑者となり得る人物も決して多くないはずなのに
さっぱり真相の見当がつなかい。

そしてカーお得意の登場人物間の恋愛模様によって、
読者をどんどん引っ張って(引っ張り回されて)いく。
いやあ私もエリオットくんを応援してしまいましたよ。

そして、最後に明かされるシンプルな真相と意外な犯人。
だけど読んでいても気がつかないんだよねえ。
まあそれがプロなんだが。

そして、すっきりとすべてが収まるところに収まる。
いつも思うことだが、カーは本当に優れたストーリーテラーだ。

本書は作中で開陳されるフェル博士の「毒殺講義」で有名だけど
ミステリとしてももちろん一級品だ。

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アリス殺人事件 不思議の国のアリス ミステリーアンソロジー [読書・ミステリ]


アリス殺人事件: 不思議の国のアリス ミステリーアンソロジー (河出文庫)

アリス殺人事件: 不思議の国のアリス ミステリーアンソロジー (河出文庫)

  • 作者: 有栖川 有栖
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2016/06/07
  • メディア: 文庫
評価:★★

『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』をテーマに書かれた
6つの短編を集めたミステリ・アンソロジー。

とは言っても、各作家さんがそれぞれ別個に別媒体に発表したものを
集めたもので、『アリス』をテーマに競作したわけではない。

どういう基準で集めたのかはよく分からないけど
明確に『アリス』を感じる作品は少ないように思う。
解説にはいろいろ書いてあるんだけど、いささかこじつけ気味に
『アリス』と関連付けたような作品もあるような。

もっとも、一番大事なのは
収録作品がミステリとしてよく出来ているかどうかだ。


「ジャバウォッキー」有栖川有栖
火村助教授のもとへかかってきた一本の電話。
賭けてきた相手は山沖一世。工学部の学生だったときに
傷害事件を起こしたが、神経症を患っていたことから無罪となった。
拘置所で接見した火村のことを覚えていたらしい。
彼は何らかの犯罪を起こすことを仄めかす。
山沖が口にする、何の脈絡もないように思える単語の羅列から、
火村は彼の居所を推理しようとするが・・・

「白い騎士は歌う」宮部みゆき
蓮見探偵事務所を訪れた女性・宇野友恵。
彼女の弟・敏彦が強盗殺人を起こし、逃走中だという。
友恵の依頼は敏彦を捜すことではなく、犯行の動機を知ること。
蓮見所長の娘・加代と、引退した元警察犬・マサのコンビが
活躍する連作の一編で、犬であるマサの一人称で進行する。
宮部みゆきの初期の作品で、この頃の彼女は
こういう "素直な" ミステリを書いてたんだねえ。

「DYING MESSAGE 《Y》」篠田真由美
ある夜、高校二年生の蒼は同級生のヒロとともに聖ルカ学院を訪れる。
ヒロがネットで知り合った少女・Emiと会うためだ。
しかし学園内にある宣教師館で、Emiは何者かに殺害される。
そして2年後、宣教師館の取り壊しが決まったことを知った蒼は
ふたたび聖ルカ学院を訪れる。犯人と対決するために。
建築探偵桜井京介シリーズの番外編で、
レギュラーキャラクターの一人である蒼(あお)くんが主役で
かつ探偵役も務める、スピンオフ作の一編。
タイトルにもあるように、もともと『Yの悲劇』をモチーフにした
競作アンソロジーの収録作からの転載。
"アリス要素" も出てくるけど、"Y要素" のほうがかなり多め。

「言語と密室のコンポジション」柄刀一
宇佐美護博士は、ある日突然異世界に迷い込んでしまう。
頭が考えたことが現実化する世界で起こった殺人事件を
宇佐美博士は解きほぐすことができるのか・・・
うーん、こういうメタ的な設定を持ち込んだミステリって苦手です。

「不在のお茶会」山口雅也
いずことも知れない不思議な空間に集められたのは
植物学者、作家、精神科医。
どうやら彼らは16歳の少女・アリスを殺した者を
見つけるために呼ばれたらしいのだが・・・
これも上の「言語のー」と同様、よく分かりません。

「鏡迷宮」北原尚彦
オペレッタ『鏡の国のアリス』の幕が開いたとき、
主演を務めていたあたしは、
本物の『鏡の国』へと入り込んでしまっていた。
そこには作者のドジスン教授(ルイス・キャロル)まで現れて・・・
いやあ、これこそ "アリス・ミステリ" だと言われれば
その通りなのだけど、私の好みに合うかというとそれはまた別問題。


本書の評価が低いのは、前半の三作が
原典『アリス』との関連の度合いはともかく
ミステリとしては良く出来ているのに対し、
後半のファンタジー要素を取り入れた三作が
今ひとつ私の好みに合致しないせい。

ファンタジー要素が悪いわけではないけれど、
その世界でのお約束ごとのもとにその世界ならではの解決を示し、
なおかつ読者を十分に納得させるのは、至難の業なのだと思う。

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大正箱娘 怪人カシオペイヤ [読書・ミステリ]


大正箱娘 怪人カシオペイヤ (講談社タイガ)

大正箱娘 怪人カシオペイヤ (講談社タイガ)

  • 作者: 紅玉 いづき
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/03/22
  • メディア: 文庫
評価:★★★

17歳の新米新聞記者、英田紺(あいだ・こん)と
"神楽坂の箱娘" こと、回向院(えこういん)うらら。
大正の世を舞台に二人が出会う怪事件を描いたシリーズ、第2作。


「第一話 箱薬」
『箱薬』なる怪しげなものが流行っていた。
それは万病に効き、治せぬ病はないという。
『箱薬』の出所を追う紺は、異国の血を引く少年・治太(はるた)、
そして治太が "先生" と慕う老人・沖寛斎と知り合う。

「第二話 薄幸佳人」
怪人カシオペイヤ。義賊とも悪党ともつかない謎の人。
彼が狙うものは金銀財宝ではなく、その場所や人が抱える "秘密"。
標的と新聞社に予告状を送りつけ、秘密を暴き立てることによって
"彼" は世間の人々から熱狂的に迎えられていた。
ある日、紺は降旗公爵家が所有する屋敷・吉祥邸を訪れる。
そこに住む公爵の子息・瑶介が
新聞社の挿絵の仕事を請け負っていたからだ。
そこで出くわしたのは "放蕩子爵" こと時村燕也(えんや)、
そして怪人カシオペイヤから瑶介のもとに
予告状が届いていたことを知る。「吉祥邸の秘密を暴く」と。

「第三話 怪人カシオペイヤ殺人事件」
怪人カシオペイヤから新たな予告状が送られた。
清武製薬の新薬発表会に参上するという。
不本意ながらも、燕也のはからいで発表会に潜入を果たした紺だが
会場のシャンデリヤが突如落下し、清武社長の次男・二郎が死亡する。
そして彼の服の胸元からは、
怪人カシオペイヤの着けている仮面が発見されたという。
殺人容疑が燕也にかけられようとしたとき、
"悪食警部" こと室町希彦が現れる。


三話構成だが、内容的には連続していて
箱薬の話も吉祥邸の話も、すべて第三話の伏線になっている。
そのせいか、第三話はレギュラーキャラ総出演である。

それぞれの登場人物の人となりも深く描写されるようになり、
今回は子爵の三男坊、時村燕也がクローズアップされている。

第1巻での登場時は、画に描いたような
"貴族出身を鼻にかけた傍若無人でイヤな奴" だったのだが
本書「第二話」における瑶介との間の友情描写、
そして「第二話」から「第三話」にかけての
紺との関わりあいを通して、けっこう情に厚く、
骨太な信念も持っている人物であることが分かってくる。
(滅多に見せないが) "優しさ" もないわけではない(笑)。
今後、紺との関係性がどう変化していくのかも興味深い。

怪人カシオペイヤの正体については、これも
いろいろ出てくるのだが、結局の所は判然としない。
これも次作以降に持ち越しだろう。

そしてそして、"箱娘"・回向院うららの正体もまだ不明のまま。
どうやら意外と背後関係は複雑で、この時代の日本における、
"国家の暗部" に繋がるものを持っていそうなんだが・・・
これもまた今後のお楽しみだろう。

何だかんだ言って、次作も買ってしまうのだろうな・・・(笑)。

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大正箱娘 見習い記者と謎解き姫 [読書・ミステリ]

大正箱娘 見習い記者と謎解き姫 (講談社タイガ)

大正箱娘 見習い記者と謎解き姫 (講談社タイガ)

  • 作者: 紅玉 いづき
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/03/17
  • メディア: 文庫
 

評価:★★★

時は大正。
主人公・英田紺(あいだ・こん)は17歳の新米新聞記者。
そして紺が出会う怪事件の謎を解き明かすのは、
"神楽坂の箱娘" こと、回向院(えこういん)うらら。
箱のようなつくりの、通称 "箱屋敷" に住む謎の少女だ。

タイトルから想像されるような
「箱入り娘と新米記者の探偵譚」みたいな、
ライトノベル的な雰囲気はほぼ皆無で、どちらかというと
横溝正史や江戸川乱歩に近い、暗く重い話が展開していく。


「第一話 箱娘」
地方の旧家から、紺の勤める新聞社に舞い込んだ手紙。
由緒ある甲野家の蔵から "呪いの箱" が見つかったという。
箱自体は両手で持てるほどの寄せ木細工のもの。
取材に訪れた紺に、甲野家の嫁・スミは語る。
「夫は、この蔵で、腹に刀を刺して死んだ」と。
殺人か自殺か。それとも "祟り" なのか。
取材を終えても心残りが晴れない紺は、
神楽坂にいるという "箱娘"、回向院うららを紹介される。
「うちに開けぬ箱もありませんし、閉じれぬ箱も、ありませぬ」
うららが開いた "呪いの箱" の中にあったものは・・・

「第二話 今際(いまわ)女優」
戯曲家・扶桑牧ヲ(まきを)の服毒死体が発見される。
『この戯曲を我が生涯の最高傑作とす』との言葉とともに。
しかしその戯曲『伊勢恋情』の最終稿が見つからない。
そして『伊勢恋情』のヒロインを演じる
女優・出水(いずみ)エチカは言う。
「あたくしが殺したのよ・・・」

「第三話 放蕩子爵」
演劇『伊勢恋情』が火付け役となり、帝都に心中事件が流行り出す。
そんな折り、紺は『文通心中』と呼ばれた事件の取材をすることに。
豪商・丸岡家の次女・佳枝(かえ)が文を送り続けた相手は
姉・潔子(きよこ)の婚約者にして時村子爵家の三男坊・燕也(えんや)。
しかしその思いが通じることはなく、佳枝は自ら命を絶った。
紺は燕也に会うため、時村家を訪れるが・・・

「第四話 悪食(あくじき)警部」
第一話で登場した甲野スミから、ふたたび紺の元へ手紙が届く。
何らかの助けを求めているらしい。
彼女は "呪いの箱" 事件の後、
遠縁の男性と再婚してすでに身重の体となっていた。
しかし紺が甲野家へ到着した直後、
スミが蔵の中で腹に刀を刺された状態で発見される。
そこへ乗り込んできたのは警視庁の室町警部。
その強引な捜査ぶりから "悪食警部" とあだ名される男だった・・・


実は、このシリーズの続編「大正箱娘 怪人カシオペイヤ」も
既に読んでるんだけど、2作めの内容をふまえて本書をみてみると、
1作めということもあってか、人物紹介と伏線張りがメインになってる。
紺の上司・小布施、放蕩子爵・時村燕也、
悪食警部・室町稀彦(まれひこ)と、2巻以降にも登場する
レギュラーキャラの顔見せ編ともいえる。

次巻でメインを張る怪人カシオペイヤも、
名前だけだが本書にも登場している。

主人公・英田紺にしても、実は悲しい過去の経緯から、
ある "秘密" を抱えて生きているのだけれど
そのあたりはこの第1巻でほぼ明かされる。

しかし問題は "箱娘" ことうららの方だ。
こちらはページが進むほど、巻が重ねるごとに
謎が深まっていく感じである。
なぜ "箱屋敷" にたった一人で暮らしているのか?
(もっとも、身の回りの世話をする使用人が一人だけいるが)
両親は、兄弟姉妹はいないのか?
そして最も大きい謎は彼女の "正体"。
どうやら背後に○○の存在があるようなのだが・・・


そして、本シリーズの雰囲気を決定づけているのが "時代" と "女性"。
明治から大正へ世は移っても、女性の地位はまだまだ低く、
旧態依然とした「家」という名の "箱" に
押し込められることが宿命づけられている。
彼女たちの悲しみ、怒り、屈辱感、閉息感、そして諦観。
そんな女性たちが引き起こす事件の数々を解決するのが、
これまた "箱" から逃れられない "箱娘"・うらら。
これはそういう話なのだ。

表紙のイラストのかわいさだけで読み始めると、
内容の重さとのギャップに戸惑うだろう。

実は私もそうだった(笑)。

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放課後スプリング・トレイン [読書・ミステリ]

放課後スプリング・トレイン (創元推理文庫)

放課後スプリング・トレイン (創元推理文庫)

  • 作者: 吉野 泉
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2016/02/27
  • メディア: 文庫

評価:★★★

主人公は福岡市内の学校に通う女子高生・泉。
彼女の周りで起こる不思議な事件をつづった、
"日常の謎" 系連作ミステリ。

「放課後スプリング・トレイン」
 2年生への進級に伴うクラス替えで、
 泉はモデル並の容姿とパワフルな行動力を併せ持つ
 朝名(あさな)と友人になる。
 ある日、泉は朝名から「彼氏を紹介するから一緒にきて」と誘われる。
 驚きながらも朝名に同行するが、その途中の鉄道の車内で
 二人はある女性の不思議な行動に出くわしてしまう。
 朝名の彼氏は小学校の新任教師・上原。そして一緒に現れたのは
 彼の友人で国立Q大学の院生・飛木(とびき)。
 飛木は泉たちの話から、女性の行動の意味を解き明かす。
 表題作兼登場人物の紹介篇、のわりには
 ミステリ的なネタがいまいちな感も。

「学祭ブロードウェイ」
 6月を迎え、泉たちの通う高校は文化祭。
 彼女のクラスは文化祭における「屋台権」(食品を販売する権利)
 のくじ引きに外れ、演劇を行うことになった。
 演目はクラスを二つに分け、
 「眠れる森の美女」と「シンデレラ」を上演することに。
 文化祭準備の熱気と混沌の中、演劇の練習は続く。
 そして文化祭の当日。
 楽屋として使用されていた部屋が荒らされ、
 シンデレラの衣装がなくなるという事件が起こる。
 しかし、泉たちから観客として招かれていた飛木は
 事件の裏に隠された事情を見抜いてしまう・・・
 明かされてみると、たしかに高校で起こりそうで、
 しかも高校でしか起こらないであろう事件だったりする。
 本書ではいちばんミステリ寄りな作品かな。

「折る紙募る紙」
 女子水球部というなかなかレアそうな部活に所属している泉さん。
 練習試合の紅白戦で負けてしまった彼女は、
 罰ゲームとしてボランティア部の募金活動へ応援参加することに。
 同じ水球部員の芽衣子とともに3日間の街頭募金に参加した泉。
 しかしボランンティア部の部長・徳永と芽衣子の行動に
 不審なものを感じ始めた泉は、飛木に相談するが・・・
 泉のクラスでの席替えで使用された "色紙" という
 二つの "謎" をうまく組み合わせて構成されてる。
 募金とかボランティア活動とかいうものについて
 いろいろ考えさせられる話にもなってる。

「カンタロープ」
 朝名と、その彼氏である上原先生の間がうまくいっていないらしい。
 心配になった泉は、飛木と一緒に上原の勤務する小学校へ向かうが・・・
 ミステリとしては、上原の抱えた悩みを飛木が解決するわけだが
 本書の最後におかれた本編で、今までの3編に "織り込まれて" いた
 ある "仕掛け" が明らかになる。


泉たちの通っている高校の描写がいい。
生徒たちのキャラも立ってるし、実に楽しそうに高校生活を送ってる。
授業風景とか試験の様子を読んでると、彼女らの通っている高校は
かなりハイレベルな進学校であることが伺われる。
このまま行けば泉は、難関であるQ大へ進学しそうだ。
(作中では明言されないけどQ大は明らかに九州大学のことだろう)
飛木は理学、それも生物学専攻の院生らしい。
泉さんも理系らしいので、理学部に入って彼の直系の後輩になりそう。

どうでもいいことなんだけど、読んでいて気になったのは、
ミステリ的な内容よりも、朝名の彼氏のこと(笑)。

上原先生は、朝名さんの元家庭教師だったという。
おいおい、ふつう女の子に男の家庭教師はつけないだろー、
ネコに鰹節じゃねえか・・・なぁんて
しばしイケナイ妄想に耽ってしまいそう(笑)。
 まあ、それだけ上原くんが朝名の親から信頼されてたってことか。
 家族ぐるみでお付き合いがあるのかも知れないしねぇ。
実際、作中での彼の描写は、画に描いたように真面目で誠実そのもの。
大学もたぶん国立Q大(おそらく飛木と同級生なんだろう)。
 まあ、親はくっつくならそれでもいいと思ってたのか。

それにしても、進学校に通っていてモデル並みに美人な
高校二年生を彼女に持つなんて、上原先生が羨ましすぎる(爆)。

 いけませんねぇ。還暦も近いというのに全く煩悩が抜けてない(笑)。

もし続編があるのなら、
大学生になった泉さんと院生の飛木くんという
"理系カップル" の活躍が描かれるのだろう。
それも読んでみたいと思う。

あ、朝名さんと上原先生の "その後" もぜひ(笑)。

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