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村上海賊の娘 全四巻 [読書・歴史/時代小説]

村上海賊の娘(一) (新潮文庫)

村上海賊の娘(一) (新潮文庫)

  • 作者: 和田 竜
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/06/26
  • メディア: 文庫




村上海賊の娘(二) (新潮文庫)

村上海賊の娘(二) (新潮文庫)

  • 作者: 和田 竜
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/06/26
  • メディア: 文庫




村上海賊の娘(三) (新潮文庫)

村上海賊の娘(三) (新潮文庫)

  • 作者: 和田 竜
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/07/28
  • メディア: 文庫




村上海賊の娘(四) (新潮文庫)

村上海賊の娘(四) (新潮文庫)

  • 作者: 和田 竜
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/07/28
  • メディア: 文庫



評価:★★★★☆

戦国時代を舞台にした小説って、案外読んでないかなあ。
もともと時代小説ってジャンルに疎いし。
山田風太郎とかの伝奇小説ならけっこう読んでるけど
正統派な時代小説っていったら
記憶にあるのは『国盗り物語』(司馬遼太郎)くらいかなあ。

ドラマはまあまあ見たかなぁ。
NHK大河で戦国時代を扱った奴はたぶんだいたい見てる。

だから、私の戦国時代の知識は小説とドラマから得たものばかり(笑)。
そんなトンチキな私でも「村上水軍」くらいの名は知っている。

小説やドラマでも時折出てくるのだけど、
よく考えてみたら「水軍」の何たるかを何も知らない。

「水軍」と言うなら、どんな船に乗ってて
どんな武将が率いていてどんな戦い方をしているのかとか、
戦のない時はどうしているのかとか、
だいたい何処を根拠地にしていたのか。

本書はそんな疑問にも答えてくれるありがたい小説なんだけど
もちろんそれだけではない。

たいていの戦国時代小説は、一人の武将にスポットを当て、
その一生を追っていくものが多いと思う(私の思いこみかも知れんが)。
本書は武将ではなく、一つの合戦に焦点を当ててそれだけを描いている。
だからこの小説、物語の開始から終了までが(たぶん)2~3ヶ月くらい。
つまり長い戦国時代のうちの "一瞬" を切り取った作品なのだ。


時は天正4年(1576年)、織田信長は足利義昭を奉じて上洛を果たし、
前年には長篠の地で武田軍を粉砕、さらに西へ勢力を伸ばすべく
大阪の地で本願寺信徒との激しい戦いを繰り広げていた。

瀬戸内海西部、芸予諸島(しまなみ海道の通っているあたり)の
因島を本拠とする村上家は、
瀬戸内の海運を支配し、強勢を誇っていた。

その当主、村上武吉の娘・景(きょう)が本書のヒロインである。
性格は男勝りで豪放磊落・粗野粗暴。
じゃじゃ馬ぶり丸出しで海賊稼業に明け暮れている。
さらに "醜女" とあって、当年とって20歳ながら嫁のもらい手もない。

 当時、娘が20歳で未だ独身なら十分に "嫁き(いき)遅れ" だろう。
 現代でそんなこと言おうものならセクハラ発言だろうけど。

しかしそんな景に縁談が持ち上がる。
村上水軍を取り込みたい毛利家から、
直臣・児玉就英(なりひで)の嫁にとの申し出があったのだ。

交渉の場に現れた就英のイケメンぶりに一目惚れしてしまう景。
面食いなあたり、しっかり乙女な景がとても可愛い。
しかし残念ながら交渉は決裂、せっかくの縁談も流れてしまう。

 このあたりはラブコメ調でとても楽しく読める。

折りもおり、織田勢に囲まれて孤立無援の大阪本願寺を救援すべく
信徒の一行が乗り込んだ船を助けた景は、
彼らと一緒に大阪へ同行することにする。

 センチメンタル・ジャーニーですかな。

大阪の地へと着いた景は、織田方の水軍である
眞鍋海賊の当主・七五三兵衛(しめのひょうえ)と出会う。
驚くべきことに、眞鍋家をはじめとする大阪の男どもは、
景のことを "たぐいまれな別嬪" ともてはやすのだった。

時と場所が異なれば、美の基準もまた異なるものだが、
南蛮人に触れる機会の多かった大阪の人間から見ると、
彫りの深い顔つきの景は「エキゾチックな美女」に見えるらしい。
(たぶん現代なら充分に "個性的な美人" で通る顔立ちなのだろう)

すっかり気をよくした景は大阪で羽を伸ばすが
織田勢が本願寺を攻めたことをきっかけに眞鍋家と決別、
傷心を抱えて因島へ帰ることになる。

ここまでが前半のあらすじ。
後半に向けてのキャラ紹介も兼ねているのだろう。


後半ではいよいよ木津川合戦へと突入するのだが
かつては景にぞっこんだった七五三兵衛、そして眞鍋海賊は
村上水軍にとって最大最強の敵として
景たちの前に立ちはだかることになる。

驚くべきことに、三巻の末から四巻にかけて、
ほぼ文庫で350ページくらいが合戦シーンで
しかもそのすべてが海上戦。
質・量ともにボリュームたっぷりである。

 福井晴敏の『終戦のローレライ』文庫版(全四巻)も、
 最終巻がほぼ全部、最終決戦だったことを思い出したよ。

陸の合戦はイヤと言うほど読んできたが、
本書における海戦は新鮮さ抜群。
いやあこんなことができるのか、こんな武器を使うのか。
戦術的にも目新しいのだけど、何といっても
敵味方問わず "海の男" の武者魂というものが凄まじい。
ここで描かれる "男たちの戦い" は一読の価値がある。

客観的に見れば "馬鹿" とか "阿呆" の一言で
切って捨てられてしまうのだろうけど、
読み進むうちにまさにその "戦(いくさ)馬鹿な男たち" が
いっそ清々しく、そして愛おしくなってくる。
ここまで来ると、もうページを繰る手が止まらない。
圧巻とはまさにこのことだろう。

もちろん、その中において景もまた激闘を演じる。
百戦錬磨の屈強な男どもに対して一歩も引かず、
満身創痍になりながらも最後まで戦い抜いてみせる。
戦国時代小説史上、最強のヒロインといっても過言ではあるまい。

ベストセラーになったのも納得の傑作だ。


小早川隆景や雑賀孫市といった有名武将も登場し、
とくに孫市は単なる顔見せではなく、重要な役回りをこなす。
そのあたりも楽しく読める要素だろう。

 私の脳内映像では、孫市は林隆三の声で喋るんだなあ・・・
 わかるかなあ・・・
 わっかんねえだろうなあ・・・ by 松鶴家千とせ(笑)

これだけ話題になった本なので、
当然ながら「映画化」なんて話も出てくるだろう。
もしそうなるなら、なにぶん長大な話なので、
最近流行の二部作がいいんじゃないかな。
前編で景の最初の大阪行きを描き、後編で木津川合戦そのものを描く。
でも海戦シーンはスケールが大きすぎて予算が心配だなあ。


個人的には、ぜひアニメ化してほしいと思う。
深夜アニメで30分×24話ならちょうどいい分量じゃないかなぁ。
ヒロインのCVは、もちろん小清水亜美さんで(笑)。

いや、冗談でなく彼女ならぴったりだと思うよ。


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コルトM1851残月 [読書・歴史/時代小説]

コルトM1851残月 (文春文庫)

コルトM1851残月 (文春文庫)

  • 作者: 月村 了衛
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2016/04/08
  • メディア: 文庫



評価:★★★☆

タイトルのコルトM1851とは、
アメリカの銃器メーカー・コルト社が1851年に発売した拳銃のこと。
目次の次のページにこの銃の図解も載っている。

文庫版の表紙では、髷を結った町人風の男が
この銃を手にした姿が描かれている。
つまり、時代劇にこの銃は登場するのだ。
時期的には矛盾はしないものの、
これはちょっとしたインパクトだった。


江戸時代も最末期、明治維新までほんの15年ほどの1853年が舞台。

江戸の廻船問屋・三多加屋の番頭・郎次は
堅気の商人を勤める一方、江戸の裏金融を牛耳る
儀平一家の大幹部でもあった。
人呼んで「残月の郎次」。

そして彼にはもう一つ、人に知られぬ秘密があった。
それは "商売上" の邪魔者を、
6連発式の拳銃で密かに "始末" していること。
死体は必ず、人目につかぬよう "処理" しているため
誰も郎次が銃を使ったことに気づかない。

周囲の者たちは、郎次が凄腕の殺し屋と手を組んでいると見ている。
郎次自身もそれを否定せず、
親分の儀平にすら拳銃のことを明かさないできた。

おかげで組織内での出世も順調で、
郎次のことを儀平の跡目を継ぐ候補者の一人とみるものもいた。
しかし順風満帆な日々はある日突然に断ち切られる。

郎次は組織の金をかすめ取った女・おしまを始末しようとするが
なぜか儀平はそれを黙認しようとする。

おしまの言動を腹に据えかねる郎次。
このままでは示しがつかないと、彼女を殺してしまう。
しかしそれを知った儀平によって、
郎次は閑職に追いやられてしまうのだった。

このままでは終われない。
失地回復をもくろむ郎次は、儀平の意図を探り始めるが・・・


現在の物語と並行して、郎次の生い立ち、
そして彼が拳銃を入手した経緯などが語られていく。

幼い頃に家族を失った悲惨な経験。
身寄りのない自分を引き取り、一人前に育ててくれた儀平。
しかしその儀平の真意はいずこにあるのか。


やがて明らかになる儀平一味の陰謀、
そして郎次の家族を死に追いやった真相。
組織にも裏切られて、自分はとことん孤独であったことを
今更ながらに思い知る郎次。

屈辱と失意の中、郎次は組織から離れ、
生き残るために儀平と全面対決する道を選ぶ。


クライマックスでは、郎次は儀平の潜むアジトに対して
拳銃一丁だけを手に急襲をかける。
しかしそれを予想していた儀平は、
圧倒的な "戦力" を用意して待ち受けていた。

まさに絶体絶命かと思われたが
郎次はその状況を逆利用して、次々に儀平の手下を倒していく。
このあたりはハリウッド映画的な
派手なアクション演出でぐいぐい読ませる。

そして物語は、いかにも "ノワール" なエンディングを迎える。


月村了衛って好きな作家さんなんだけど
ノワール小説は私の守備範囲外。
というかはっきり言って苦手。

 かなり昔だけど馳星周の『不夜城』を読んで
 やっぱりノワールは受け付けないなあ・・・って思った。
 ところがその馳星周が本書の解説を書いていたりする(笑)。

そんなわけで、読み通せるかちょっと心配だったんだけど
最後までそれなりに楽しんで読めたよ。
だけど、あのラストはやっぱり好きになれなかったなあ・・・


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吉野太平記 上下 [読書・歴史/時代小説]

吉野太平記〈上〉 (時代小説文庫)

吉野太平記〈上〉 (時代小説文庫)

  • 作者: 武内 涼
  • 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
  • 発売日: 2015/12
  • メディア: 文庫




吉野太平記〈下〉 (時代小説文庫)

吉野太平記〈下〉 (時代小説文庫)

  • 作者: 武内 涼
  • 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
  • 発売日: 2015/12
  • メディア: 文庫



評価:★★★☆

足利尊氏が室町に幕府を開いてからおよそ100年。

大覚寺統を報じる一派、いわゆる後南朝は、
いまだ吉野の地にこもり、幕府そして北朝への抵抗を続けていた。

1443年に起きた禁闕(きんけつ)の変で、
三種の神器の一つ・勾玉を奪取した後南朝側は、
大覚寺統の末裔・自天王を「帝」と仰ぎ、反撃を開始した。

戦乱を防ぎ、皇統をふたたび一つにする糸口を探るべく、
近衛関白は後南朝内部の和平派との接触を図る。
その使者に選ばれたのは
将軍・足利義政の妻である日野富子の妹、幸子であった。

その護衛を命ぜられたのは忍軍村雲党の棟梁・村雲兵庫。
幕府に不満を抱く貧乏公家の娘に扮した幸子とともに、
敵地である吉野の山地奥深くへと分け入っていく。

しかし、幕府の実権を握る伊勢守貞親は、
後南朝勢力の根絶を狙って、戸隠忍軍による別働隊を送り込む・・・


読んでいて思いだしたのは、著者のデビュー作「戦都の陰陽師」。
ヒロインがある目的を持って敵地に乗り込んでいく、
忍者のチームが護衛につき、その頭領に想いを寄せていく、
ストーリーのほとんどが深い山中で進んでいく、など
共通するモチーフも多い。

ただ、このブログで「戦都の陰陽師」を採り上げた時、
けっこう文句を書いたんだよねぇ。

「護衛の忍者たちの内面描写が少ない」とか
「山の中を逃げ回ってるシーンが長い」とか
「もっと戦闘シーンをじっくりと」とか・・・

でも今回は大丈夫。

護衛のメンバーを、兵庫を含めても4人に絞ったせいか
それぞれの過去や心理描写も丁寧に描かれたし、
主人公一行は確かに逃げ回ったけど、
一方的にやられっぱなしになってないし、
兵庫が手練れの敵と戦うシーンも、危機に陥るシーンも
たっぷり描いてあるし。

それに加えて、敵キャラにまでドラマを用意してある。
南朝再興に執念を燃やす謀将・楠木不雪。
戦い続ける日々に疑問を抱き、さらには
自らがもつ "ある秘密" に葛藤する自天王。
敵陣営内の人間模様も読みどころの一つだ。

デビュー作と比べると、
かなりの進歩を感じる出来になっていると思う。


しかしながら実際の歴史に題を採った小説である以上、
史実から大きく離れた結末は許されない。

それはまあ歴史小説の宿命ではあるのだろうけど、
本書の中で終始一貫して平和を願っていた幸子が、
この物語が終わった「後」に辿る運命を史実から追ってみると
そのあまりの落差に驚き、ちょっと切ない気分になったよ。


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忍び道 利根川 激闘の巻 [読書・歴史/時代小説]

忍び道: 利根川 激闘の巻 (光文社時代小説文庫)

忍び道: 利根川 激闘の巻 (光文社時代小説文庫)

  • 作者: 武内 涼
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2015/09/09
  • メディア: 文庫



評価:★★★☆

時は元禄16年(1703年)、将軍・綱吉の治世。
公儀隠密の "劣化" を憂う老中・小笠原佐渡守によって設立された
"忍者養成学校"・妙義山学問所。
13歳の一平をはじめ、関八州から集められた
"忍びの資質" を持つ子どもたちは、厳しい訓練に明け暮れている。

隠密の "復活" を嫌う一部の幕閣は、
凶悪な盗賊集団へと墜ちた風魔衆と手を結び、
学問所を取りつぶすべく策を巡らす。
その攻防を描いた前巻に続く、シリーズ第2巻。


風魔衆から入手し、今は学問所の運営資金として管理されている
2000両の小判を、江戸の伊賀組屋敷へ移送する計画が持ちあがる。
予想される風魔の襲撃を躱すため、商家の一行に扮することにし、
子どもたちからも、特に秀でた者が6名同行することに。

選ばれたのは座学・体術共にバランスよく習熟した一平、あやめ、雪。
素早い身のこなしに優れるつぎお、膂力にまさる雲三郎。
そして座学で傑出し人格的にも優れた辰之進の6名。

学舎長・百地半太夫は商家のご隠居、師範4人も使用人に化け、
総勢11名は2つの千両箱とともに利根川を下り、一路江戸を目指す。

かつて11歳で伊賀流忍法をすべて会得し、
半太夫に「もはや教えることは何もない」とまで言わしめた
天才忍者・依那具ノ四方介(いなぐの・よものすけ)。

23年前、大老・酒井忠清謀反の噂を探りに上州厩橋藩に潜入したまま
消息を絶った四方介が、2000両を追う風魔衆の一人として姿を現した。
すべては、自分を "捨て駒" にした半太夫に復讐するために・・・


子どもたちの修行がメインだった前巻とはうって変わり、
今回は実戦だ。風魔衆による "本気モード" な襲撃が描かれる。
(前回が手抜きだったというわけじゃないが)
風魔衆が繰り出す罠また罠の連続に
師範たちは斃れ行き、子供らも傷ついていく。
タイトルの「激闘の巻」に偽りはない。

このあたり、往年の白土三平の忍者マンガを彷彿とさせて
私くらいの世代には懐かしい雰囲気もある。

少しずつリーダーとしての資質を開花しつつある一平のように、
子どもたちも成長はしているのだけど、やはりまだまだ力不足。
自らを護るのに精一杯で、事態の推移を見守るしかないシーンも多い。
彼らの本格的な活躍は次巻以降へのお預けだろう。


どうでもいい話だけど、今回は主な舞台が利根川とあって
埼玉県出身の身としては、なじみの地名がたくさん出てきたのは
単純に嬉しかったよ。


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神子上典膳 [読書・歴史/時代小説]

神子上典膳 (講談社文庫)

神子上典膳 (講談社文庫)

  • 作者: 月村 了衛
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/11/13
  • メディア: 文庫



評価:★★★☆

「凶悪なる敵から、亡国の美姫を守って戦う孤高の戦士」

本書のストーリーをざっくり書くとこうなるが、
この一行から連想される物語と本書との落差は大きい。


時は戦国末期、文禄2年(1592年)。
下野国(しもつけのくに)に領国を持つ藤篠光永は、
重臣・龍田織部介の謀反により討たれ、一族は悉く斬首される。
ただ一人難を逃れた17歳の澪(みお)姫は、
小姓の小弥太とともに落ちのびるが、
追っ手に取り囲まれ万事休す、かと思えた。

そのとき、黒い長羽織の牢人が現れて二人を救う。
その男の名は神子上典膳(みこがみ・てんぜん)。
剣聖・伊藤一刀斎から奥義を授けられた剣の達人であった。

理由も聞かず、報酬も求めず、
二人を国外まで無事に送り届けることを約束する典膳。

澪姫主従が目指すのは、藤篠家と同盟を結ぶ三荻領の筑波家。
しかし龍田の手の者によって街道を押さえられ、
一行は険しい山道の続く雉ヶ岳に向かう。
断崖絶壁が行く手を阻む中、追っ手は着実に近づいてきていた・・・


典膳の剣がいかに無敵とはいえ、多勢に無勢。
龍田側にも、天下の剣豪を倒して名を上げようという
黒蓑(くろみの)右門・左京次という凄腕の兄弟がおり、
戦い続ける典膳は次第に満身創痍に。
しかし、どんなに深手を負おうとも、
澪姫主従を守るという自らに課した "使命" を
異常なまでの執念で全うしようとする。

 本心が窺い知れないところといい、とてつもない不死身ぶりといい、
 ちょっぴり『装甲騎兵ボトムズ』のキリコ・キュービィを彷彿とさせる。


この物語で最大の謎は、"典膳その人" にある。

龍田側の追っ手の一人、白木蔵人が典膳に問う。
「貴公には関わりのなきこと。何故に退かれぬ」
典膳は答える。
「この二人は俺に助けてほしいと言った。だから助ける」
冗談ではなく、彼は心底そう考えているようなのだ。

無法に泣く民あれば、無敵の剣で悪を懲らす。
たとえ相手が何者であろうとも、ただ一人にて立ち向かう。
そして名乗ることなく立ち去る<黒い長羽織の男>。

しかし、彼の言動の端々に見え隠れするのは、底知れぬ虚無。
"無私の境地" などという高尚なものではなく、
ましてや "正義" なんてどこにもない。

自らの命にすら執着せず、澪姫主従を救うために
生還が期しがたい敵の罠へも淡々と踏み込んでいく。
何が彼をそうさせているのか。


終盤に明かされる意外な事実によって、彼の "真意" が明らかになる。
私も驚かされたけれど、思い返せば
そこに至るまでの伏線もちゃんと張ってあったし、
そういう意味では「ミステリ」としてもよくできている。


SFハードボイルド「機龍警察」シリーズでブレイク中の著者だが、
解説によると、本書が実質的な小説家デビュー作だという。
SFや冒険小説も楽しみなんだけど、
この人が書く時代劇ももっと読んでみたくなった。


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忍び道 忍者の学舎開校の巻 [読書・歴史/時代小説]

忍び道: 忍者の学舎開校の巻 (光文社時代小説文庫)

忍び道: 忍者の学舎開校の巻 (光文社時代小説文庫)

  • 作者: 武内 涼
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2014/10/09
  • メディア: 文庫



評価:★★★

時は江戸時代初期、将軍・綱吉の治世。
戦国の世は遠くなり、人々は戦(いくさ)から遠ざかった。
そんな中、突如起こった赤穂浪士の討ち入り。

急遽、幕閣が集められ、評定が開かれる。
将軍のお膝元でありながら、大がかりな "テロ行為" の前兆を見逃し、
さらには発生を未然に防ぐことができなかったのはなぜか。

原因として挙げられたのは公儀隠密の "劣化"。

太平の世が続き、隠密も世襲化・官僚化がすすみ、
"忍び" の術が継承されていない。
体術が鍛えられておらず、城の石垣も登れない。
江戸にずっと住んでいるために地方の方言も分からない。
要するに、"諜報員" として使い物にならない・・・

このままでは、幕府の "眼" も "耳" も失われてしまう。
そこで、老中・小笠原佐渡守(さどのかみ)の
発案によって、ある計画が動き出す。

天領である関八州から、優れた素質を持つ子供を探し出して
妙義山の荒れ寺に集め、伊賀・甲賀の枠を超えた "教育" を施し、
優秀な忍者を養成する。"忍者の学び舎" の開校である。

主人公・一平は13歳。北上野(こうずけ)の貧しい山村の出身だが
『天狗のごとき体捌き』を見込まれて妙技山にやってきた。

『猿(ましら)のごとき体のキレ』を見いだされた"つぎお"。
並外れた怪力を誇る "秩父の雲三郎"。
そして、"あやめ"、"雪"などの少女たち。
8歳から15歳までの子供たちが総計48人集められ、
厳しい修行の日々が始まった・・・


読んでいてなんだか既視感を覚えるのはなぜだろう・・・
って思ったら、わかった。「忍たま乱太郎」だったんだね(笑)。
そう思うと、学舎長を務める伊賀の老忍者・百地半太夫の風貌が
”学園長先生" に脳内変換されてしまったよ(笑)。

もちろんこちらの方がより訓練は厳しいし、
脱落したら里に帰されて、貧乏暮らしに逆戻り。
みんな生き残りに必死だ。

修行を送るうち、子供たちの間には友情も芽生えてくるが、
グループ間では軋轢や諍いも生じてくる。
そのあたりはまさに学園ものの雰囲気。
内気だった一平も、学び舎の中で友と一緒に成長していく。

しかし、学び舎の存在を苦々しく思う者も存在する。
幕閣の中には、公儀隠密による監視が緩んできている隙に、
非合法に私服を肥やしている者もいた。

戦国の世が終わり、忍者の行く末は様々。
伊賀・甲賀のように幕府に仕えた集団もいれば
盗賊/抜け荷/盗品売買などの裏稼業へと転身していた一派もいる。
それが風魔忍者。その棟梁・風魔小四郎は
公儀隠密の復活を望まない幕閣と手を結び、
"学び舎" をつぶすべく策謀を巡らしていく・・・


本書はシリーズ第1巻なので、設定と主要キャラの紹介がメインで
悪役たる風魔との本格的な対決は次巻以降で描かれるのだろう。


読み終わってみて、ふと疑問に思った。
本書の想定する読者ってどんな人なんだろう?

時代小説のメイン読者は年配の人じゃないかなあ(私の偏見)。
そういう年配の人は、こういう子どもが主人公の作品を読むのかな?

まあ、私が心配することじゃないけど(笑)。


でも、こんなふうにも思った。

私が小学生の頃は「伊賀の影丸」とか「仮面の忍者 赤影」とか
「サスケ」とか「カムイ外伝」とかの忍者マンガがたくさんあった。
私が本書を読もうと思った動機の何割かは、
これらの忍者マンガを読んだ記憶にある。

 「NARUTO」は忍者マンガかなあ・・・?
 あれって魔術妖術の類いでファンタジーでしょ?
 もっとも、現代の子どもらから見れば、
 忍術も魔術もおんなじように見えるのかも知れないけど。

スーパー戦隊シリーズでも「忍者戦隊カクレンジャー」
「忍風戦隊ハリケンジャー」「手裏剣戦隊ニンニンジャー」と
10年おきくらいに忍者モチーフの戦隊がでてくる。

ならば、そういう作品で育った人たちだったら、
こういう十代の少年少女が主役の忍者小説ってのも
受け入れられるのかも知れない。

案外、ニーズはあるのかも。


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光圀伝 [読書・歴史/時代小説]

光圀伝 (上) (角川文庫)

光圀伝 (上) (角川文庫)

  • 作者: 冲方 丁
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2015/06/20
  • メディア: 文庫




光圀伝 (下) (角川文庫)

光圀伝 (下) (角川文庫)

  • 作者: 冲方 丁
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2015/06/20
  • メディア: 文庫



評価:★★★★


徳川御三家の一つ、水戸家第2代藩主・光圀の生涯を描いた一代記。
文庫で上下巻合わせて1000ページを超える大長編ながら
途中でダレることもなく最後まで面白く読めた。


冒頭、67歳の光圀が家老・藤井紋太夫を
自ら手に掛けるところから始まる。
老境に至った光圀がなぜ忠臣の命を奪ったのか。

この謎を "つかみ" にして、次章より時系列を巻き戻し、
この "天下の副将軍" の生涯が綴られていく。

光圀は同母兄・頼重を差し置いて世子(世継ぎ)に定められた。
その理由はわからない。父も、重臣達も黙して語らず。

本来、自分の手に入るものではないものを手にした。
兄が受け継ぐべきものを自分が奪った。
自分は重大な "不義" を犯している・・・
これが彼の前半生を支配する "業" となり、
この不義を正すために、光圀は煩悶し続けることになる。

十代の頃はいわゆる "傾き者" 。
仲間とつるんで悪さをしたり、飲む・打つ・買うの三拍子揃った
立派な(?)不良少年ぶり。
しかし不良仲間にはめられ、浮浪者を一人斬り殺してしまう。

その現場で出会った浪人・宮本武蔵に導かれ
沢庵和尚、山鹿素行といった人物と知り合う。
これが、光圀が文人として生きていくきっかけとなる。


物語は、徳川の治政が次第に盤石となっていく時代を追いながら
光圀が "暴れ馬" から "水戸の獅子"へと
成長していく様子を描いていく。


上巻ではさまざまな人々との出会いがある。
生涯の友、志を同じくする仲間、忠実な臣下たち。
そして何より、光圀が生涯愛し続けることになる正室・泰姫。

しかし下巻に入ると一転して、立て続けに別離を経験する。
友を、同志を、そしてなにより家族との哀しい別れが続く。
しかし光圀はそれらを乗り越え、歩みを止めることはない。
そして最後に、冒頭の藤井紋太夫殺害シーンへと戻り〆となる。

 「天地明察」でも、中盤あたりで号泣したなあ・・・
 あ、安井算哲(渋川春海)もちょい役で下巻に登場してる。
 このあたり、水戸家から見た改暦の様子が窺えて面白い。
 しかし算哲も光圀も、すんごい愛妻家だよなあ・・・

 NHKの大河ドラマなんかもそうだけど、
 ある人物の生涯を描いていくと
 終盤近くはどんどんキャラが死んでいくよねえ・・・

 閑話休題。


武家社会が舞台なので、メインキャラのほとんどは男性。
しかしながら、中盤より登場する二人の女性キャラが
群を抜いて素晴らしく、作中で燦然と輝いている。

一人目は、近衛家から光圀の元へ正室として嫁いできた泰姫。
17歳にして文芸諸事に秀で、その博覧強記ぶりで
光圀をはじめ水戸家の人々を驚かせるが
それより何より器の大きさが違いすぎる。
光圀の抱く野心はもちろん、悩みまでもすべて受け入れ、
最大の理解者であり協力者であり同志となり、
そして時として母のようなおおらかさで包み込む。
光圀は、初めて逢った婚礼の夜から、
彼女の魅力の虜となってしまう。10歳も年下なのに(笑)。
この夫にしてこの妻あり。
"獅子" の奥方は彼女のような人でなくちゃ務まらないよ・・・

そしてもう一人は、侍女として京から
泰姫とともにやってきた左近。
水戸家の独身男性の視線を一身に集めるような美貌ながら
とてつもない堅物で、その性質は無愛想にして不器用。
でもこの不器用さがしばしば笑いを誘って、
彼女を実に愛すべきキャラにしている。いやあ左近可愛いよ左近。
口数も少ないながら、その発言はしばしば物事の本質を突く。
しかし、決して侍女としての分を超えることはなく、
生涯、泰姫への忠誠を貫いていく。


フィクションの要素はもちろん含んでいるのだろうが、
おそらくかなり史実に沿って描かれているものと思う。

光圀は生涯のほとんどを江戸と水戸で過ごす。
だから日本中を世直し行脚することはない。

スケさんカクさんも出てくるが、こちらは
肉体労働ではなく頭脳労働系。

八兵衛は出てこないが小八兵衛なる人物が出てくる。
もっとも、役回りは風車の弥七に近いかな。

戦国の世ではないから、派手な合戦シーンも無い。
でも、幕閣や大奥の "権力者" たちが、将軍の威光を笠に着て
横車を通そうとすると、公然と反駁し立ち向かっていく。
そういう意味では立派に "正義の味方" もしている(笑)。


人の価値は「どれくらい生きたか」ではない。
「どう生きたか」そして「死して後、何を残せたか」。
作中、多くの人々が亡くなっていくが、
彼ら彼女らがどう生き、何を残したか。
それが本書のテーマであり最大の読みどころだろう。


「天地明察」と比べるとやや取っつきにくいかも知れないが
(実際、かみさんは冒頭の紋太夫手討ちのシーンで挫けた。)
物語に没入してしまえば、光圀の強烈な個性にぐんぐん引き込まれて
楽しい読書の時間を過ごすことができるだろう。


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小太郎の左腕 [読書・歴史/時代小説]

小太郎の左腕 (小学館文庫 わ 10-3)

小太郎の左腕 (小学館文庫 わ 10-3)

  • 作者: 和田 竜
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2011/09/06
  • メディア: 文庫



評価:★★★★

「のぼうの城」「忍びの国」に続く、和田竜の長編第3作(たぶん)。
私としては、3冊の中でこれが一番面白かったと思う。


時は戦国、1556年。
南蛮から渡来した鉄砲が、合戦の場に現れ始めた時代。

勢力拡大を目指す戸沢家は、隣国・児玉家と衝突を繰り返していた。
戸沢家の猛将・"功名漁り" 林半右衛門は、
次期当主・戸沢図書(ずしょ)率いる軍勢に加わり、
児玉家の所領へと侵攻するが、
児玉家の猛将・"功名餓鬼" 花房喜兵衛の策略にはまり、
大敗を喫してしまう。

自領へ逃げ帰った戸沢軍だが、児玉軍の反撃が予想された。
当主・戸沢利高は半右衛門の反対を押し切り、
勝利の目算が全く立たない籠城戦を決断する。

そして大軍を以て侵攻してきた児玉軍を前に、
戸沢軍は半右衛門の指揮の下、よく持ちこたえるが
児玉軍の謀略によって糧食の蓄えを失ってしまう。

いよいよ全滅の危機を迎える中、半右衛門は起死回生の一手として、
雑賀党の流れをくむ少年・小太郎の利用を思いつく。
彼はかつて行われた鉄砲試合で、神がかり的な命中率を示したのである。
しかし小太郎の祖父は頑として小太郎が戦場に立つことを拒む。
そのために半右衛門がとった行動は・・・


タイトルに「小太郎」とあるけど、むしろ主役は半右衛門。

剛勇無双にして豪放磊落、人望も厚くまさに戸沢軍の要。
しかし愛した女性は図書の妻になり、その後夭折。
図書との確執はもちろん、当主でさえ半右衛門を当てにしつつも、
自らの体面を最優先に、家臣や領民は二の次として振る舞っていく。

そんな彼の最大の理解者は、皮肉なことに戸沢家の中ではなく、
敵である児玉家の中にいた。花房喜兵衛だ。
実際、この二人は敵味方を超えた "友情" 、あるいは "共感" を示し、
交わした約定は必ず守りあう、信頼に結ばれた好敵手として描かれる。

物語は、戦国の世を生きた不器用な男たちの軌跡を辿っていく。
そして、半右衛門が自ら起こした "過ち" に、
自ら "けり" をつけるところで "幕" となる。

私は時代劇・時代小説ってあまり好きでは無いし、
実際ほとんど読まないのだけど、本書はとても面白く読めた。
とくにラスト近くのあるシーンでは、
涙腺が緩んでしまったことを告白しておこう。

この作者の時代小説なら、次も読んでみたい。
そう思わせる作品だった。


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忍びの国 [読書・歴史/時代小説]

忍びの国 (新潮文庫)

忍びの国 (新潮文庫)

  • 作者: 和田 竜
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2011/02/26
  • メディア: 文庫



評価:★★★

時は戦国、天正四年。
織田信長が本能寺に倒れる6年前、
彼が天下統一へ向けて驀進中の時代である。

信長の次男・織田信雄は伊勢の国を併呑し、
その手を隣国・伊賀へ伸ばそうとしていた。

伊賀というと "忍者" しかイメージがないんだが、
本書を読むと当時の様子が詳しく描かれている。

伊賀には大名が存在せず、地侍が乱立していた。
(この物語の時代には66人いたという。)
しかもそれぞれに仲が悪く、お互いを討ち果たすために
"技" を磨いているうちに、それが "忍術" へと発展していった。

彼らは金のためなら何でも引き受けた。
義理や人情とかの倫理観は一切持たず、
親子兄弟の間でも騙し合い、殺し合っていた。
時には他国の戦国大名に雇われ、闇の仕事を請け負ったり。

しかしなぜか他国からの侵略に対してだけは
怨念や憎悪を一時的に棚上げして団結し、守りを固め、
不思議なバランスのもとで戦国の世に独立を保っていた。

主人公の無門(むもん)は、そんな伊賀の国にあって
最高の技量を持つ身ながら、無類の怠け者であった。

他国からさらってきた娘・お国を女房にしたはいいが
顔を合わせるたびに稼ぎの無さをなじられる。

無敵の忍者で、地侍たちに一目も二目も置かれているのに
お国の前では頭が上がらない無門がおかしい。
まあ惚れた弱みというところか。
このへんのキャラ設定が上手いと感じる。

信長は伊賀の国と関わりを持つことに慎重だったが、
父に認めてもらいたくて血気にはやる信雄は伊賀攻めを決定、
織田軍団は国境を越えて伊賀国への侵攻を開始する。

迎え撃つは百地三太夫率いる伊賀忍び軍団。
無門とお国も、いやおうなく戦いに巻き込まれていく・・・


忍法小説というと山田風太郎の名がまず挙がるが
彼の "忍法帖" は、「伝奇ファンタジー」の部類に入る。

本書の忍法は、「サスケ」とか「伊賀の影丸」とか
「カムイ外伝」とかのイメージに近いだろう。
子供の頃にこれらのマンガに心を躍らせた人たち(私もそうだが)なら
楽しい読書の時間が過ごせるだろう。


権謀術数が渦巻く忍びの世界、
弱肉強食、強い者しか生き残れない戦国の世。
そんな非情な物語の中を多彩なキャラたちが駆け抜ける。

普段はちゃらんぽらんを画に描いたような無門も
本気を出すと流石にスゴい。
最強の忍者の称号は伊達ではない。
しかしそれもこれもすべてはお国のため(笑)。

そんな無門の活躍を無心に追いかけているうちに
どんどんページがめくれていくだろう。


ここまで書いてくると、モノスゴイ傑作のようだが
(実際、よくできた作品だと思う)
そのわりに星の数が3つと少なめなのは
物語の決着の付け方がちょい不満だから。

戦国時代が舞台で、人がたくさん死んでいく話なので
平穏な結末を望む方が無理だとは思う。
思うんだが・・・でもねえ。

これじゃ無門が報われないんじゃないかねえ・・・
あんなに頑張ったんだからさあ・・・

まあ、これは私の好みの問題なので
このラストで全く問題ないって感じる人も多いでしょう。


解説を書いているのは、あの「児玉清」さん!
児玉さんは、もう双手を挙げての大絶賛である。

 解説を頼まれてけなす人はいないだろうけど、
 それを割り引いても、ビックリするくらいの絶賛ぶり。
 児玉さん、かなり気に入ったものと推察する。


「のぼうの城」でブレイクし、
最近では「村上海賊の娘」が話題の和田竜さん。

手元にもう一冊、「小太郎の左腕」って文庫があるので
これも近々読む予定。


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覇王の番人 [読書・歴史/時代小説]

覇王の番人(上) (講談社文庫)

覇王の番人(上) (講談社文庫)

  • 作者: 真保 裕一
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/09/15
  • メディア: 文庫




覇王の番人(下) (講談社文庫)

覇王の番人(下) (講談社文庫)

  • 作者: 真保 裕一
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/09/15
  • メディア: 文庫



評価:★★★

歴史小説って滅多に読まないんだけど、何と言っても
題材が戦国最大の "謎" である「本能寺の変」、
そして作者がミステリ作家とあれば、
一体どんな解釈を見せてくれるのかと期待もしてしまう。


物語は、永禄9年(桶狭間の戦いの6年後)、
越前朝倉家に身を寄せている明智光秀の元へ、
13代将軍足利義輝の弟・義昭が細川藤孝とともに
やってくるところから始まる。

光秀と藤孝は、一人の武将に期待をかける。その名は織田信長。
義昭を将軍とし、戦国の世に秩序を取り戻すことを胸に、
二人は信長に仕え、天下布武への戦いへ身を投じてゆくが
それは鬼畜の所業、阿修羅の道を歩むことだった・・・


明智光秀という人は、謀反人・裏切り者という
悪いイメージで語られてきたことが多かった。
しかし本書で描かれる光秀はいささか異なる。

乱世を終わらせ、万民に平穏な暮らしを与える、という
確固とした理想を持った深謀遠慮の人である。
戦で死んだ部下を一人一人手厚く葬り、
領民に対しても慈悲深く、家族への愛にあふれた人でもある。

そんな光秀だから、信長の下で働くのは容易ではない。

信長は、浅井一族を滅ぼしてその髑髏で杯を作ったり、
比叡山をはじめとする、織田軍に反抗する宗教を徹底的に弾圧し、
農民や女性、子供も容赦なく皆殺しにしていく。
信長が次々に起こす悪鬼のような仕打ちも
「すべては乱世を終結させるため」と
光秀は自分の心に言い聞かせ、堪忍を重ねて仕えてきたが・・・


光秀が本能寺の変を起こした理由は、
歴史的にはいろいろな説があるらしい。

本書の中で、作者の用意した理由は、
上記のように信長と光秀の "理想" が次第にかけ離れていき、
その違いが修復不能なまでに広がったことによる。
しかしそれは全く意外では無い。
文庫上下巻で1000ページを超える長さのうち、
下巻の半ばまではひたすらに耐える光秀が描かれているので、
謀反の原因が "忍耐の限界" だろうというのは、まあ予想できる。


しかしそれでは普通の歴史小説と変わらない。
本書の特色は、光秀が「本能寺の変」を起こした後にある。

詳しく書くとネタバレになってしまうんだが
「本能寺の変」の裏に隠された事情というか "黒幕" が明らかになる。
そして、いかにもミステリ作家らしく、「本能寺の変」から始まって
秀吉の台頭、関ヶ原、そして徳川の治政に至るまでの
一連の歴史的な出来事に、意外な解釈を引き出してみせる。
このあたりは歴史ミステリとしてけっこう面白い。


本書には、光秀以外にもう一人、主人公がいる。
信長軍の美濃侵攻によって家族を殺された少年・小平太である。
彼は忍びの里の頭目・弦蔵に拾われ、厳しい修行の日々を送る。
やがて成長した小平太は、明智軍配下の忍びとなって、
光秀と共に戦いの日々を過ごしていく。

修行のシーンや、敵の忍びと刃を交えるシーンは
昔懐かしい忍者マンガの世界。
白土三平の「サスケ」を思い出してしまった。

小平太にとっての永遠の女性は、ほんの一時だけ、心を通わせた
光秀の末娘・玉子(たまこ:後の細川ガラシャ)。
彼女の面影を胸に秘め、小平太は光秀のために闇を駆ける。


面白かったのは否定しないけど、やっぱり1000ページは長い。
歴史小説ってなぜか興味を惹かないんだよねえ・・・
戦国時代を扱ったNHKの大河ドラマはけっこう喜んで見るんだけど。

 「軍師官兵衛」は抜群に面白かったなぁ・・・
 岡田准一の熱演(怪演?)ぶりも見事だったし。

 ちなみに「花燃ゆ」は一回も見てない。


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