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『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』第二章・発進篇を観てきました [アニメーション]

※本編のネタバレはありません。

6月10日の "情報統制状態" への移行から2週間。
やっと来ました24日。
いやあ長かったようなあっという間だったような。

かみさんと二人で「第二章・発進篇」を観てまいりました。
ついでに、現時点にて "情報統制状態" を解除いたします。(^_^)v


場所は「MOVIXさいたま」。
第一章の時にかみさんが足を怪我して
一緒に行けなかったので、今回はリベンジですね。

午前中には二人とも仕事が入っていたので午後の上映回へ。
映画館へ着いたのは開場の30分くらい前。
売店へ行ってみたんだけど、まあ予想通りというか
物販は七割方は壊滅状態かなあ。
Tシャツとかバッグとかは残ってるけど
クリアファイルとかグラスとかはもう影も形もない。

あ、スリッパは大量に残ってたよ(笑)。

森雪が床に座った絵が描かれたポストカードを見て、かみさんは
「何よこれ。絶対おかしいじゃない」
「いや、こういう需要があるんだよ、きっと」
「えー」

そんなこんなで開場時間が迫ってくる。
それに伴って、ロビーで待ってる人の平均年齢が
だんだん上がっていく(笑)のもいつもの光景なんだけども、
「2199」の頃と比べると格段に若い人が増えてるのは感じた。

映画館前の通路には、早くも「第三章」のポスターが。

2202-2a.jpg
おお、「純愛篇」かぁ。

 実は "純愛篇" って、第五章か第六章あたりのサブタイトルとして
 使われるんじゃないかなぁ・・・って内心思ってたんだけど
 予想外に早かったですね。

絵は戦闘真っ只中のヤマト。
まさに「2202」では、ヤマトは激闘の連続なんですねぇ。


そんなことを考えていたら開場のアナウンスが。
ロビーの皆さんも移動開始。
年配の男性のグループあり、子ども連れのお父さんあり。
我々も入場しました。


予告篇に続いていよいよ本編開始。
沖田艦長(菅生隆之さん)のナレーションによる
"前章までのあらすじ" に続いて「第二章」の上映。

ネタバレにならない程度にひとこと書いてみると

・"コスモリバースの真実" に「えーっ!」
・ついでに "テレサの○○" にも「えーっ!」
・旧作準拠の中にも新しい要素が入った "ヤマト発進"。
・予告編にもあった加藤と真琴のシーン。ああ、目から汗が・・・
・アレをココでこう使うのか~
・山南もいい味出してます。
・非情ガトランvsヤマト、ハッタリ抜きでガチな第11番惑星の激闘!
・そして、「えーっ!? ここで終わりぃ!?」

ネタバレ込みの感想は、これからぼちぼち書いていって
7/8以降あたりからupしようかと思ってます。

かみさんの感想の第一声は
「よく分からなかったなぁ」とのこと(笑)。
まあ情報量も多いしねぇ。


上映終了後、お手洗いに行ったらそこの通路に
何とヤマトのポスター6連貼り!

2202-2b.jpg
スマホで撮ろうとしたらかみさんが
「1枚ずつ撮ればいいのに」
「いやあ、まとめて1枚でいいよ」
「えー、上の3枚とか、カッコいいじゃん。
 あ、左下は要らない。森雪が載ってるから」
「またそんな、ヤマトファンを敵に回すような発言を・・・」


映画が終わったあとは新都心でショッピング。
しかし毎回思うけど女性の買い物って
どうしてあんなに時間がかかるんだろう・・・
かれこれ2時間くらいつきあわされてしまったよ。

本日の戦果(笑)。
謎の建造物(この正体も第二章で明かされる)が表紙のパンフレット。

2202-2d.jpg
そして入場者特典。キーマン&山南&コスモタイガーI。

2202-2c.jpg
家に帰ってきた後、パンフレットを熟読したかみさんは
「何となく分かってきた気がするから、もう一回観に行きたい」
って言いだしたので、また観に行くことになりそう。

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放課後スプリング・トレイン [読書・ミステリ]

放課後スプリング・トレイン (創元推理文庫)

放課後スプリング・トレイン (創元推理文庫)

  • 作者: 吉野 泉
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2016/02/27
  • メディア: 文庫

評価:★★★

主人公は福岡市内の学校に通う女子高生・泉。
彼女の周りで起こる不思議な事件をつづった、
"日常の謎" 系連作ミステリ。

「放課後スプリング・トレイン」
 2年生への進級に伴うクラス替えで、
 泉はモデル並の容姿とパワフルな行動力を併せ持つ
 朝名(あさな)と友人になる。
 ある日、泉は朝名から「彼氏を紹介するから一緒にきて」と誘われる。
 驚きながらも朝名に同行するが、その途中の鉄道の車内で
 二人はある女性の不思議な行動に出くわしてしまう。
 朝名の彼氏は小学校の新任教師・上原。そして一緒に現れたのは
 彼の友人で国立Q大学の院生・飛木(とびき)。
 飛木は泉たちの話から、女性の行動の意味を解き明かす。
 表題作兼登場人物の紹介篇、のわりには
 ミステリ的なネタがいまいちな感も。

「学祭ブロードウェイ」
 6月を迎え、泉たちの通う高校は文化祭。
 彼女のクラスは文化祭における「屋台権」(食品を販売する権利)
 のくじ引きに外れ、演劇を行うことになった。
 演目はクラスを二つに分け、
 「眠れる森の美女」と「シンデレラ」を上演することに。
 文化祭準備の熱気と混沌の中、演劇の練習は続く。
 そして文化祭の当日。
 楽屋として使用されていた部屋が荒らされ、
 シンデレラの衣装がなくなるという事件が起こる。
 しかし、泉たちから観客として招かれていた飛木は
 事件の裏に隠された事情を見抜いてしまう・・・
 明かされてみると、たしかに高校で起こりそうで、
 しかも高校でしか起こらないであろう事件だったりする。
 本書ではいちばんミステリ寄りな作品かな。

「折る紙募る紙」
 女子水球部というなかなかレアそうな部活に所属している泉さん。
 練習試合の紅白戦で負けてしまった彼女は、
 罰ゲームとしてボランティア部の募金活動へ応援参加することに。
 同じ水球部員の芽衣子とともに3日間の街頭募金に参加した泉。
 しかしボランンティア部の部長・徳永と芽衣子の行動に
 不審なものを感じ始めた泉は、飛木に相談するが・・・
 泉のクラスでの席替えで使用された "色紙" という
 二つの "謎" をうまく組み合わせて構成されてる。
 募金とかボランティア活動とかいうものについて
 いろいろ考えさせられる話にもなってる。

「カンタロープ」
 朝名と、その彼氏である上原先生の間がうまくいっていないらしい。
 心配になった泉は、飛木と一緒に上原の勤務する小学校へ向かうが・・・
 ミステリとしては、上原の抱えた悩みを飛木が解決するわけだが
 本書の最後におかれた本編で、今までの3編に "織り込まれて" いた
 ある "仕掛け" が明らかになる。


泉たちの通っている高校の描写がいい。
生徒たちのキャラも立ってるし、実に楽しそうに高校生活を送ってる。
授業風景とか試験の様子を読んでると、彼女らの通っている高校は
かなりハイレベルな進学校であることが伺われる。
このまま行けば泉は、難関であるQ大へ進学しそうだ。
(作中では明言されないけどQ大は明らかに九州大学のことだろう)
飛木は理学、それも生物学専攻の院生らしい。
泉さんも理系らしいので、理学部に入って彼の直系の後輩になりそう。

どうでもいいことなんだけど、読んでいて気になったのは、
ミステリ的な内容よりも、朝名の彼氏のこと(笑)。

上原先生は、朝名さんの元家庭教師だったという。
おいおい、ふつう女の子に男の家庭教師はつけないだろー、
ネコに鰹節じゃねえか・・・なぁんて
しばしイケナイ妄想に耽ってしまいそう(笑)。
 まあ、それだけ上原くんが朝名の親から信頼されてたってことか。
 家族ぐるみでお付き合いがあるのかも知れないしねぇ。
実際、作中での彼の描写は、画に描いたように真面目で誠実そのもの。
大学もたぶん国立Q大(おそらく飛木と同級生なんだろう)。
 まあ、親はくっつくならそれでもいいと思ってたのか。

それにしても、進学校に通っていてモデル並みに美人な
高校二年生を彼女に持つなんて、上原先生が羨ましすぎる(爆)。

 いけませんねぇ。還暦も近いというのに全く煩悩が抜けてない(笑)。

もし続編があるのなら、
大学生になった泉さんと院生の飛木くんという
"理系カップル" の活躍が描かれるのだろう。
それも読んでみたいと思う。

あ、朝名さんと上原先生の "その後" もぜひ(笑)。

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リリエンタールの末裔 [読書・SF]

リリエンタールの末裔 (ハヤカワ文庫JA)

リリエンタールの末裔 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 上田 早夕里
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2011/12/08
  • メディア: 文庫

評価:★★★

2003年に「火星ダーク・バラード」で第4回小松左京賞を受賞して
デビューした作者の、第二短編集。

「リリエンタールの末裔」
 舞台は数百年後の未来。
 大規模な地殻変動で海水面が260m上昇し、
 人類は遺伝子操作によって、高地に居住する "陸上民" と
 海での生活に適応した "海上民" とに別れていた。
 現在までのところ、作者の代表作と言っていい
 《オーシャン・クロニクル》(と呼ばれているらしい)シリーズの一編。
 高地で育った少年・チャムは、
 手製のグライダーで空を飛ぶのが大好きだった。
 成人し、海上都市で働くことになったチャムだが
 空への憧れは断ちがたく、
 自分のハングライダーを手に入れようと決意するが
 彼の年収の10年分にも相当するような高価な機体に加えて
 遺伝子操作を受けた高地民への、都市住民による差別意識など
 さまざまな障害が彼の前に立ちはだかる・・・
 私は自分が空を飛ぼうとは全く思わないのだが
 中学生の頃はエンジン付きで、金属ワイヤで操縦する模型飛行機
 (いわゆる「Uコン」てやつだ。「ラジコン」は高価で手が届かなかった)
 にハマってた時期があったので
 "空への憧れ" ってのは何となく分かる気がする。

「マグネフィオ」
 主人公・和也は、同僚の女子社員・菜月に想いを寄せるが
 彼女は和也の同期社員である修介と結婚してしまう。
 しかし、彼らが参加した社員旅行のバスが落石事故に襲われ、
 修介は意識不明の寝たきりの状態になってしまう。
 和也自身も、脳の図形認識機能を損傷して
 人の顔の識別ができなくなってしまった。
 事故から1年後、和也は菜月のアイデアをもとに
 修介の脳内活動を磁性流体を使って
 視覚化する装置〈マグネフィオ〉の開発を始める・・・
 どんな姿になろうとも修介に尽くし続ける菜月。
 彼女の笑顔も泣き顔も "見る" ことができない和也。
 しかし彼は菜月を愛し、支え続ける。
 悲しく切なくそして苦さの残る結末まで、"3人" の物語を一気読み。
 この人の描くラブ・ストーリーをもっと読んでみたくなった。

「ナイト・ブルーの記憶」
 SFアンソロジー「NOVA5」が初出だとのこと。
 ということは既読のはずなんだがさっぱり記憶がない(;_;)。
 海洋無人探査機のオペレータをしている霧島恭吾。
 彼の仕事は、探査機に搭載されたAIのトレーナー、
 つまり熟練した人間の行動をAIに "学習" させる役割。
 しかし、あるとき彼の身に異変が起こる。
 探査機のセンサーと彼の神経が "同期" してしまい、
 海中での "感覚" がそのまま
 ダイレクトに伝わってくるようになったのだ・・・
 おお、"ファフナー" みたいだなあ(笑)。
 しかし、冗談抜きで現代のIT技術は
 この方面へ進んでるような気もする。
 霧島の受けた "衝撃" も、近い将来には
 我々自身が体験することになるのかも知れない。

「幻のクロノメーター」
 タイトルのクロノメーターとは時計のこと。
 部隊は18世紀のロンドン。
 大工だったハリソンは、時計職人として希有の才能を示し、
 王室から指名を受けて
 航海用時計マリン・クロノメーターの開発をしていた。
  ちなみにハリソンは実在の人物で、作品の最終ページには
  彼の "作品" を紹介するwebページのURLまで載ってる。
  とは言っても、この記事を書いてる最中に
  アクセスしてみたんだけど、つながらないんだよねぇ・・・
  メンテナンス中か何かかしら?
 語り手は、ハリソンのもとへ奉公に来た少女・エリー。
 彼女もまた時計に魅せられ、
 家政婦として働く傍ら、自らも時計作りを学び始める。
 文庫で約320ページの本書の中で、約140ページを占める中編。
 最初の60ページほどは、ハリソンによる時計開発が語られる。
 このままだとノンフィクションか歴史小説だよなあ・・・
 と思って読んでいくと、中盤から登場する "あるもの" のおかげで、
 しっかりSFになる(笑)。
 寡聞にして、マリン・クロノメーターというものを
 本書で初めて知ったのだけど
 外洋航海に出た当時の船が、自らの位置を確認するために
 膨大な天文データと精密な天測技術が必要だったのを
 一気に簡素化する画期的な機械だったとのこと。
 ただどの時代にも、新しいものが登場すると
 それを排斥しようとする "抵抗勢力" はいるもので、
 ハリソンの功績もなかなか認められなかったことが分かる。
 しかしそんなものに挫けることなく、
 自らの技術を信じて生きた職人たちの姿が心を揺さぶる。

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本ブログは情報統制状態へ移行します [このブログについて]

以前の「ヤマト2202」関係の記事のコメントでも書きましたが、
本ブログは本日6月10日をもって情報統制状態へ移行します。

これより「ヤマト2202 第二章」が公開される6月24日までの二週間、
ネットサーフィンも自粛し、本ブログのヤマト関係の記事に
寄せられるコメントにも目を通しません。

 すでにいくつかコメントを書き込んでいただいているんですが
 お返事するのは6月24日以降になると思います。
 改めてお詫びしておきます。
 申し訳ありません(ぺこり) m(_ _)m。

なるべく予備知識や先入観無しで本編を見たいと思っていますので。
ですから、来週に放送されるTV特番も見ません(録画はしますがwww)。
たぶん冒頭10分も同時に公開されると思うのですが
これも見ないで済ませようと思っています。


なお、読書感想録の記事は、通常通りアップを続ける予定です。
ヤマト関係の記事、コメントのお返事等は
6月24日以降までお待ち下さい。

どうぞよろしくお願いいたします。

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サザンクロスの翼 [読書・冒険]

サザンクロスの翼 (文春文庫)

サザンクロスの翼 (文春文庫)

  • 作者: 高嶋 哲夫
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/11/10
  • メディア: 文庫

評価:★★★☆

1937年、日中戦争が勃発。
アメリカで育った16歳の少年・峯崎は
日本人を取り巻く環境が厳しさを増してきたのを機に
父母、妹とともに帰国の途についた。

その後、海軍に入隊した峯崎は
パイロットとしてずば抜けた技量を示したが、
ある空戦がきっかけとなって、
敵機を止めを刺すことができなくなってしまう。

そして太平洋戦争も末期の1945年7月。
峯崎はボルネオ北端近くのロンプラタ基地にいた。
彼はそこで "特攻部隊" の護衛任務に就いていたのだ。

敵を倒すことより、味方を守り抜くことを優先する峯崎。
しかし敵機を撃墜できないことを見抜いた上官と対立してしまう。

そして峯崎は、空襲によって彼の家族全員が死亡したとの報せを受けて
"特攻部隊" への参加を志願するのだった。

しかし、基地から飛び立った編隊はグラマンの襲撃を受けて全滅、
たまたま機体の不調によって戦闘に巻き込まれなかった峯崎は
生き延びて絶海の孤島にたどり着く。

不時着の衝撃で負傷した峯崎は、野村という男に助けられる。
彼は空母・翔鶴の整備士官だったが、レイテ沖海戦で乗艦が沈み、
漂流しているうちにこの島へ流れ着いていたのだ。

無人島での二人きりのサバイバル生活を過ごしていたが
ある日、島へ一機の「ダコタ」が不時着する。

 wikiによると、正式名はダグラスDC-3。
 1930~40年代にかけて10000機以上製造された輸送機の傑作。
 戦前の日本でもライセンス生産されていたという。
 なんと製造開始から75年以上過ぎた21世紀でも、
 現役で使用されている機体が存在するらしい。

飛来したのは、本来は陸上機であるダコタに
無理矢理フロートを装着して水上機に改造したものだった。
(表紙のイラストがそうだ)

乗員はすべて死亡しており、唯一の生存者は
日本人の血を引く高藤マリアという女性。
彼女たちは闇の運び屋をしていたらしい。

マリアは、峯崎と野村に、
機体の修理と目的地までの飛行を持ちかける。
機体に積んである "あるもの" を、
どうしても届けたいのだという・・・

野村の尽力で最低限の機体の修復が行われ、
そして峯崎の巧みな操縦によって
ダコタは米軍の追撃を逃れ、島を脱出することに成功するが
3人が向かう先では、終戦による混乱が、
そしてインドネシアの独立運動が燃え上がろうとしていた・・・


冒険小説としてみると、ちょっと物足りないかなぁ。
主人公の峯崎は零戦に乗っているときから
戦いを避ける生き方をしてきて
ダコタに乗った後も、米軍の追撃から逃げ回ってばかり。

アクションシーンはどちらかというと "地味" だろう。
だから勇壮な空戦シーンを期待すると当てが外れる。
"爽快感" には、いささか乏しいかと思う。

でも、本書のメインテーマはそこではないのだろう。

主人公の峯崎は、アメリカで育ったが故に日本軍の価値観に馴染めず、
自分の "ポリシー" を貫けば軍規から外れてしまい。
当然ながら上官からは睨まれてしまう。
だからといって、自分を曲げる生き方ができないのが峯崎という男。

そんな彼が、巡り合わせとはいえ軍からはぐれてしまい、
同じく軍を離れた野村、謎多き女・マリアとともに
自分の意思で、自由を求めて再び大空を飛ぶことを選ぶ。

そここそが作者が描きたかったことなのだろう。

そして峯崎は、過去の軛から逃れて新天地で生きることを決意する。


ここから先はラストのネタバレになると思うので未読の方はご注意を。


物語の終盤に、ある架空の機体が登場する。
日本海軍が誇る傑作機でありながら、大戦の中盤以降では
米軍機の性能向上によって輝きを失っていった零戦。
その "最終進化形" として登場する「零戦五五型」。

峯崎が乗り込んで、クライマックスシーンで空を舞うのだが
最高時速750km、10分で高度8000mまで上昇とか
作者が創作したものとはいえ、ちょっと "盛りすぎ" (笑)な感も。

 だってこれ、零戦の後継機として開発されてた
 「烈風」を上回る性能じゃないか?

登場にあたっては、何の伏線も脈絡もなく、唐突さが目立つ。
そしてその活躍のさせ方も、ちょっともったいないかなあ・・・

こんなスゴイ機体を出すのなら、逆にこれを主役機にして
大戦末期を舞台に壮絶な空戦を描いた
一大冒険絵巻が語られてもいいんじゃない?

そんな話ならぜひ読みたいなあ・・・
でもそれじゃあ『終戦のローレライ』の航空版みたいだなぁ。

・・・なぁんてことを思ってしまったよ(笑)。

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「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」第二章 新PV&ED主題歌 [アニメーション]


新宿では先行上映会があったようですね。
心が動かないわけではなかったのですが
何せファンクラブにも入ってないし、仕事もあるし
まあ無理だなあと思って "見送り" でした。

しかし公式サイトをチェックしたらいろいろ情報が更新されてました。

■第二章ED「月の鏡」

「テレサ(神田沙也加)が担当!」ってあるので
神田沙也加さんが "テレサ" として歌うのですね。
おお、ひょっとしてヤマト史上初の "キャラソン" ですか?

近頃ご結婚もされて、そのせいか
ゲスト出演した先行上映会にはマスコミがたくさん来られたとか。
期せずしてヤマトの宣伝にも寄与していただきましたね。

歌唱力もすばらしいと思うので、早く聴きたいものです。


■「月の鏡」新PV

と思っていたら、なんと「月の鏡」ご披露を兼ねた
新PVも上がってましたね。




例によって内容も盛りだくさん。
・「波動砲艦隊は既定路線だ」土方宙将、やっとのご登場です。
・「俺は行かねばならぬ」やっぱり上と衝突しての左遷ですかね?
・「お前たちは踏みとどまれ」沖田亡き後、土方さんが
 旧ヤマトクルーの精神的支柱だったのでしょうか?
・真田「ヤマトに波動砲を再装備する」
 古代との葛藤はどう描かれるのでしょうか?
・ひょっとしてナスカ提督?
・ヤマトをかすめて飛ぶコスモタイガーI。
・キーマン「ヤマトは重大な弱点をかかえている」それは何?
・斉藤「ヤマトは来る! 必ずな!」その根拠は何?
・沖田「古代、覚悟を示せ」一体どこから話しかけてるんでしょう?(笑)
・第一章にも登場した殺戮マシーンが第11番惑星を襲うみたい。
・ツヴァルケのパイロットはキーマンでしょうか?
・海から発進するヤマト。これも外せません。
・旧作準拠の敬礼。どういう経緯でこうなるのでしょうか?
・波動砲を使ってしまうかも知れない自分を畏れる古代。
・山崎さんが戦うのは珍しいのでは?
・たぶんヤマトに乗るかどうかで悩む加藤。
・新兵器を発射するアンドロメダ。
 噂の重力子スプレッドなのか対艦グレネードなのか?
・「第11番惑星救出作戦を開始する!」ワープに入るヤマト。
・アンドロメダ軍団を初めとする地球防衛艦隊をバックに
 「月の鏡」が始まるんだけど・・・
 ご本人(テレサ)の台詞がかぶってよく聞こえなかったりする(笑)。
・古代を振り切って走り去る雪。
・奮戦する斉藤、永倉。
・相変わらずクールなタマちゃん。
・涙を浮かべるガミラス少女、そしてワープアウト(?)するヤマト。
・「乗せろ」古代に迫るキーマン。やっぱり彼もヤマトに乗るんでしょう。
・反重力感応機でしょうか?
 43年ぶりにアステロイドリングが拝めそうですね。
・攻撃されるコスモファルコン。ビデオを止めてよく見ると
 垂直尾翼に「APOLLO NORM」の文字が。
 空母型アンドロ三番艦の艦載機でしょうか?
・「あと10秒で接触!」台詞は西条さん?
 雪は乗っていないのでしょうか?
・「行けえぇぇー!、ながくらぁー!」斉藤の絶叫。
・アンドロメダとすれ違いながら振り返る古代。
 ドメラーズとすれ違ったときの沖田を思い出します。

「月の鏡」PVといいながら、台詞や効果音とかぶって
歌がよく聞こえません(笑)。
でも神田沙也加さんの歌声がとても綺麗なのは分かるので
映画館でフルコーラス聴くのが楽しみになりました。


さっそくかみさんにご注進。
「ねえねえ、ヤマトの新しいPVが上がったよ」
「へえぇ。真田さん出てる?」
 (かみさんのお気に入りキャラは真田さんとタラン兄)
「もちろん真田さんも出てるよ!」
「ちょっと、真田さん『も』って何よ、『も』って」
「い、いやあ、だってほら、
 今回は古代がやたら凜々しくてカッコよくなってるし」
「あたし古代と雪には興味ないのよねぇ」
「またそんな、日本中のヤマトファンを敵に回すような発言を・・・」

ああ、なんだか懐かしい。
「2199」が公開されてた頃は、こんなバカな会話を
毎回のようにかみさんとしてましたねぇ・・・

「ヤマト」が本当に "還ってきた" んだなぁ、って
実感した日でした(笑)。

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卒業のカノン 穂瑞沙羅華の課外活動 [読書・SF]

卒業のカノン 穂瑞沙羅華の課外活動 (ハルキ文庫 き 5-10)

卒業のカノン 穂瑞沙羅華の課外活動 (ハルキ文庫 き 5-10)

  • 作者: 機本伸司
  • 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
  • 発売日: 2017/05/11
  • メディア: 文庫

評価:★★★★

主人公は、人工授精によって誕生した
天才少女・穂瑞沙羅華(ほみず・さらか)。

幼少時より天才ぶりを遺憾なく発揮してきたが
思うところあって、現在は "普通の女子高生" として生活している。

もう一人の主役は、沙羅華嬢が設計した量子コンピュータを使って
業務を展開しているネオ・ピグマリオン社の社員、綿貫くん。
彼の仕事は沙羅華嬢の "お守り役"。

天才美少女・沙羅華さんの大活躍、というよりは
凡人代表みたいな青年・綿貫くんが彼女に振り回される
"苦労話" が綴られた(笑)シリーズも、本作で6作め。
そして、本作を持って堂々の完結を迎える。


2030年2月、沙羅華は受験勉強のさなかにあった。
過去に飛び級で大学生になったものの、
あることがきっかけで大学を中退、
普通の女子高生に戻って生活してきた。
そして再び、受験を経て大学生になろうとしていたのだ。

推薦入試は受けず、なんと一般入試を受けるのだという。
目標は国立のT大学。ずっと彼女が追い求めてきたTOE
(Theory of Everything:超大統一理論)
を極めるため、物理学科ではなく数学科を目指すという。

 沙羅華さんならどんな難関大でも受かりそうなもんだが
 本人に言わせると国語が苦手だとか。
 たしかに「登場人物の心情」とかは彼女にとって超難問だろう(笑)。

そんなある日、綿貫くんへ大学時代の友人・佐倉から連絡が。
彼は太陽光発電事業の大手、アルテミSS社に勤務していた。

静止衛星軌道上に浮かぶ太陽光発電衛星から、
マイクロ波で地上に電力を供給する。

日本での発電施設の竣工前に、システムのチェックを
沙羅華にお願いしたい、というのが彼の申し出。
竣工式にはアルテミSS社への出資者である
ゼウレト社のシーバス・ラモン会長も立ち会うという。

ゼウレト社によるバイオ事業で産み出された天才児である沙羅華は
過去の経緯もあり、ゼウレト社とラモン会長に好感情を持っていない。

受験勉強に専念するためにいったんは申し出を断った沙羅華だが、
ラモン会長が殺害予告の脅迫メールを受け取っており、
そしてその差出人に沙羅華の遺伝子上の"兄"、ティベルノ・アスカが
関わっている可能性が出てきたことを知って
脅迫者の正体に迫るべく、
ラモン会長の "ボディガード" を引き受けることになった。

 もちろん彼女自身が腕っ節を振るうはずもない(笑)。
 警備上のアドバイザーといった役どころだ。

そして竣工式に先駆けてラモン会長が来日、
発電施設の視察に向かおうとする一行の前に "刺客" が現れた。
ラモン会長と行動を共にしていた沙羅華は、
襲撃に巻き込まれてしまうが・・・


犯人の目的は太陽光発電衛星を利用した大規模テロだった。
衛星のコントロールをテロリストに奪われ、
窮地に陥るアルテミSS社とラモン会長。

タイムリミットが迫る中、沙羅華と綿貫くんは
日本を、そして世界を救えるのか・・・?


前作から約半年後の物語。
今までも、ちょっとずつ成長してきた沙羅華嬢だが
本作ではかなり "丸く" なってきた姿を見せる。
とはいっても、ぶっきらぼうなのは相変わらずだけど(笑)。

自分の周囲にいる人間まではなんとか理解し、
(彼女なりに)気を使うことも少しできるようにはなったが
"社会" とか "世界" とかの、見ず知らずの人間にまで
思いを馳せることはまだ苦手な様子。
これが今回の、彼女が乗り越えなければならない "試練" だ。


さて、このシリーズは基本的にはコメディタッチの物語なので
本作のラストで世界が滅んだりはしません(笑)。
沙羅華嬢の大活躍と、綿貫くんのささやかな協力で(笑)、
事件は丸く収められる。

そして、完結編である今回では、ついに沙羅華嬢の
高校卒業後の "進路" が決定する。

ゆくゆくは世界的な物理学者になるであろう沙羅華。
日本でもアメリカでも、引く手あまた。
然るべき機関が研究者の "椅子" を用意して待っている。

かたや、しがないサラリーマンで
彼女の足を引っ張ってばかりいる綿貫くん。

そんな二人には、どんな未来が待っているのか。


二人が "将来" について語り合う、ラストの20ページほどが
本シリーズ最大のクライマックスだ。

ここでの彼女は、シリーズ中で最大級にカワイイ。
いやあ、成長したねえ沙羅華さん。
いつのまにこんな "いい娘" になったんだろう。

そして、ここでの綿貫くんがそれに輪をかけていいんだなあ。
彼もシリーズ中、最大級にカッコいい行動を示す。
いやあ、君はほんとに沙羅華嬢を "愛して" るんだねえ。
前作の感想で君のことを「さっぱり成長していないキャラ」
なんて書いてしまって申し訳ない。
沙羅華嬢の成長の陰で、君もしっかり "大人" になってたんだねぇ。

二人の将来がどうなるのかは読んでのお楽しみだけど
シリーズ読者からすれば納得の結末だろう。


2006年に第1作「神様のパズル」を文庫で読んで以来だから
この二人とは10年以上つきあってきた。
これでお別れとはちょっと寂しいね。

二人の物語はここで一区切りとなるのだろうけど、
他の作品でのちょい役でもいいので、二人の姿を見たいものだ。

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バチカン奇跡調査官 終末の聖母 [読書・SF]

バチカン奇跡調査官    終末の聖母 (角川ホラー文庫)

バチカン奇跡調査官 終末の聖母 (角川ホラー文庫)

  • 作者: 藤木 稟
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2013/10/25
  • メディア: 文庫

評価:★★★

カソリックの総本山、バチカン市国。
世界中から寄せられてくる "奇跡" に対して
その真偽を判別する調査機関『聖徒の座』。

そこに所属する「奇跡調査官」である
天才科学者の平賀と、その相棒で
古文書の読解と暗号解読の達人・ロベルト。
この神父二人の活躍を描くシリーズの第8作。


バチカン銀行を巡るスキャンダルが発端となり、
ローマ法王は高齢を理由に『辞任』を発表した。

600年ぶりとなる異例な法王の "生前退位"。
直ちに枢機卿たちによる法王選挙(コンクラーヴェ)が
行われることになったが、
法王不在の間の "カメルレンゴ" (法王代行)として指名されたのは
平賀とロベルトの上司・サウロ大司教だった。


メキシコのグアダルーペ寺院は、
1531年に "聖母出現の奇跡" があったと
バチカンが正式に認めた地であった。

そしてメキシコ出身の世界的彫刻家フェルディナンド・モラレス氏が
グアダルーペ寺院へ彫刻作品を寄贈することになり、
記念式典が行われることになった。

法王代行に指名されたことでバチカンを動けなくなったサウロに代わり、
平賀とロベルトはグアダルーペ寺院で挙行される記念式典へ
サウロの代理として出席することになった。

しかし、二人が参加した式典の最中、突如として大地震が発生、
寺院の参道に沿ってメトロポリタン大聖堂まで続く
6kmにも及ぶ長大な直線状の陥没が現れる。

さらに、式典が行われていた教会では、モラレス氏製作の
十字架を象った彫刻が宙に浮かび上がり、
やがて何もない中空で静止状態となってしまう。

そしてその場にいた群衆に聞こえてきたのは
天上の音楽のような美しい歌声だった・・・


彫刻には黒い聖母像が描かれ、それを縁取る文様の中には
メキシコ出身のカサレス枢機卿の名が刻まれていた。
そしてカサレス枢機卿は次期法王の有力な候補者の一人だった。

これは、次期法王の座を巡る陰謀なのか?

平賀とロベルトは "浮遊する十字架" の謎を解き明かすべく、
調査を開始するが・・・


本書は500ページを越える厚さを誇るが
その理由は、内容が盛りだくさんなためだろう。

マヤ、アステカをはじめとするメソアメリカ文明、
そしてスペインの侵略による滅亡、
少数の白人が上位階級を占め、多数派である先住民族と
メスティーソ(先住民と白人の混血)は差別されているメキシコ社会、
そして、キリスト教の布教によって
人口の90%がカソリックでありながら、
21世紀に入って過激な新興宗教サンタ・ムエルテが
勢力を伸ばしてきていること。

メキシコの過去から現在に至る蘊蓄が延々と語られる。
このあたり、いささか冗長に感じる人もいるかもしれない。

私もそう思わないでもなかったんだけど、
あとあと重要な伏線の一部にもなってるし
作者の語り口も巧みなので、さほど退屈せずに読み進められた。


さて、このシリーズは基本的にはホラーなんだけど、
毎回のように評価に悩む。
作中で語られる超常現象がけっこう科学的に説明されたり
意外な黒幕が現れたりとミステリ寄りな作品もあるし、
完璧にホラー側に振り切った作品もある。

本書ではどうか。

終盤に至り、作中で描かれる不思議な現象の謎解きが行われるんだが
そこでは、作者が設定したある架空の○○○によって
(ほぼ)すべてが説明されるのだ。

この○○○を受け入れられるか否かで
本書の評価は変わってくるだろう。

私の評価は、「これはこれでアリ」。

「ミステリ」として見ると「え~」って感じるかもしれないが
「伝奇SF」としてなら、なかなかよくできてると思う。

怪奇現象の説明に止まらず、どんどん膨らんできて
最終的には人類の進化の歴史にまで言及されるという
壮大な話にもつながってくるし。

方向性は異なるけど梅原克文の某作品を思い出したよ。

 もっとも、梅原氏は自分の作品が「SF」って呼ばれることを
 嫌がっているらしいけどね。

 実はもう一つ、連想した作品(作者は梅原氏ではない)もあるんだけど
 これを書いちゃうとネタバレになりそうなので書きません。
 まあ、私が思いつくくらいだから
 ちょっとSFに詳しい人ならすぐわかると思う。


本書から新しくレギュラーとなった人物もいる。

ローレンの後釜となったチャンドラ・シン博士が
なかなかエキセントリックなキャラを見せる。

今回の表紙にも抜擢されてるので分かるかと思うけど
一見するとまさしく "レインボーマン"(爆)。
まさに "謎のインド人" 感が満載。


前任者に勝るとも劣らない強烈さでまだまだ謎が多そうだ。
読み終わっても、依然として正体不明なまま(笑)。
次巻以降でいろいろと明かされてくるのだろう。

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世界記憶コンクール [読書・ミステリ]

世界記憶コンクール (創元推理文庫)

世界記憶コンクール (創元推理文庫)

  • 作者: 三木 笙子
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2012/05/18
  • メディア: 文庫

評価:★★★

明治末の時代を舞台に
雑誌記者・里見高広と天才絵師・有村礼のコンビが
帝都・東京で起こる不思議な事件の謎を解く
<帝都探偵絵図>シリーズの第2作。

「第一話 世界記憶コンクール」
 ある日、高広のもとへ質屋「兎屋」(うさぎや)の
 若主人・兎川(とかわ)博一が「相談に乗ってほしい」とやってくる。
 新聞記事にあった「記憶に自信のある方求む」の広告。
 謝礼は一日につき一円と破格。
 文章を一目するだけで瞬時に記憶できる "特技" をもつ博一は
 父親の熱心な勧めもあって応募することになり、採用となった。
 責任者は空木(うつぎ)と名乗る大学教授で
 脳の活性化の研究のためだという。
 内容は簡単な文章を覚え、それを紙に書くだけ。
 しかし1ヶ月後、突然空木は姿を消してしまう。
 相談を受けた高広が真っ先に連想したのは「赤毛組合」。
 ホームズ譚の中でも有名な一編だ。
 高広と礼は真相を探り始めるが・・・
 「赤毛組合」そっくりの展開ながら、原典をうまくひと捻り。
 最後はこのシリーズお得意の "人情噺" へつなげていく。うまい。

「第二話 氷のような女」
 フランス留学で法律を修めたものの、帰朝後は定職にも就かずに
 政治家になる夢を追っている青年・里見基博。
 見かねた友人の中根秀真(ほづま)が仕事を持ってきた。
 「天然氷」と称して悪質な水を使った "悪水氷" が出回り、
 コレラ等の伝染病の感染源になっているという。
  "悪水氷" の探索を請け負った基博は資産家・相模清右衛門と
 その遠縁の娘・よし乃と知り合う。
 「天然氷」の出荷前検査を請け負っている医師・村上とともに
  "悪水氷" の出所を追い始める基博だが・・・
 高広の養父・基博の若き日のエピソード。
 よし乃に一目惚れしてしまった基博だが、
 村上もまたよし乃を妻にと望んでいることを知り、
 心が穏やかでない日々を過ごす。
 いやあ、大の男にこんな表現は失礼かもしれないが
 恋に悩む基博君がなんともかわいく、微笑ましい。

「第三話 黄金の日々」
 第1巻第1話『点灯人』で高広と出会った森兄妹の兄・恵は
 東京美術学校の予科生となっていた。
 恵の同級生・幸生は、英国人を父に持ち
 高名な陶工・唐澤清山の養子になっていたが
 他人の作品の稚拙ぶりを容赦なく論評するので
 クラスメイトたちからは敬遠されていた。
 ある日、恵は「久尻焼」のことを耳にする。
 200年前に製造が途絶えてしまったこの幻の陶磁器が
 フランスで高評価を受け、値段が急騰しているという。
 そして、失われたはずの製法を、
 唐澤清山ただ一人だけが知っていると。
 巨大な利益を生む「久尻焼」をめぐって
 事件に巻き込まれた幸生を救うのは、恵と高広と、そして・・・
 読み終わってみるとタイトルの意味が沁みてくる。

「第四話 生(いき)人形の涙」
 明治天皇へガーター勲章を贈呈すべく、
 日本を訪れた英国使節団。
 その首席随員をつとめるアーリントン卿は
 20代の頃、日本で英国公使館の書記官として
 幕末という激動の時代を過ごしていた。
 彼は取材で出会った高広に、かつて自分が日本で体験した
 不思議な出来事を語る。
 当時、公使館の近所に住む人形師・キヘイがつくった生人形が、
 攘夷を叫ぶ無法者たちが騒ぎ起こした晩に
 生きて動き出したという話だった。
 そして、英国使節団の歓迎会の会場で、
 勲章の一つが盗まれるという事件が起こる。
 犯人を追い詰めるために高広はある "策" を仕掛けるのだが
 実際これを実行するのはけっこう難しそう。
 ちなみに、この事件がきっかけで高広は礼と出会うことになる。

「第五話 月と竹の物語」
 銀座通りに店を構える小間物屋『なよ竹』。
 店名にちなみ、礼に美麗なかぐや姫の絵を描いてもらって
 飾り窓の中央に飾ったところ、
 日がな一日、店の前でかぐや姫の絵を眺めている男が現れた。
 開店と同時に現れ、閉店と同時に去っていく。
 しかしその数日後、飾り窓が割られて
 店内にあった金塊が盗まれるという事件が起こる。
 犯人は、絵を眺めていた男と思われたが・・・
 今回の高広は、現場を見ただけでほぼ真相を見抜くなど
 本書の中ではいちばん "名探偵" っぽい活躍を見せる。
 犯人はもちろん、絵を眺めていた男の意外な目的も含めて
 鮮やかに事件を解き明かしてみせる。


今回収録の作品のうち、
第二話と第四話は過去の番外編的作品、
第二話と第三話はサブキャラにスポットをあてた作品、
そしてそれらをシリーズの定番パターンの第一話と第五話で
挟むという、作品世界を広く楽しめるつくりになってる。

マンネリに陥らないように目先を変えて、
いろいろな題材に挑戦してるようにも見える。

手元にはシリーズ第3巻「人形遣いの影盗み」もある。
これも近々読む予定。

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命に三つの鐘が鳴る 埼玉中央署 新任警部補・二条実房 [読書・ミステリ]

命に三つの鐘が鳴る: 埼玉中央署 新任警部補・二条実房 (光文社文庫)

命に三つの鐘が鳴る: 埼玉中央署 新任警部補・二条実房 (光文社文庫)

  • 作者: 古野 まほろ
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2015/06/11
  • メディア: 文庫

評価:★★★★

同じ作者の『天帝』シリーズに
準レギュラー出演している警察官僚・二条実房。
本書は、若き日の彼を主役としたシリーズの第1作である。

東京帝国大学法学部在学中は学生運動に身を投じていた二条だが、
卒業後はキャリア警察官として真逆の道を歩み出す。

 帝国大学とはいっても戦前の話ではない。
 本書は『天帝』シリーズなど一連の古野まほろ作品に共通する
 パラレルワールドの日本を舞台にした物語。
 太平洋戦争には負けたものの日本は未だ "帝国" であり
 陸海軍も健在。ついでに "満州国" も健在だったりするが
 1970年代には学生運動が華やかだったりと
 我々の世界とほぼ同様の歴史を刻んでいるようだ。

大学を卒業後に警察講習所に入所、
3ヶ月の厳しい訓練を終えて警部補を拝命、
埼玉県警埼玉中央署に配属され、2ヶ月の交番勤務。

そして1975年9月1日、二条は外勤見習いが終わるとともに
7ヶ月間の内勤見習いへと異動。
辞令に記された肩書きは「埼玉中央警察署特別高等課第一係長」。

 いわゆる「特高警察」だが、この世界でのそれは
 我々の世界でいうところの「公安警察」に近いようだ。

 ちなみに本書に登場する「埼玉」という "市" は
 内容から察するに「大宮」と読み替えて差し支えなさそうだ。
 関東に住んでる人にしかわからないかもしれないけど(笑)。

特高課のメンバーは部長の丹澤、課長の城川警部、
若手刑事の澤谷、紅一点の佐藤未緒巡査。
そして二条の教育係となったのは真柴係長。
その指導はまさに "鬼軍曹" とも言うべきものだった。

 二条が過ごす新米警官の日常は、一般人の想像を超える。
 このあたりは "お仕事小説" としても楽しめる。
 ただし、「○○○の "破片" を素手で集める」なんて
 強烈なシーンがあったりして度肝を抜かれるが。

そんな過激な毎日を送る二条のもとへ、
大学時代の親友・我妻雄人が現れる。
彼はかつて二条とともに学生運動に明け暮れ、
いまでは過激派組織『革命的人民戦線』の幹部となっていた。

その我妻が、「たったいま人を殺してきた」と自首してきたのだ。
現場は京浜東北線の車内。被害者は我妻の恋人にして、
かつて二条が想いを寄せていた女性・佐々木和歌子であった。

そして彼女は、我妻の属する『革人戦』と
血で血を洗う抗争を繰り広げている
『革命的学労同盟』の幹部でもあったのだ。

対立する過激派同士の内ゲバなのか?
それとも単なる男女の愛情のもつれなのか?
そして、なぜ彼は逃走せずに自首してきたのか?

しかし我妻は犯行に至る事情も動機もいっさい語ろうとはしない。

特高警察の幹部たちは過激派の情報が一気に入手できると意気込むが
真柴が上層部の反対を押し切きって、
我妻の取調官として指名したのは新米刑事の二条だった。

ただし彼に与えられた時間は10日間。
期限内に我妻を "落とせ" なかった場合は、
彼の身柄は特高の上層部に移されてしまう。

かつての親友として。
学生運動の同志として。
そして同じ一人の女を愛した男として。
そして何よりも警察官として、
事件の真相をさぐるべく二条は我妻と取調室で対決する。

もちろん二条は一人ではない。
城川、澤谷、そして佐藤たち同僚刑事は
我妻の行動を追って地道な捜査を通して彼をバックアップする。

真柴は厳しい中にも的確なアドバイスを二条に与え続ける。

やがて、彼らがたどり着いたのは、
限りなく哀しみに満ちた真実だった・・・


『天帝』シリーズに登場する二条は、斜に構えていて
極めて有能ではあるけれど癖のある中年のオッサン、って感じなんだが
本書での二条はまだまだ大学を出たばかりの22歳か23歳。
"うぶ" とまでは言わないが、世間知らずで間が抜けている。
でも人の情に接すると素直に感動してしまうような
愛されキャラだったりする。

読んでいてなんだか既視感を覚えたのだけど、ふと気づいた。
『天帝』シリーズの主役、古野まほろくんに
よく似ているような気がするんだ。

『天帝』シリーズでは、なにかとまほろくんの世話をしている二条だが
あれは「かつての自分を見ているよう」な気がしているのかも。
だから、「危なっかしくて放っておけない」んだろうな。
つまり「他人事とは思えない」んだろう(笑)。

単純な殺人に思えたこの事件も、
実は氷山の一角で、隠されている部分の "巨大さ" に驚かされる。

序盤では、新米警官・二条のドジっぷりがユーモラスで
笑いさえ誘う雰囲気だったものが
終盤に近づくに従ってどんどんシリアスになり、
やがて悲しくダークな展開へと変貌、
そして、衝撃的なラストへとなだれ込んでいく。

よく「衝撃のラスト」なんて言葉は
映画やドラマの謳い文句でよく使われるけれど
本書のラストはまさに "衝撃" そのもの。

現在の所、「今年読んだ本ベストテン」の、暫定ながら第1位です。


『天帝』シリーズでは、シリアルキラーの捜査はもちろん、
大陸ではスパイの真似事をしたり、
果ては "人外" の相手までする羽目になって
彼の本業がなんだったか時たま忘れてしまうんだけど(笑)
『天帝』シリーズ以前、その十数年前にはちゃんと警察官をしていて
順調にキャリア官僚として出世街道を驀進していたことがよく分かる。

その彼が、『天帝』シリーズでまほろたちに絡んだばかりに
 "あんなふう" になってしまったわけで(笑)。


いま、手元にはこのシリーズの第2作
『パダム・パダム 京都府警平安署 新任署長・二条実房』
がある。ちなみに本書の5年後の話らしい。

これも近々読む予定。

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