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ニャン氏の事件簿 [読書・ミステリ]

ニャン氏の事件簿 (創元推理文庫)

ニャン氏の事件簿 (創元推理文庫)

  • 作者: 松尾 由美
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2017/02/20
  • メディア: 文庫

評価:★★★☆

主人公は、ある理由から大学を休学し、
家電配送のアルバイトに精を出す佐多くん。

しかし彼のゆくところ事件が起こり、
なぜかそこには一匹の猫と一人の男が居あわせる。
猫の名はアロイシャス・ニャン。なんと実業家で、
男はその秘書兼運転士の丸山さん。

しかしこのニャン氏、探偵としても確かな眼力を備え、
さまざまな事件の真相を見抜いてしまうのだった・・・

とは言っても、ニャン氏が「にゃあにゃあ」鳴くのを
横で丸山さんが "通訳" するわけなんだが(笑)。


「ニャン氏登場」
 佐多くんがバイト仲間の岡崎くんと訪れた柳瀬家。
 キュートなメイド・来栖さんに心惹かれつつも仕事に励む二人。
 佐多くんは、主の柳瀬夫人が叔父からこの家を相続したことを知る。
 叔父の死に不審な点があり、夫人が疑われたこともあったという。
 そこに現れたニャン氏は、夫人が語る事件の様子から、
 意外な真相を引き出してみせる。

「猫目の猫目院家」
 佐多くんたちがパソコンの宅配に訪れたのは猫目院修造氏の家。
 しかし彼らの到着と同時に、修造氏の双子の弟・養造が
 下取り用のパソコンを持って姿を消してしまう。
 修造氏と共に弟の帰りを待つ佐多くんたちの前にニャン氏が現れ、
 養造の行動に隠された真実を説き明かす。
 ちなみにこのタイトルは、
 "The Red Redmaynes"  (邦題:「赤毛のレドメイン家」)
 のもじりなんだろうなあ。

「山荘の魔術師」
 夏の終わり、高原リゾートの喫茶店でアルバイトをする佐多くん。
 客の菅井老人が語る60年前の思い出話。
 絵の修行で訪れたアメリカで、ある女優に誘われて
 山荘で行われるパーティに参加した。
 しかし、女優は衆人環視の中、山荘から姿を消してしまう・・・
 喫茶店に居あわせたニャン氏が、
 密室からの人間消失の謎を解き明かす。
 海外の某有名短編に似たネタがあったような気もするが
 本書中、いちばんミステリ度が高い作品だろう。

「ネコと和解せよ」
 コマーシャルの撮影現場に大道具を届けることになった佐多くん。
 場所は財前家という個人所有の大邸宅だった。
 しかし、人気モデルを起用しての撮影の最中、
 財前家の土蔵の中から高価な掛軸がなくなってしまう。
 そこに現れたニャン氏は、掛軸の行方はもちろん、
 犯人の動機、さらには意外な正体まで見通してしまう。

「海からの贈り物」
 かつての彼女、実佳とばったり出くわした佐多くん。
 既に結婚も決まっているはずなのに浮かない顔の実佳は、
 合宿旅行で起こった不思議な出来事を語り出す。
 彼女の話から、佐多くんは独力で真相を突き止めることに成功するが
 その場に居あわせたニャン氏は彼に意外な申し出をする。

「真鱈の日」
 冒頭1ページ目で、タイトルの意味が分かるんだが・・・脱力(笑)。
 さて、佐多くんが配送に訪れた池上家。
 玄関に現れたのはメイド姿の来栖さん。
 意外な再会に驚く佐多くんをさらなるサプライズが。
 中で待っていたのは佐多くんの祖父にして大企業の創業者、
 そして会長をも務める大道寺修氏だった。
 佐多くんを自らの会社に迎えようとする大道寺氏。
 過去の経緯から、素直にそれを受け入れられない佐多くん。
 そこへたいへんな報せがもたらされる。
 なんと、大道寺氏に殺人の容疑がかかっているという。
 佐多くんは警察がくる前に、祖父の容疑を晴らそうとするが・・・
 二転三転する事件の解釈、大道寺氏の思惑と佐多くんの葛藤、
 さらには来栖さんの将来をも巻き込み、もちろんニャン氏も登場する。
 わずか50ページほどだけど、密度の濃い物語が展開する。


サブキャラ筆頭の来栖さんが良い味を出してる。
メイドのバイトで生計を立ててる苦学生だったり、
最終話での佐多くんへの協力ぶりで明らかになる聡明さといい、
単なる萌えキャラではなく、健気に頑張ってる姿に好感が持てる。

本書のラストで、佐多くんは大学への復学を決め、
さらには自らの人生について大きな選択をする。

佐多くんを巡る物語はここでひと区切りがつくのだけれど、
彼と来栖さんの今後も気になる。

もし、ニャン氏の探偵譚が今後も続くのなら、おそらく
佐多くん以外の人物をメインに据えることになるのだろうけど、
ぜひ、あの二人も登場させてほしいなあ。

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