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Symphony 漆黒の交響曲 ミステリー傑作選 [読書・ミステリ]

Symphony 漆黒の交響曲 ミステリー傑作選 (講談社文庫)

Symphony 漆黒の交響曲 ミステリー傑作選 (講談社文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/04/15
  • メディア: 文庫



評価:★★★

1年間に発表された短編ミステリから選ばれた作品を
2分冊で刊行しているシリーズ。

本書は2012年に発表された作品から選ばれた12篇のうち、
6篇を収録している。残りの6篇を収録した
「Esprit 機知と企みの競演」も手元にあるので近々読む予定。


「暗い越流」若竹七海
 自ら運転する自動車を暴走させて5人を死亡させ、
 23人を重軽傷に至らしめた凶悪殺人犯・磯崎。
 死刑が確定した獄中の彼に対して、
 『山本優子』と名乗る人物がファンレターを送ってきた。
 出版社で嘱託として働く "私" は、
 送り主の素性調査を請け負うことになる。
 単なる "死刑囚グルーピー" を捜すだけかと思われたが
 そこから意外な展開に巻き込まれ、意表を突くラストが待っている。
 この発端からこの結末は想像できないだろう。
 第66回日本推理作家協会賞短編部門受賞なのも頷ける。

「本と謎の日々」有栖川有栖
 <華谷堂書店>で働く女子大生アルバイト・詩織。
 彼女の周囲で起こる、本を巡る不思議な出来事の数々。
 それを鮮やかに解き明かすのは店長・浅井だった。
 有栖川有栖が書く "日常の謎" ミステリとは珍しいが
 分かってみれば「あるある」なことばかりで、すとんと腑に落ちる。

「ゆるやかな自殺」貴志祐介
 暴力団組員・野々垣は、目の上のこぶだった若頭・岡崎を
 自殺を装って殺害する。しかし、野々垣の手下である
 チンピラ・三夫が真相に気づいたらしい・・・
 厳重な密室の中にいた被害者をどうやって殺したのか。
 防犯コンサルタント・榎本が探偵役を務めるシリーズの一編。
 トリックだけ見たら、立派なバカミスなんだよなぁ・・・

「悲しみの子」七河迦南
 国際結婚した夫婦・宏とアンナは離婚することになった。
 別れに際して引き取られていく子どもを巡る物語なのだが
 ラストに至ると意外な事実が明らかになる。
 人が死ぬミステリではないのだけど、
 幼い子どもが苦しむ話は読んでいて胸が痛むなあ・・・

「青葉の盤」宮内悠介
 碁盤師(碁盤を作る職人)・吉井利仙(りせん)は、
 碁盤用の榧(かや)の木を求めて山口の山中に分け入るが、
 そこで出会ったのは伝説の碁盤師・黒澤昭雄の一人娘、逸美。
 父の後を継いで碁盤を作り続ける逸美が語る、父の事故死の様子。
 利仙はそこに秘められた真実を探り出す・・・
 SF畑の人かと思ったけどミステリも達者。
 連城三紀彦の「花葬シリーズ」っぽい雰囲気もちょっぴり。
 囲碁のルールはさっぱり分からないけど、
 碁盤を巡る蘊蓄もとても興味深く読めた。

「心を掬う」柚月裕子
 投函した郵便物が届かない、という申し出が相次ぎ、
 米崎地検の検察官・佐方は調査に乗り出す。
 やがて、中央郵便局の職員・田所が局内で
 封書から現金を抜き取っている疑いが浮上する。
 決定的な証拠をつかむため、佐方はある行動に出るが・・・
 捜査のためとはいえ「そこまでやる」とは天晴れ。
 知らぬ存ぜぬとシラを切りまくっていた田所が、
 佐方のかけた罠にはまって "落ちる" シーンは痛快だ。


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