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バチカン奇跡調査官 血と薔薇と十字架 [読書・ミステリ]

バチカン奇跡調査官  血と薔薇と十字架 (角川ホラー文庫)

バチカン奇跡調査官  血と薔薇と十字架 (角川ホラー文庫)

  • 作者: 藤木 稟
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2011/10/25
  • メディア: 文庫



評価:★★★

カソリックの総本山、バチカン市国。
世界中から寄せられてくる "奇跡" に対して
その真偽を判別する調査機関『聖徒の座』。

そこに所属する「奇跡調査官」である
天才科学者の平賀と、その相棒で
古文書の読解と暗号解読の達人・ロベルト。
この神父二人の活躍を描くシリーズの第5作。


イギリスでの "奇跡" 調査の帰路、二人を乗せた車が
ホールデングスという田舎町にさしかかったところで
行く手に謎の青白い火の玉が現れる。

車は横転し、ロベルトは負傷した平賀を抱えて脱出、
助けを求めて近くの教会へ駆け込む。

そこで彼が見たものは、柩に納められた女性の屍体が
今まさに死から甦ろうとしている瞬間だった。
彼女は一週間前、自室で首筋から血を吸われて死んでいたのを
家族に発見されていたのだ。

この事件を皮切りに、"吸血鬼" の実在が
伝説として語り継がれてきた田舎町で、
次々に "吸血鬼" の被害者が現れる。

常人を遙かに超えた身体能力を示し、
狼や蝙蝠に変身しての神出鬼没の跳梁ぶりを見せつける。

土砂崩れによって外部と隔絶されてしまった町で、
地元の名士にして、代々この町の町長を務めてきた
ルーク家に滞在することになった二人は、
先客であるルーマニアの吸血鬼研究家・タリチャアヌ教授とともに
町を覆う吸血鬼の脅威に立ち向かうことになる・・・


私は「ホラーは苦手」と常々このブログで公言してるんだけど
「角川ホラー文庫」から出ているこのシリーズを読んでいるのは
一見して "奇跡" に思われるような "奇っ怪なこと" が
平賀とロベルトによって科学的・合理的に解き明かされていくのが
とても興味深くて面白いと感じられるから。

 いわば現代版「怪奇大作戦」みたいなものだと思ってる。
 (いつもながら例えが古いねぇ。若い人はきっと知らないよ・・・)

そして今回のテーマは "吸血鬼"。
たぶんホラーの世界では横綱級のキャラクターが
本作では堂々の主役を張る。

 舞台となるホールデングスの町には、
 『吸血鬼ドラキュラ』の作者ブラム・ストーカーも
 かつて訪れたことがある、って設定まで用意されていて
 "創業家"(笑)へのリスペクトも怠りない。

出てくる怪奇現象も枚挙にいとまがない。
屍者の甦りを始めとして、平賀とロベルトの前に展開するのは
およそ常人には不可能な事象の数々。

これらの "奇跡" の数々に合理的な説明を与えるのは
無理じゃないかなあ・・・って読んでる時は正直思ったけど
ラストまで来てみると、意外なまでに解き明かされていてびっくり。

「いくらなんでもこれは無理だろう」と思われる現象にまで
きっちりと説明が割かれているのは流石だ。

もっとも、かなりのこじつけや強引さを感じる部分も
ないわけではないが、総じてみれば良くできていると思う。

最終ページまで読み終えた時、99%までは解き明かされても
残り1%に、人知の及ばぬ "超常の領域" を残すあたりも上手だ。


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