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多々良島ふたたび ウルトラ怪獣アンソロジー [読書・SF]

多々良島ふたたび: ウルトラ怪獣アンソロジー (TSUBURAYA×HAYAKAWA UNIVERSE)

多々良島ふたたび: ウルトラ怪獣アンソロジー (TSUBURAYA×HAYAKAWA UNIVERSE)

  • 作者: 山本 弘
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2015/07/23
  • メディア: 単行本



評価:★★★☆

「TSUBURAYA ✕ HAYAKAWA UNIVERS 01」と銘打った、
ウルトラシリーズを題材にした、怪獣SFアンソロジー。

各編の最後には、作者とウルトラ作品との出会いをテーマにした
エッセイがつき、イラストレーターも作品ごとに替えてあるという
豪華なつくり。


「多々良島ふたたび」山本弘
 『ウルトラマン』第8話「怪獣無法地帯」の後日談。
 巨大怪獣に襲われた多々良島の測候所。
 ただ一人生き残った所員・松井は、多々良島の学術調査団に参加する。
 しかし一行を乗せた船には密航者がいた。
 それは毎日新報記者・江戸川由利子だった・・・
 さすがは怪獣小説の第一人者(?)だけあって、ツボを押さえてる。
 多々良島に5体もの怪獣が一度に出現した意外な理由が明らかになり、
 由利子の登場も単なるカメオ出演に終わらないし、
 あの怪獣の命名秘話まで飛び出してくる。
 あと、イラストに描かれた由利子さんが超美人(おいおい)。
 桜井浩子さんにはあんまり似てないんだけど(^_^;)

「宇宙からの贈りものたち」北野勇作
 タイトルは『ウルトラQ』第3話「宇宙からの贈りもの」から。
 イッペイくんとユリちゃんを主役に、
 火星から来た巨大ナメクジ怪獣の巻き起こす騒動を描いている。
 とはいうものの、私には今ひとつよく分からない。
 この作者の作品は、今まで私のストライクゾーンに
 (自分で言うのも何だけど、そんなに狭くないつもり)
 来たことがないんだよなあ。 

「マウンテンピーナッツ」小林泰三
 ヒロイン・千草はアイドルを目指す女子高生。
 そしてもう一つの顔は、ウルトラの戦士・"ウルトライブ"。
 今日もオーディションに怪獣退治に大忙し。
 そんな彼女の前に立ちはだかる "マウンテンピーナッツ" とは
 「怪獣保護」を叫ぶNGO団体だ。
 ウルトラの戦士 vs 怪獣 vs 世界最強の環境保護団体(笑) という
 三すくみというか三つどもえというか、
 よく分からない "戦い" が描かれる。
 イラストの女の子がかわいいなあ。私の好みだ(おいおい)。
 ちなみにイラストレーターは
 ファフナーやガンダムのメカデザイン・鷲尾直弘。
 小林泰三と言えば『AΩ』(アルファ・オメガ)だよなあ。
 またあんな作品を読みたいなあ・・・

「影が来る」三津田信三
 毎日新報記者・江戸川由利子の周囲で、不可解な事件が頻発する。
 どうやら、由利子が "もう一人" いるらしい・・・
 作者お得意のホラー路線で描かれた、正統派のパスティーシュ作品。
 『ウルトラQ』のエピソードの一つ、と言われても違和感がない。

「変身障害」藤崎慎吾
 米瀞(めとろ)メンタルクリニックに現れたその男は、
 M78星雲からやってきた『ウルトラセブン』と名乗る。
 モロボシ・ダンという名でウルトラ警備隊に勤務しながら、
 私生活では妻と娘と暮らしているという。
 ブラックユーモア満載で、読んでいるうちに
 どんどん可笑しくなってくる。
 セブンのパロディとしては秀逸の出来だと思う。
 ぜひ実相寺昭雄監督に映像化してもらって・・・
 ってもう無理か(;_;)。

「怪獣ルクスビグラの足型を取った男」田中啓文
 日本列島に怪獣が頻出していた時代。
 「怪獣学」が発達し、怪獣に関する様々な資格・職業が生まれた。
 その一つ、怪獣類足型採取士・田中啓文に弟子入りした福太郎は
 師匠の果たせなかった夢、世界最初の怪獣ルクスビグラの足型を取るべく
 シルジョンスン島へ向かう・・・
 この人の作品は往々にしてダジャレで終わることが多いのだが・・・
 今回も脱力もののオチが待っている。

「痕(あと)の祀(まつ)り」酉島伝法
 主人公・降矢は、加賀特掃会(!)で働いている。
 彼の仕事は、倒された怪獣の死体を処理すること。
 "斉一顕現体" とか "万状顕現体" とか "絶対子" とか
 作者お得意の漢字用語が飛び交うが
 それぞれはウルトラ世界でおなじみの "言葉" の言い換え。
 何が何を表しているのかは読んでのお楽しみ。
 この人、苦手なんだけど本作は最後まで読めたよ(^_^;)。
 イラストはSF界の大御所・加藤直之。


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忍び道 利根川 激闘の巻 [読書・歴史/時代小説]

忍び道: 利根川 激闘の巻 (光文社時代小説文庫)

忍び道: 利根川 激闘の巻 (光文社時代小説文庫)

  • 作者: 武内 涼
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2015/09/09
  • メディア: 文庫



評価:★★★☆

時は元禄16年(1703年)、将軍・綱吉の治世。
公儀隠密の "劣化" を憂う老中・小笠原佐渡守によって設立された
"忍者養成学校"・妙義山学問所。
13歳の一平をはじめ、関八州から集められた
"忍びの資質" を持つ子どもたちは、厳しい訓練に明け暮れている。

隠密の "復活" を嫌う一部の幕閣は、
凶悪な盗賊集団へと墜ちた風魔衆と手を結び、
学問所を取りつぶすべく策を巡らす。
その攻防を描いた前巻に続く、シリーズ第2巻。


風魔衆から入手し、今は学問所の運営資金として管理されている
2000両の小判を、江戸の伊賀組屋敷へ移送する計画が持ちあがる。
予想される風魔の襲撃を躱すため、商家の一行に扮することにし、
子どもたちからも、特に秀でた者が6名同行することに。

選ばれたのは座学・体術共にバランスよく習熟した一平、あやめ、雪。
素早い身のこなしに優れるつぎお、膂力にまさる雲三郎。
そして座学で傑出し人格的にも優れた辰之進の6名。

学舎長・百地半太夫は商家のご隠居、師範4人も使用人に化け、
総勢11名は2つの千両箱とともに利根川を下り、一路江戸を目指す。

かつて11歳で伊賀流忍法をすべて会得し、
半太夫に「もはや教えることは何もない」とまで言わしめた
天才忍者・依那具ノ四方介(いなぐの・よものすけ)。

23年前、大老・酒井忠清謀反の噂を探りに上州厩橋藩に潜入したまま
消息を絶った四方介が、2000両を追う風魔衆の一人として姿を現した。
すべては、自分を "捨て駒" にした半太夫に復讐するために・・・


子どもたちの修行がメインだった前巻とはうって変わり、
今回は実戦だ。風魔衆による "本気モード" な襲撃が描かれる。
(前回が手抜きだったというわけじゃないが)
風魔衆が繰り出す罠また罠の連続に
師範たちは斃れ行き、子供らも傷ついていく。
タイトルの「激闘の巻」に偽りはない。

このあたり、往年の白土三平の忍者マンガを彷彿とさせて
私くらいの世代には懐かしい雰囲気もある。

少しずつリーダーとしての資質を開花しつつある一平のように、
子どもたちも成長はしているのだけど、やはりまだまだ力不足。
自らを護るのに精一杯で、事態の推移を見守るしかないシーンも多い。
彼らの本格的な活躍は次巻以降へのお預けだろう。


どうでもいい話だけど、今回は主な舞台が利根川とあって
埼玉県出身の身としては、なじみの地名がたくさん出てきたのは
単純に嬉しかったよ。


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怪獣文藝の逆襲 [読書・SF]

怪獣文藝の逆襲 (幽BOOKS)

怪獣文藝の逆襲 (幽BOOKS)

  • 作者: 有栖川 有栖
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2015/03/28
  • メディア: 単行本



評価:★★★

怪獣小説のみを集めた書き下ろしアンソロジーの第2弾。

前作が「怪獣文藝」で今作が「怪獣文藝の逆襲」。
そのうち「怪獣文藝対キングギドラ」とか
「怪獣文藝の息子」とか出るのかねぇ。まさかね。

ああ、でも「三大怪獣文藝 地球最大の決戦」とかいう
タイトルだったら購買意欲がそそられるなあ・・・

閑話休題。


「怪獣二十六号」樋口真嗣
 25年前に樋口真嗣監督が書いた企画書なのだとのこと。
 ちなみに「二十六号」というのは、
 昭和二十九年に上陸した怪獣(もちろん初代ゴジラ)を「一号」とし、
 登場(発見?)順に番号を振ったもの。
 本作は昭和六十六年の出来事と設定されているので、
 それまでに24種の怪獣が出現したわけだ。
 オリンピック会場の建設が進む信越地方で、
 トンネル工事現場から現れた身長18mの怪獣に対し、
 建設技師や現場監督、自衛隊員などが協力して怪獣に立ち向かう。
 武器はトンネル掘削用の土木工作機械。
 でも本編より、最後に載ってる
 樋口監督へのインタビューの方が面白いって何(笑)。

「怪獣チェイサー」大倉崇裕
 怪獣対策が進み、怪獣そのものが脅威ではなくなりつつある日本。
 ヒロイン・岩戸正美は。怪獣の移動進路/上陸地点の予想、
 作戦区域への誘導、近隣住民の避難などを司る "怪獣予報官" 。
 しかし封鎖された作戦区域に現れた謎の一団。
 それは、怪獣に接近して迫力満点の動画を撮影し、
 ネットにアップしている "怪獣チェイサー" だった・・・
 これ、面白いなあ。シリーズ化希望。

「廃都の怪神」山本弘
 主人公は赤道直下の密林で生まれ育った少年。
 秘密結社ガダイバ教に捕らえられ、古代都市の遺跡で
 彼らの崇める神に捧げる生け贄とされようとしていた。
 やがて現れた "ガダイバ神" は体長30mにおよぶ大蜥蜴だった・・・
 生身の人間と怪獣が戦う話として良くできていると思うけど
 私としてはやっぱり「MM9」シリーズの新作が読みたいなあ。
 それとも、これもシリーズのスピンオフなのかなあ・・・

「ブリラが来た夜」梶尾真治
 50歳を過ぎてから急激な老化現象が現れた母が、
 未確認の巨大生物が現れた、とのニュースを聞いたとき
 「私を山に連れて行ってくれ」と言い出した・・・
 『ウルトラQ』のエピソードのひとつ、といわれても違和感ない話。
 さすがは短編の名手らしく、切なくて恐い。

「黒い虹」太田忠司
 クラスメイトからのいじめにあっている "僕" がのめりこんだのは
 大昔のテレビドラマ『世紀の大怪獣ドノポリカ』。
 "僕" の描いた "大怪獣" の絵に、転校生の悠矢は興味を示すが・・・
 作品の雰囲気はNHKの「少年ドラマシリーズ」に近いかな。
 作中に登場するドノポリカも、「ウルトラQ」よりは
 往年の大映怪獣映画?かなあ。

「怪獣の夢」有栖川有栖
 幼い頃から、怪獣の夢を見てきた主人公。
 間もなく還暦を迎えようという現在までの回想が
 怪獣の夢の数々とともに語られる。
 終盤で明らかになる主人公の正体にちょい驚き。
 さすがは本格ミステリの名手? って書いたら褒めすぎかな。

「孤独な怪獣」園子温
 自伝小説のようなエッセイのような作品。
 80年代の高円寺を舞台に、映画監督を目指す主人公の
 鬱屈した日々が綴られていく。
 異色作ではあるが、このアンソロジーの中では浮いてるなあ・・・
 って思って巻末の作者紹介を観たら、昨年(2015年)公開された
 "怪獣映画"「ラブ&ピース」の監督さんだって。
 公式サイトの予告ムービーが面白そうだったので
 レンタルビデオで観てみようかな。

「トウキョウ・デスワーム」小中千昭
 東京の大深度地下を縦断するトンネルの掘削中に
 直径11mを超える大きさの巨大ミミズに遭遇し、
 シールドマシンは体液で腐食してしまう。
 調査に向かった生物研究者・高光は、掘削現場で
 すべての記憶を失った謎の少女を発見する。
 私はこの手のナガイモノは苦手なんです・・・
 これはSFというよりはホラーですねぇ。

「聖獣戦記 白い影」井上伸一郎
 1274年、元の皇帝・クビライによる日本侵攻、
 いわゆる文永の役は、"神風" によって失敗に終わった。
 そして7年後、ふたたび元はやってきた。
 御家人・龍造寺家清(いえきよ)は7年前、謎の勾玉の守護によって、
 元軍を相手に奮戦した。そして今、
 もうひとつの勾玉を持つ若者・対馬小太郎に出会った・・・
 怪獣小説と言うよりは伝奇ファンタジーだけど、とても楽しく読めた。
 巻末の作者紹介に、井上伸一郎氏は元編集者で、
 「現在は(株)KADOKAWAの代表取締役専務」でびっくり。
 「小説執筆ははじめて」で二度びっくり。
 仕事柄、量産は難しいだろうけどたまには書いてほしいなあ。


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儚い羊たちの祝宴 [読書・ミステリ]

儚い羊たちの祝宴 (新潮文庫)

儚い羊たちの祝宴 (新潮文庫)

  • 作者: 米澤 穂信
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2011/06/26
  • メディア: 文庫



評価:★★★☆

「イヤミス」なる言葉があるそうな。
「読後、イヤーな気持ちになるミステリ」のことだという。

ならばさしずめ本書は「イヤミス」の典型じゃないかな。
私は本を読むのは、基本的に楽しみのためなんだけど
その "楽しみ" の中には、
「イヤーな気持ちになる」ってのは入ってないんだなあ。

・・・なんだけど、本書は一生懸命読んでしまったし
けっこう楽しませてもらった。
それはやっぱりこの作者だからかなあ。
本格ミステリからホラーまで詰まった連作短編集だ。

某大学に通うお嬢様たちがつくった読書サークル「バベルの会」。
各作品の共通点は、このサークルに所属する女性が登場すること。
それも主役とは限らず、端役の一人がメンバーだった、くらいの
"ゆるーい" つながりでしかない。
だから「連作」とは言っても、作品相互に
ストーリー上のつながりは全くない。

時代設定は明記されていないのだけど、かなり昔のようである。
少なくとも昭和後期以降ではないだろう。

どの作品も、ラストの一行は登場人物の台詞で終わっているのだが
この一行が実にえぐい。


「身内に不幸がありまして」
 実業家として大きな勢力を振るう丹山(たんざん)家。
 身寄りがなく孤児院で育った娘・村里夕日(ゆうひ)は
 丹山家に引き取られ、長女・吹子(ふきこ)の世話係を命じられる。
 大学で「バベルの会」に入った吹子だが、
 その合宿の直前に惨劇が丹山家を襲う。
 長男・宗太が錯乱し、ライフルで三人の人間を射殺したのだ・・・
 これはアンソロジーで既読。
 個人的にはこの短編のラストが一番インパクトがあったかな。

「北の館の罪人」
 実業家・六綱虎一郎(むつな・こいちろう)の妾腹の娘・あまり。
 母が亡くなったことをきっかけに六綱家に身を寄せるが
 現当主にしてあまりの異母兄・光次から
 "北の館" で暮らす兄・早太郎の世話を頼まれる。
 なぜか館から出ることを許されていない早太郎は、
 あまりに一風変わった買い物を託すのだが・・・
 ミステリとしては「身内に-」と「北の館-」が双璧だと思うけど、
 どちらかというとこっちの方が好みかな。

「山荘秘聞」
 貿易商・辰野家の別荘「飛鶏館」の管理を任された屋島守子。
 しかし館の整備を万端に整えても、一向に辰野家は別荘に現れない。
 冬を迎え、周囲を雪に閉ざされたある日、
 守子は遭難した登山者・越智を発見し、手当をした。
 やがて越智を救助するべく捜索隊がやってきたが・・・
 結末の意味がわかるまでちょっと時間がかかった。
 理解した後は、笑ったらいいのか怒ったらいいのか悩んだ。
 でもいちばん衝撃だったのは守子さんの年齢(笑)。
 終盤近くで明らかになるんだけど、まあびっくり。

「玉野五十鈴の誉れ」
 名家・小栗家の一人娘・純香(すみか)。
 母もまた一人娘で婿養子をもらって純香をもうけた。
 将来は婿を迎えて家を継ぐことを運命づけられた彼女は、
 15歳の時に、五十鈴という娘を使用人として与えられた。
 身分の枠を超えて親愛の情をはぐくむ二人だったが
 伯父(父の兄)が殺人事件を起こした時から運命は一転する。
 純香の祖母がとにかく凄まじい。
 この短編集の中で最強のキャラだと思う。

「儚い羊たちの晩餐」
 大学生・大寺毬絵の父は資産家である。
 財力にものを言わせて、一流の料理人を雇うことにした。
 大寺家に現れたのは美しき女性料理人・黒井と "厨娘"・夏。
 彼女らの作る料理は絶品ではあるものの、
 毎回なぜか通常の数十倍の食材を必要としていた。
 そんな料理人たちに不審を抱きつつも、毬絵の父は
 黒井に "未だ作ったのことのない料理" を作らせようとする。
 そのために毬絵が提案した料理とは・・・
 いやあもうこれはミステリではありませんね。


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大江戸恐龍伝 全6巻 [読書・SF]

大江戸恐龍伝 一 (小学館文庫)

大江戸恐龍伝 一 (小学館文庫)

  • 作者: 夢枕 獏
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2015/11/06
  • メディア: 文庫




大江戸恐龍伝 二 (小学館文庫)

大江戸恐龍伝 二 (小学館文庫)

  • 作者: 夢枕 獏
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2015/11/06
  • メディア: 文庫




大江戸恐龍伝 三 (小学館文庫)

大江戸恐龍伝 三 (小学館文庫)

  • 作者: 夢枕 獏
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2015/12/08
  • メディア: 文庫




大江戸恐龍伝 四 (小学館文庫)

大江戸恐龍伝 四 (小学館文庫)

  • 作者: 夢枕 獏
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2015/12/08
  • メディア: 文庫




大江戸恐龍伝 五 (小学館文庫)

大江戸恐龍伝 五 (小学館文庫)

  • 作者: 夢枕 獏
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2016/01/04
  • メディア: 文庫




大江戸恐龍伝 六 (小学館文庫)

大江戸恐龍伝 六 (小学館文庫)

  • 作者: 夢枕 獏
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2016/01/04
  • メディア: 文庫



評価:★★★★

私が「平賀源内」という人物を知ったのは、
NHKのTVドラマ『天下御免』(昭和46年)だったと思うんだが、
如何せん私がこのドラマの存在を知ったときはもう終盤で、
最終回直前の数話しか観られなかった。
そのあまりの面白さにビックリしたのだけど、時すでに遅し。
当時はVTRにも残されなかった(テープが高価だったため)ので
再放送もされず、とても残念だったのを覚えている。

閑話休題。


さて、本書を読む前の私が持ってた事前知識は
「夢枕獏版『ゴジラ』」で、
「江戸の町で大暴れする恐竜と平賀源内が戦う話」という
とてもざっくりとしたもの。
怪獣小説が大好きな私としては読まないわけにはいかない。
というわけで取りかかったんだが・・・


10代将軍・徳川家治の世、明和8年(1771年)。
高松藩浪人・平賀源内は、様々な分野に有り余る才能を発揮していた。
発明は言うに及ばず装飾品の開発、浄瑠璃の執筆、
果ては秩父の鉱山開発まで乗り出していたが、
どれも中途半端で(文字通り)ひと山当てるまでには至らず、
思うように行かない自分の人生に鬱屈した思いを抱いていた。

そんな時、「龍の掌」なるものを所蔵する寺へ赴いた源内は、
それを150年前に "竜宮" から持ち帰った男のことを知る。
残された書きつけに記された「ニルヤカナヤ」という島が
龍の棲むという "竜宮" のことなのか?

折良く源内のもとへ豪商・三津井庄左衛門から依頼が舞い込む。
息子・庄九郎が乗った船が遭難し、ただ一人生還した水夫によると
彼らは「ニルヤカナヤ」という島へ漂着したという。

庄九郎の探索に乗り出した源内は、
庄左衛門の財力で巨大船「ゑれき丸」を完成させ、
「ニルヤカナヤ」の手がかりを求めて琉球へ向けて出港する・・・


何せ文庫で全6巻、総計2000ページを超える大長編。
ここまでの話で前半3巻分を要している。でも、
なかなか「大江戸」で「恐竜」が「大暴れ」してくれない。


いよいよ「ニルヤカナヤ」に到着したものの、
島は二つの国に別れて内戦の真っ最中。
それに巻き込まれていく源内一行を描くのが4巻~5巻中盤。

内戦に決着をつけ、庄九郎を含めた生存者と
「ニルヤカナヤ」に棲んでいた肉食恐竜・"饕餮"(とうてつ)を
「ゑれき丸」に載せ、源内たちが江戸へ帰ってくるのが5巻の終盤。
その "饕餮" が逃げ出し、大暴れするのが6巻中盤から終盤にかけて。
やっとここで「大江戸」「恐竜」伝になるというわけだ。

 ちなみに、なんで絶海の孤島に太古の恐竜が生き延びていたのかも
 いちおう説明はされてる。


冒頭にも書いたが、本書は「夢枕獏版『ゴジラ』」との触れ込み。
しかし、上記の文章を読んでもらえばおわかりかと思うが
ストーリーこそ『キングコング』を踏襲しているけれど、
私の期待した「怪獣小説」としての雰囲気は希薄なんだなあ・・・

はじめて本家の『ゴジラ』(1954)を観た時、
白黒の映像も相まって、スクリーンの中の怪獣の姿に
ものすごい恐怖感を覚えたものだが、
こちらの "饕餮" から感じられるのは、どちらかといえば悲哀に近い。

時代を超えて生き延びてしまったがために、
楽園から連れ出され、見世物になり、逃げ出せば攻撃される。
"饕餮" には非はなく、すべては人間のエゴのなせる業だったりする。

このあたりは読む前とちょっとイメージが違ったなあ・・・
もっと獰猛で破壊の権化のような大暴れが観られると思ってたから。

平賀源内の活躍も、人間に迫害される "饕餮" を憐れんで、
なんとか故郷の島へ返してやろう、という方向。
てっきり「戦う」とばかり思ってたから・・・

 エレキテルを3000台くらい量産して、それを一斉に発電させて
 恐竜の "感電死" を図る・・・くらいの
 ぶっ飛んだ展開を期待してたんだけどね。
 ゴジラが高圧線でバチバチするシーンを再現するみたいにさぁ。

まあ、私の読みたかった「怪獣小説」とは
方向性がいささか異なっていたのは事実だ。


じゃあ、つまらなかったのか? というと、そんなこともないんだな。
謎の一味との剣戟があったり、大洋のまっただ中で嵐に遭遇したり
絶海の孤島での籠城戦があったり、もちろん江戸の町をのし歩く恐竜も。
日本史上でも比類なき天才・平賀源内を主役にした冒険小説、
と割り切って読めば、とても楽しい読書の時間が過ごせる。

また、本筋のストーリーと並行して「火鼠の一味」なる
謎の盗賊団の暗躍が描かれていくんだが、
ラストではそれが恐竜を巡る大騒動と絡み合い、
長大な物語のあちこちに撒かれていた伏線が回収され、
意外な真実が明らかになる。このあたりはミステリとしても面白い。

平賀源内と言えば田沼意次は切っても切れないが
杉田玄白、前野良沢、円山応挙、長谷川平蔵(「鬼平」!)など
同時代の "有名人" たちが綺羅星の如く登場し、
物語を盛り上げてゆく。

文庫で2000ページ超の作品だけど
エピローグに溢れる爽快感と限りない希望にたどり着いてみると、
最後まで読み通した甲斐があるというものだ。

基本的に、長い話は嫌いではないので
全6巻、通読するのに要したおよそ3週間、
とても楽しい思いをさせてもらいました。


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背表紙は歌う [読書・ミステリ]

背表紙は歌う (創元推理文庫)

背表紙は歌う (創元推理文庫)

  • 作者: 大崎 梢
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2013/07/27
  • メディア: 文庫



評価:★★★

中堅出版社・明林書房の新人営業マン井辻智紀くんが
書店を巡りながら出会うあれこれを描いたミステリ・シリーズ、第2弾。


「ビターな挑戦者」
 出版社と書店の間の流通を司る取次会社の大手である全国書籍販売、
 通称ゼンパンに新刊見本を持って行った智紀は
 社員の大越から辛辣な言葉を浴びせられる。
 「売れない本、ちまちま作ってんじゃねーよ」
 憤りを覚える智紀だったが、やがて彼の過去の"事情"を知る。

「新刊ナイト」
 新進作家・白瀬みずきは「昔の知り合いに会いたくない」との理由で
 今までサイン会を行ってこなかった。
 今度の新刊発売で、やっとサイン会に引っ張り出すことに成功したが
 サイン会の会場になるナガマツ書店の店員・青池は
 高校時代のみずきを知っているらしい。
 繊細なみずきを慮る智紀は、サイン会までになんとか
 青池とみずきの関係を探り出そうとするのだが・・・

「背表紙は歌う」
 40代のベテラン営業員・久保田から頼み事をされた智紀。
 新潟にある彼女の知り合いの書店が営業危機にあるらしい。
 ちょうど新潟へ営業に行っていた同業者・真柴に連絡をつけ、
 くだんの書店の様子を探ってもらうが・・・

「君とぼくの待機会」
 日本有数の文学賞である「東々賞」の候補作6点が発表になった。
 受賞すれば大きな販売増が見込めるため、各社の営業員も力が入る。
 そんなとき、書店員の間にある噂が広まっていた。
 「今年の受賞は『ベンジャミンの橋』でもう決まっている」
 書店と作家にいらぬ混乱を与えるデマを流したのは誰か。
 発表まで残された時間が少ない中、智紀が噂の出所を探って奔走する
 タイムリミット・サスペンス(?)。

「プロモーション・クイズ」
 新刊本を売り出すのに大きな力を持つ「書店員のコメント」。
 智紀もあちこちの書店員にコメントをお願いするが、
 集まった中に、コメントではなくなぜか「なぞなぞ」が入っていた。
 その「なぞなぞ」を寄せてきたのは成風堂書店の店員さんだった・・・


井辻君以外のレギュラーメンバーも健在で、
本を愛する人々のさまざまなエピソードは読んでいて楽しい。

前巻と同じくミステリ度は低めだけど、
本を巡る "ちょっといい話" が集まった、本好きにはうれしい短編集だ。


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ダブル・ジョーカー [読書・サスペンス]

ダブル・ジョーカー (角川文庫)

ダブル・ジョーカー (角川文庫)

  • 作者: 柳 広司
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/06/22
  • メディア: 文庫



評価:★★★

昭和12年。帝国陸軍中佐・結城の発案で、
極秘裏に設立されたスパイ養成所・"D機関"。

かつて自身も優秀なスパイだった結城の指揮の下、
頭脳明晰な学生が集められ、様々な訓練が行われる。

スパイに必要と思われるあらゆる技術を叩き込まれた
"D機関" の "卒業生" たちと、その総帥にして
"魔王" の異名を持つ結城中佐の活躍を描く作品集、第2弾。


「ダブル・ジョーカー」
 陸軍中佐・風戸は、列強との諜報戦に対抗すべく
 参謀本部宛にスパイ養成の必要性を具申する。
 秘密裏に "D機関" を設立済みの陸軍だったが、風戸の提案を受け入れ、
 風戸に新たなスパイ養成所 "風機関" の設立を命じる。
 その目的は、軍部の思想と相容れない "D機関" を追い落とすこと。
 そして参謀本部は、両機関に同一の使命を与えた。
 元外交官・白幡を監視し、スパイの証拠をつかむこと。
 結城とスパイ戦を競うことになった風戸だが・・・

「蠅の王」
 中国大陸での最前線部隊の軍医・脇坂はソ連のスパイを務めていた。
 彼の元へ、スパイの元締め "K" から連絡が入る。
 「陸軍に設立された秘密諜報組織が、
  "魔王" の指揮の下、スパイ狩りを行っている」
 折しも、部隊を慰問団が訪れていた。
 団員に潜む "諜報員" を見つけ出そうとする脇坂だったが・・・

「仏印作戦」
 仏印(現在のベトナム)への出張を命じられた通信技師・高林。
 しかし赴任した彼が直面したのは陸軍と海軍の確執だった。
 日本へ送る暗号電文に携わりながら、ハノイの生活を満喫するが、
 1ヶ月後の夜、謎の暴漢に襲われて失神してしまう。
 彼を救ったのは、"陸軍少尉" と名乗る永瀬という青年だった・・・

「柩」
 ベルリン郊外で起こった列車事故で、日本人・真木が死亡した。
 情報部のヴォルフ大佐は、真木の所持品から
 彼が日本のスパイだったと睨む。
 かつて "魔術師" の異名を持つ伝説のスパイだった日本人が、
 母国でスパイ養成機関を設立したという情報を得たヴォルフ大佐は、
 "魔術師" が部下の死に伴う任務の失敗と混乱を収拾するために
 ドイツに現れると確信し、罠を張るが・・・
 若き日の結城中佐の活躍も明らかになる一編。

「ブラックバード」
 ロスアンゼルスの富豪の娘・メアリーは、バードウォッチングを通じて
 知り合った日本人大学生・仲根と恋に落ち、結婚した。
 子供も生まれ、結婚生活は順調だったが、ある日仲根がスパイだとの
 通報がもたらされ、彼は警察に逮捕されてしまう・・・

「眠る男」(ボーナストラック)
 前作「ジョーカー・ゲーム」に収録されているある短編の
 舞台裏が描かれている。文庫で18ページの掌編。


前作と比べると謎解き要素は減って、ミステリと言うよりは
スパイ・サスペンスの雰囲気を前面に出してきたように思う。
かといってつまらないわけではなく、
「太平洋戦争直前の時代を舞台にした日本人主役の諜報戦」
という珍しい題材を存分に楽しめる。

 他の作品で思いつくのは、佐々木譲のいくつかの長編くらいかなぁ。
 「エトロフ発緊急電」とか「ストックホルムの密使」とか。
 あと何作かあったように思うけど、如何せん記憶が・・・

いつかこのシリーズで、長編が読めたらいいなあ・・・
期待してます。


実は第3作「パラダイス・ロスト」も読み終わってるので、
そのうち載せます。


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パティシエの秘密推理 お召し上がりは容疑者から [読書・ミステリ]

パティシエの秘密推理 お召し上がりは容疑者から (幻冬舎文庫)

パティシエの秘密推理 お召し上がりは容疑者から (幻冬舎文庫)

  • 作者: 似鳥 鶏
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2013/09/04
  • メディア: 文庫



評価:★★★

父の開いた喫茶店PRIERE(プリエール)を引き継いだ長男・季(みのる)。
弟の智(さとる)は大学在学中に国家公務員試験に合格、
卒業後はキャリア警察官としての道を歩んだ。
有能で周囲の期待も高かった智だが、何故か突然退職し、
半年前から兄の店を手伝ってパティシエとして働き始めた。

しかし鋭い推理力を持つ智の力を借りたい県警本部は
智の大学時代の後輩で、秘書室勤務の直ちゃん(直井楓巡査)を
PRIEREに送り込み、なんとか復職させようと算段を巡らしている。

いつのまにかPRIEREの常連客と化した直ちゃんだが
彼女が持ち込む難事件に智は関心をさっぱり示さない。
それを見かねた兄の季が直ちゃんの手伝いに乗り出し、
二人で集めた手がかりが智に解決をもたらす。

安楽椅子探偵一人にワトソン二人という組み合わせだね。

毎回、ラストにお菓子のウンチクがあってそれも楽しみの一つかな。
なかには、それが解決に繋がるものもあるし。


第1話「喪服の女王陛下のために」
 司法試験に合格し、司法修習を間近に控えた青年・正輝が
 崖から不審な転落死を遂げる。
 正輝の恋人だった女性・沙穂を直ちゃんがPRIEREに連れてきたことから
 季は不本意ながらも捜査の手伝いに乗り出すことになる。

第2話「スフレの時間が教えてくれる」
  工員・南が撲殺される。容疑は第一発見者の手嶋慎也にかかり、
 息子・慎也と不仲だった父・手嶋浩がPRIEREにやってくる。
 遺留品から新たに太刀川と遠山という男たちが浮上するが
 二人にはアリバイがあった・・・

第3話「星空と死者と桃のタルト」
 第1話で知り合った弁護士・的場莉子と季・智の兄弟は
 直ちゃんの親類が持つ田舎の別荘に招待される。
 しかしその地では新旧の住人間でトラブルが起こっていた。
 そしてその夜、別荘の隣家で死体が発見される・・・

第4話「最後は、甘い解決を」
 莉子の母親は、20年前に強盗に射殺されていた。
 そしてその13年後、今度は隣家の女性が同じ拳銃で射殺された。
 智の推理は、20年の時を超えて意外な真相を暴き出す。


現在、ブレイク中の似鳥鶏。
順調に作品を発表しているし、ドラマ化もされた。

日常の謎から殺人事件まで、扱う題材も幅広い。
本作も基本的にはユーモア系の作風ではあるのだけど、
智の復帰を願う警察側の思惑もけっこうドロドロしてるし、
何と言っても今回は4編とも殺人を扱っているだけあって
終盤に明らかになる事実関係はけっこう陰惨だ。

 創元推理文庫の「伊神先輩」のシリーズでも
 学園ドタバタ劇の裏側に "人の悪意" が示されていたけど
 本作はそれがもっと前面に出ているようだ。

「第4話」だってタイトルこそ「甘い解決」なんて謳ってるが
実のところいちばん "甘くない" 結末かも知れない。
ミステリとしても本書中いちばんの出来だと思う。

喫茶PRIEREを舞台にした作品は今のところこれ1作のみ。
これで完結でもおかしくはないけど、できれば続きが読みたいかな。
真面目で実直な季と飄々とした直ちゃんが交わす会話がツボなので。


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妖草師 人斬り草 [読書・ファンタジー]

人斬り草: 妖草師 (徳間文庫)

人斬り草: 妖草師 (徳間文庫)

  • 作者: 武内 涼
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2015/03/06
  • メディア: 文庫



評価:★★★

「常世」と呼ばれる "異界" からこの世へ侵入し、
人の心の闇や歪みを苗床に芽吹き、災厄をもたらす "妖草"。

市井で草木の医師として暮らしながら、妖草を刈る "妖草師" として働く
公家の次男坊・庭田重奈雄(しげなお)と、
花道家元滝坊家の一人娘・椿の活躍を描く。
シリーズ第2作。

前作は長編だったが今回は短編集になっている。


「柿入道」
 養源院の住職がこのところ毎晩、奇怪な夢を見るという。
 青い肌の大入道が現れ、庭の柿の木の精だと名乗り、語る。
 『俺を喰うな。実を食った者には祟りがあるぞ』と。

「若冲(じゃくちゅう)という男」
 京の北の村に妖草が現れたとの知らせに、椿と共に訪れた重奈雄。
 妖草 "恐オモダケ" を刈る手配をしている最中、重奈雄は
 青物問屋の隠居・伊藤若冲という男に出会う。

「夜の海」
 江戸の学問所・昌平黌(しょうへいこう)に寄宿する平賀源内の前に
 煙と共に一人の少女が現れる。
 彼女は京で暮らすお銀という10歳の娘で、学問で身を立てるため
 5年前に江戸へ向かったきり消息不明の父がいた。そしてどうやら
 彼女が江戸に現れたのは "謎の花" のせいらしい・・・

「文覚の袈裟」
 重奈雄の友人である池大雅と曾我簫白は、紅葉を見るために
 高雄山にきたが、そこで血まみれで倒れていた男を発見する。
 男は丹後国からやってきた与謝蕪村であった。

「西町奉行」
 京の町を3人の子供が駆け抜ける。
 自らの意思に反して "走らされ"、行き先々で大騒ぎを引き起こしす。
 彼らを助けた重奈雄は、謎の疾走の原因が
 妖草 "韋駄南天" にあることをつきとめるが・・・


伊藤若冲・平賀源内・与謝蕪村とゲストに同時代の大物を揃えた。
蕪村と源内は有名人だけど若冲の名は
つい最近『なんでも鑑定団』で知った。

 あの番組も今いろいろ話題だけど(笑)。

若冲と蕪村については名前くらいしか知らなかったので、
作者描くところの彼らの私生活はなかなか興味深かった。

実は本書を読んでる時、源内が主役の「大江戸恐竜伝」(夢枕獏)を
並行して読んでいたので、期せずして
源内の話を二作同時に読むことになってしまった。

もっとも、年齢がかなり違う。
こっちは30そこそこで「大江戸-」のほうは50近い。
本書の源内の方が真面目かなあ。
あっちの源内はかなりの山師(いろんな意味で)だし。

つい先日、書店に行ったらシリーズ第3作「魔性納言」が出てた。
順調に続巻が出てるってことは、好評なんでしょう。


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三匹のおっさん ふたたび [読書・その他]

三匹のおっさん ふたたび (新潮文庫)

三匹のおっさん ふたたび (新潮文庫)

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/01/28
  • メディア: 文庫



評価:★★★★

「三匹のおっさん」待望の(?)続編。

定年退職後、嘱託でゲーセンの経理を担当する剣道の達人・キヨ、
居酒屋経営を息子夫婦に任せて悠々自適の柔道家・シゲ、
町工場を経営しながら一人娘を育ててきたハイテク男・ノリ。

この三人にキヨの孫・祐希と
ノリの娘・早苗の高校生カップルが加わって
ご町内にはびこる悪を懲らしめていく・


巻頭にはイラストレーターの須藤真澄氏の
8ページに及ぶキャラ紹介漫画がついているので
前作から間が開いてしまった人も
すんなり作品世界に入っていけるだろう。


「第一話」
キヨの一人息子である健児の嫁・貴子。
精肉店でパート勤めを始めたがやることなすことドジばかり。
そんな中、パート仲間の育代と親しくなるが・・・

「第二話」
孫に絵本を買おうと『ブックスいわき』を訪れたシゲは、
子どもの万引きグループに遭遇する。
被害に苦しむ町の書店のために三匹が立ち上がる。

「第三話」
ノリのもとへ、妹の幹代が再婚話を持ってくる。
相手の満佐子は、かつて三人組の夜回りのおかげで
難を逃れたことがあった。
満更でもないノリの様子に、早苗は複雑な思いを抱く・・・

「第四話」
キヨがつとめるゲーセンの敷地に、ゴミを不法投棄する者が現れた。
中学生グループの仕業と踏んだ三人組は
祐希とともに張り込みをするが・・・

「第五話」
商店街の活性化のために神社の祭りの復活を思いついたのは
シゲの息子・康生。
しかし壊れた神輿の修理だけでも100万円かかるという。
商店会の若者らとともに、寄進集めに町内を奔走するのだが・・・

「第六話」
町内でぼや騒ぎが立て続けに起きたが、
なんと三匹とは別の "おっさん三人組" が現れ、
居丈高な態度で町内を練り歩く。
"偽物"たちの態度に不安を覚える三匹だったが・・・


前作では還暦三人組と孫世代の祐希・早苗が中心だったが
本書第一話ではキヨの息子夫婦(健児・貴子)、
第五話ではシゲの息子・康生と
彼らの子ども世代にもスポットを当てている。

祐希もますますいい男になってきたし、
早苗も祐希の母・貴子にすっかり気に入られて。
ノリさんは寂しいだろうが、彼にも
もう一花咲かせる将来が暗示されてるし。

前巻「三匹のおっさん」第一話は、
キヨが長年主宰してきた剣道教室を閉めるところから始まったが
本書「ふたたび」の最終話では、
剣道教室を再開するキヨを描いて終わる。
一周回ってすべてが丸く収まって、まさに大団円。

きれいに収まったのだけど、これで完結かと思うとやはり寂しい。
いつの日か、「三匹のおっさん Part.III」が読めることを期待したい。


ラブコメ&SF&ミリタリーから始まった作者だけど
いつの間に還暦のおじさんのたちの心意気と悲哀まで描くようになって
ホント引き出しの多い作家になってきたなあ。


巻末にはボーナストラック短編
「好きだよと言えずに初恋は」(って村下孝三かよ)
が収録されてる。
前巻第五話に登場した早苗の同級生・潤子の
小学校時代の思い出が綴られる。
読み終わった後、ちょっとネットを検索したら、
この短編に出てくる男の子は
長編「植物図鑑」にも登場しているとのこと。
これも手元にあるので、近々読む予定。


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