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「パズル自由自在 千葉千波の事件日記」 [読書・ミステリ]

パズル自由自在 千葉千波の事件日記 (講談社文庫)

パズル自由自在 千葉千波の事件日記 (講談社文庫)

  • 作者: 高田 崇史
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/07/15
  • メディア: 文庫



評価:★★☆

タイトルにあるように、「パズル」がテーマの小説。
というか「パズル」そのものを小説化した、という感じか。

語り手である浪人生・ぴいくん(あだ名です)と
その従兄弟の千葉千波君が出会う様々な謎。
「日常の謎」とも違う、まさに「パズルのような日常」の話。

あまり深く考えずに、とりあえず暇つぶしに読むには最適の本かな。
誤解されそうだが、これは褒め言葉。
こんなふうにライトなミステリって、ありそうで実は少ない。

「深く考えずに」って書いたが、
読んでるとけっこう一所懸命にパズルの答えを考えている自分がいたりする。


ここまで「パズル」ってのを前面に出すのもすごいなって思ったんだが
ミステリのことを「パズラー」って呼ぶこともあったんだよね・・・

ただ、読んでる最中はそれなりに面白いんだけど、
読み終わったら、
なんだか時間を無駄にしたように思ったのは私だけですかそうですか。
(あ、だからダメだというわけではないのだ、念のタメ。)


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「『瑠璃城』殺人事件」 [読書・ミステリ]

『瑠璃城』殺人事件 (講談社文庫)

『瑠璃城』殺人事件 (講談社文庫)

  • 作者: 北山 猛邦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/03/14
  • メディア: 文庫



評価:★★★☆


1989年の日本、1243年のフランス、1916年のドイツ・・・
愛し合いながらも、不思議な巡り合わせでお互いを殺し合うことになる男女。
二人は、転生(生まれ変わり)を繰り返しながら、殺し合い続ける。

物語は、主に上記3つの時代の話が並行して語られていく。
ちなみにタイトルの「瑠璃城」とは、1243年でストーリーの舞台となる城の名前。


強いて分類すればファンタジー色の強いSFミステリ・・・・かな。
この作品は分類に困る。ま、そんなことは作品の面白さとは全く関係ないけど。

たぶん、根本にはミステリがあって、
その他の要素はこのミステリを成立させるために存在する、のだろう。


惹句に「仰天トリック」とあるように、
この作者は(前作でもそうだったが)
大胆な物理トリックを駆使することで定評があるらしい。
実際、往年の(と言っては失礼か)島田荘司を思わせるような
奇抜な大技を見せてくれる。

ただ、ラストの謎解き(というかそこに至る経過)はちょっと不満。
SFにしろファンタジーにしろ、ミステリにそのようなものを持ち込む限り、
その作品世界での約束事や設定は、(それが謎解きに関係するのならば)
途中で読者に開示するべきだ。
謎解きの最中に「そんな話聞いてねーぞ」ってのは御法度のはず。
この作品の場合、読んでて
「そんな設定があったのかい!」ってことがちょこっとあった。
謎解きに関してはけっこう重要な設定だと思うので、そこだけが残念。


ただ、
「悲しい宿命を背負いながら、時空を超えて愛し合う恋人たち」
っていう視点で読むと、これはけっこういけるんだ。
ラストの余韻なんかとても切なくて、こういうのは嫌いじゃないんだなぁ。


ミステリとしては★★☆
ファンタジーとしては★★★☆

足して2で割って★3つ。


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「ソロモンの犬」 [読書・ミステリ]

ソロモンの犬 (文春文庫)

ソロモンの犬 (文春文庫)

  • 作者: 道尾 秀介
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/03
  • メディア: 文庫



評価:★★★☆

ミステリの紹介は難しい。
とくにこの作品は。

この後、長々と駄文を連ねてあるが、
そんなものは無視して本屋に行くことをお勧めする。

主役となるのは大学生4人組。
クールな京也とフェミニンなひろ子は交際中。
ボーイッシュな智佳はひろ子の高校時代からの親友。
京也の友人、秋内はアルバイトに励みながらも智佳に片思い中。

そんな4人組は、一人の少年と知り合う。
椎崎陽介、10歳。
彼らの通う大学の微生物学助教授・椎崎鏡子の一人息子である。

その陽介が4人の目の前で命を落とす。
愛犬・オービーと一緒の散歩中、突然、犬が謎の暴走をはじめ、
引きずられた陽介は車道に飛び出してしまったのだ・・・

陽介の死は本当に事故だったのか。
そこに何らかの作為はなかったのか。
事故を境に、4人の関係にすこしずつ歪みが生じていく様が
主に秋内の視点から描かれていく。

秋内は動物生態学の助教授・間宮にも相談し、
事故の原因を探っていくが・・・


この作品も「青春」という人生の一時期を扱ったミステリーに含まれるだろう。
私は基本的に青春ものは苦手なんだが(これ最近何回も言ってる気が・・・)、
なんといっても道尾秀介だからね。
4人組の若さ馬鹿さを描きながらもしっかり本格ミステリしてる。

途中までは、ある意味正統的な青春ものっぽい雰囲気も持っているんだけど
ラスト100ページの展開はそれこそ
「えーっ!」
「えーっ!」
の連続で、いやぁ~まったく・・・見事に一本とられてしまいました。


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「ふたり探偵 寝台特急「カシオペア」の二重密室」 [読書・ミステリ]

ふたり探偵―寝台特急「カシオペア」の二重密室 (光文社文庫)

ふたり探偵―寝台特急「カシオペア」の二重密室 (光文社文庫)

  • 作者: 黒田 研二
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2010/07/08
  • メディア: 文庫



評価:★★★

人気作家の星崎綺羅を含む出版社の一行が、北海道取材旅行へ向かう。
その帰路、寝台特急「カシオペア」車内で事件は起こる。

取材メンバーの一人である友梨の婚約者・キョウジは刑事で、
連続無差別殺人犯<J>を追っていたが、捜査の中で負傷し、意識不明の重体に陥る。

だがそのとき、「カシオペア」内にいる友梨の頭の中にキョウジの声が聞こえてきた。
「<J>は『カシオペア』に乗っている・・・」

折しも車内で殺人事件が発生し、友梨は頭の中のキョウジとともに、
<J>の正体を探り始めるのだが・・・


タイトルの「ふたり」とは友梨とキョウジのこと。
一人の中に二人分の意識があるというユニークな設定だ。

後半、ネット検索で犯人の意図や被害者の共通点を探っていくのはいま風か。
設定こそ変わってるが、ミステリとしてはオーソドックスなラストかな。

これ、シリーズものになってて、続編があるそうだ。
意識不明状態のキョウジの意識が友梨に入り込んでいる・・・ってことらしいので
キョウジの病状が次回まで長引くのか、
それとも何かが原因でまたまた意識不明になっちゃうのか。
どちらにしてもキョウジ君は大変だなぁ。


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「QED 鬼の城伝説」 [読書・ミステリ]

QED 鬼の城伝説 (講談社文庫)

QED 鬼の城伝説 (講談社文庫)

  • 作者: 高田 崇史
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/03/14
  • メディア: 文庫



評価:★★★

QEDシリーズもこれで9冊目なんだそうだ。
初期の頃は「すごいすごい」って読んでいた記憶があるんだが
だんだん「うーん。おもしろいことはおもしろいんだけど・・・」ってなってきた。

読む側が慣れてきて、より大きな刺激を求めるようになってしまったのか、
書く側に大ネタがだんだん無くなってきたのか・・・
たぶん両方だろうね。


岡山の旧家・鬼野辺家に伝わる大釜には、
「釜が唸るとき、当主が死ぬ」という言い伝えがあった。

そしてその釜が鳴ったとき、土蔵の中に鬼野辺家の長男・健爾の生首が・・・。


『桃太郎の鬼退治伝説』の地を巡る旅行に来た棚旗奈々たちも
この事件に巻き込まれ、遅れて到着した桑原崇が
「事件の謎解き」と、「伝説の読み解き」をまとめて解決!
というわけなんだが・・・・

殺人事件の扱いがちょっと大味な感じが・・・
だいたい殺人事件で、いくら警察がボンクラでも、
現場の×××を見逃すなんてありえんでしょう・・・

犯人の動機も
いくら×××からの××××があったからって、
それで殺人までいくのかなあ・・・
ちょっと納得できかねる部分がある。

いや、しょせんミステリは作り物なんだって、わかってるんだけどね・・・


それに対して、桃太郎伝説のくだりは、いつもと変わらず絶好調。
多少、初期の頃よりネタが小粒になったかな、って気はするが、充分に楽しめた。


だから、なおさら殺人事件と伝奇的要素の関連づけが弱い気がして・・・


伝奇読み物として★★★☆
ミステリとしては★★☆

足して2で割って、★3つ。


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「凶宅」 [読書・その他]

凶宅 (光文社文庫)

凶宅 (光文社文庫)

  • 作者: 三津田 信三
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2008/09/09
  • メディア: 文庫



評価:★★☆

小さな山を切り開いて造成した住宅地。
その一画に引っ越してきた日比乃翔太。
だが、引っ越す前から彼を謎の不安感が襲っていた。

大家は寂れた屋敷に住む謎の老婆。
なぜか彼らを遠ざける町内会の人々。

そして家の中に出没する黒い人影。
夜には、妹のもとに見知らぬ"者"がやってきているらしい・・・


今作は全くのホラー。
ミステリっぽさもほとんどなく、怪談話に徹しているようだ。

私はホラーは基本的に嫌いなので、評価も辛いものになる。
好きな人にはたまらないのだろうが・・・

やっぱこの人には刀城言耶シリーズをたくさん書いて欲しいな。


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「カンニング少女」 [読書・ミステリ]

カンニング少女 (文春文庫)

カンニング少女 (文春文庫)

  • 作者: 黒田 研二
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/03/10
  • メディア: 文庫



評価:★★★☆

最初、この本は読むのをやめようかと思った。

まず「青春小説」であること。
以前書いたことがあったが私は青春小説なるものが苦手だ。
読んでいてイタイ思いがするし
登場人物の未熟さ・馬鹿さにうんざりするし。
(自分が青春時代にどんなに未熟で馬鹿だったかは棚に上げての話だが)

次に「カンニング」が題材であること。
犯罪ではあるが、いかにもスケールが小さいというか
こんなものに血道をあげるなよ・・・って思う。

最後に表紙。
ちょっとメルヘンチックな表紙で、実際この本を買うときかなり迷った。
これが今流行のもっと「萌え~」な絵柄だったら、
レジにいくのもちょいと勇気が必要だったろうし。
いや、買ってなかったかも知れん。

というわけで、読み始めるまでちょっと葛藤があったことを告白しておこう。


しかし、結論から言うと「読んでよかった」。
いや「読まなかったらもったいない本だった」と言える。

高校3年生の天童怜美は、私大の最難関・馳田学院大学の受験を決意する。
半年前、馳田の学生だった姉・芙美子が不慮の事故で亡くなったのだが
その原因が大学の中にあると考えたのだ。

馳田の学生になり、その真相を探りたい。
しかし、彼女の学力では難関・馳田の合格は覚束ない。
(決して悪い成績ではないんだけどね)

そこで彼女のサポートに集まったのが
怜美の親友・愛香。彼女は学年成績トップで東大合格が確実視されてる。
次に、どんなメカでも作ってしまう機械オタクの隼人。
そして肉体労働担当(?)の陸上インターハイ選手・杜夫。

物語は、完璧なカンニング方法を考案・実行していく同級生4人組と、
馳田の学内で芙美子が関わった咲田教授の研究室の様子を交互に描き、
怜美と杜夫の淡い恋模様を織り込みながら
最終章で怜美の馳田受験の日を迎える。


ラスト20ページ、怜美が最後の科目・国語の試験に臨むところが
本編のクライマックスになる。
不覚にも、このとき私の涙腺が決壊を起こしてしまい、
文字を追うことができなくなってしまった。
いやー、この展開はうまい。うますぎる。


「胸キュン青春コン・ゲーム小説」と裏表紙の惹句にあるが、
その言葉通りミステリとしてのテイストは薄い。
しかし結末では芙美子の事故の真相も明かされ、
怜美の馳田受験に対しても一つの結論が出される。

若さと馬鹿さとカンニングを扱った小説だが、
読後感は素晴らしく爽やかだ。

続編はおそらく書かれないだろうが、
短編でもいいからその後の彼らの消息が知りたいなあ・・・と思った。
わずか文庫で320ページと、決して長くはない作品なのだが、
登場したキャラクターたちにこれだけ愛着を抱かせてしまう。
それだけ彼ら&彼女らが物語世界のなかで生き生きとしていたということだろう。

作者・黒田研二は、きっちりした本格ミステリを書く人ではあるが
トリックの大胆さに比べて、人間・人物の描写は今ひとつかと思っていた。
しかし、私は今作で評価を改めた。
こんなに面白い小説を書ける人だったんだね。
今後の作品にも大いに期待することにします。


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「骸の爪」 [読書・ミステリ]

骸の爪 (幻冬舎文庫)

骸の爪 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 道尾 秀介
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2009/09
  • メディア: 文庫



評価:★★★☆

ホラー作家・道尾が訪れた仏像工房・瑞祥房。
その夜、彼が見たものは笑う千手観音像と、
割れた頭部から血を流す仏像だった。

翌朝には仏師が一人、姿を消し
駐車場には巨大な赤文字が描かれる。


霊現象探求家・真備庄介を探偵役とするミステリ・シリーズ第2作。

前作ではホラー要素が強く、ミステリ的に割り切れない部分があって
(それによってミステリとして劣るわけではないけど)
私としてはちょっと引っかかるところもあった。

しかし今作は、前半の雰囲気こそホラーっぽいが
すべての謎は、ラストできっちりミステリ的に解明される。

まあ、仏像の流す血の謎解きは、
読了後ネットで検索してみたんだが、ちょっと首をかしげるかな・・・

ただ、それ以外の部分はよくできていると思う。
一種の閉鎖空間で、登場人物もそう多くはないので
なんとなく「こいつが犯人かな・・・」って見当はつくかも知れないが
それでも最後まで面白く読める。
20年前に起こったすべての発端から、
今回の悲劇までをつないでいく構成が上手なんだろうな。

文庫で470ページあるが、文章は読みやすくて、
ラストまですいすい読める。
楽しい読書の時間を提供してくれる作品なのは間違いない。


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「誘拐」 [読書・ミステリ]

誘拐 (双葉文庫)

誘拐 (双葉文庫)

  • 作者: 五十嵐 貴久
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2012/05/10
  • メディア: 文庫



評価:★★★★

友好条約締結のため、韓国大統領が来日する。
警視庁は総力を挙げて東京にかつてない警護網を敷く。

そのさなか、佐山総理大臣の孫娘・百合が誘拐される。
犯人からの要求は条約締結の中止と30億円の現金。

大統領警護にほとんどの警官を投入したため、
捜査員の絶対数が足りない警察は、
犯人の意表を突く指示に翻弄されていく・・・


読み終わったら「面白い!」と叫び、
あたりかまわず「面白いから読んで!」と
言ってまわりたくなる作品がある。
滅多に出会うことはないけれど(1年のうちでも何冊もない)
これはまさにそういう1冊だ。

もしあなたが少しでも読んでみたいと思ったのなら
以下の拙い駄文なんぞ読まずに、
今すぐ本屋さんへ直行することをおすすめする。


誘拐を扱った小説はいろいろある。
コン・ゲーム的なもの、ユーモア・コメディ風なものから
陰惨な展開を示すものまで千差万別である。
笑って済ませられるものもあれば
読んでいて犯人に殺意まで抱いてしまうようなものまで。

しかしこの作品は、今まで読んだどのパターンにも当てはまらない。

そして、"名探偵"という言葉はあるが"名犯人"という言葉はない。
だが、ここに断言しよう。
この事件の犯人は、間違いなく"名犯人"だ。

主人公・秋月孝介は旅行代理店の人事部に勤務していた。
その仕事は社員の首切り、つまり"リストラ"担当だった。
しかし、彼が退職を勧めた先輩社員が一家心中を図ったことから
彼の人生は暗転していく。
このあたり、読んでいて息苦しくなってくるほどだが、
しっかり彼の行動を追ってほしい。

一年後、家族も職も、すべてを失った彼は、
かつてない総理大臣の孫娘の誘拐という事件に走り出す。

孝介は犯罪の素人だが、素人ゆえの発想で次々に奇手を繰り出す。
捜査員の足りない警察は、彼の打つ手に右往左往させられていく。
このあたり、孝介と捜査陣との頭脳戦の様相を呈していて
心地よい興奮にページを繰る手ももどかしいほどだ。
(山田正紀の冒険小説にも、プロと素人の戦いをテーマにした作品が
 いくつかあるが、ちょっぴりその辺を彷彿させる。)

ネタバレにはならないと思うので書いてしまうが、
彼には彼なりの矜持があって、傷つける人間の数を
極力減らすべく注力していることがうかがわれる。
この作品が「誘拐」という重いテーマを扱いながら、
極上のエンターテインメントになっているのは、
孝介のこの姿勢によるところが大きい。
解説の関口苑生氏はこれを
「ある種の騎士道精神にのっとった戦い」と評しているが
まさに至言だろう。

孝介の"誘拐における真の目的"は最後まで明らかにされないが
総理大臣と警察という、いわば国家を相手に
自らの力の限り、単身(協力者は一人だけいるけど)立ち向かう。
おそらく読者は、警察よりもはるかに孝介側に感情移入して読むだろう。
私もそうだった。
読んでいて、こんなに"犯人の成功を願う誘拐劇"は無かったし
こんなに"捕まって欲しくない誘拐犯"もいなかった。

そして誘拐劇そのものは、物語の中盤過ぎあたりでひとまずの決着がつくのだが、
孝介の本来の目的はその後にあった・・・


ラスト30ページ、孝介が今回の誘拐劇に秘めた目的、
そしてその真相が明かされるが、
そこには、「誘拐」という"卑劣な犯罪"を描いているはずなのに
"さわやかな感動"があるのだ。

もう一度書いてしまおう。
この事件の犯人は、間違いなく"名犯人"だ。

文庫で580ページという厚さにうろたえることはない。
読み始めれば、ページをめくる手が止まらない。
結末まで一気読み。そして、素晴らしい読後感が待っている。

現在のところ、今年読んだ本の中でぶっちぎりの第一位。


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「十三の呪 死相学探偵1」 [読書・ミステリ]

十三の呪  死相学探偵1 (角川ホラー文庫)

十三の呪  死相学探偵1 (角川ホラー文庫)

  • 作者: 三津田 信三
  • 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
  • 発売日: 2008/06/25
  • メディア: 文庫



評価:★★★

幼い頃から、人にとりついた"死の影"を視ることができるという
特異な能力をもつ弦谷(つるや)俊一郎。
その能力を生かすべく、東京は神保町に探偵事務所を構える。
その記念すべき第一号の客となったのが紗綾香という女性。
IT会社の社長と婚約するも、相手が謎の急死を遂げる。
さらに、彼の家族の中にも不思議な出来事が次々と起こり、
やがて死者が・・・

ホラーとミステリの融合と謳われているけど
本格ミステリを期待するとちょっと肩すかし。

SFミステリが、その世界のSF的約束事の範囲内で解決されるように、
この作品も、この作品内のホラー的約束事の中で推理が進められていくんだけど
このあたりが受け入れられるかどうかで、この作品の評価も決まるかな。
ミステリというよりは、ちょっと論理的な遊びのあるホラー、っていう感じ。

登場人物がそう多くなく、しかもどんどん死んでいくので
最後の黒幕が誰になるのかだんだん絞られていくんだけど
さすがは本格ミステリも書いている作者で、そのあたりの処理はうまいものだ。
私は見事に引っかかってしまった。

ただ、このネタで単行本1冊を売るのはちょっと苦しいかな。
かといって短編には使いにくそうだし。
それで"文庫書き下ろし"というわけか。


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