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「For You」 [読書・ミステリ]


For You (祥伝社文庫)

For You (祥伝社文庫)

  • 作者: 五十嵐 貴久
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2011/02/05
  • メディア: 文庫

評価:★★★☆

佐伯朝美、24歳。
映画雑誌の編集者である。
新作映画のキャンペーンで来日する韓流スターの取材準備で忙しいある日、
早世した母に代わり、幼い頃から養育してくれた
最愛の叔母・吉野冬子がくも膜下出血で急逝する。

遺品整理で訪れた叔母のマンションで、朝美は古い日記帳を発見する。
そこには、叔母の高校時代の日々が綴られていた。
そして、ある同級生の男の子への秘めた思いも・・・。

独身を貫いた叔母の生涯をかけた恋と、
現在を生きる朝美の日常。

物語はこの二つが意外な形でリンクする結末を迎える。


青春小説って苦手である。
たかだか10代のマセガキが
惚れたの腫れたの・・・いい加減にせい、って思う。

いや、単に自分の青春時代に、特に恋愛関係において
いい思い出が無かったので羨ましいだけなんだ、ハイ。

それに、特にイマドキノワカモノの生態には
ついていけないものもあるしねぇ・・・

・・・なんだけど、吉野冬子は世代的には私の一つ下くらいかな。
携帯電話もない時代の彼女らの恋愛模様は
私でも共感できるものだった。
静岡という田舎(失礼!)が舞台というせいもあるのかも。


読んでいるうちに、ある予想をした。
この物語の仕掛けというのは×××だろう・・・てな感じである。

結果的には、半分くらいは当たった。
でも、残り半分が・・・さすがは五十嵐貴久。
私の予想なんぞの一枚も二枚も上手。

たぶん、私が考えるくらいのことは、
たいていの読者なら思いつくようなことで、
それを織り込んだ上でさらなるサプライズを用意していた。

「肉を切らせて骨を断つ」なんて言葉を思い出した。
作者はまさにプロの物書きだね。

ちょっぴり目がうるうるするくらいの感動もあり、
読後感は清々しい。


ヤマト2199 第二章PV公開! [アニメーション]

公式サイト更新で
デスラー役の発表と同時に第二章のPVも公開。

これがまたすごい。
シーンを追いながら簡単に感想を書いてみる。

ディスク第1巻の第3話予告編から続くように
雪のカウントダウンから島の「ワープ!」のかけ声で
亜空間に突入するヤマト。
「トップをねらえ!」のヱクセリヲン方式に近い描写か。
やっぱ樋口コンテだから?

つづけてBGM「元祖ヤマトのテーマ」(新録)が流れ、

「きりしま」でヤマトを見送る土方、
「次元波動爆縮放射機」という新見の台詞、
ちらっと盗み見する雪(誰を見てる?)、
航空隊への転属を願い出る山本妹、
激高してロッカーを殴りつける加藤(備品は大事に。手も大事に)、
そして
「反射衛星砲、はっしゃああああ!」と叫ぶシュルツ(とっても威勢が良い)

そしてタイトルへ。

作戦室に集合した各部責任者。
そこで沖田の台詞「冥王星基地だけは見過ごすわけにはいかない!」

浮遊大陸上(?)で主砲を発射するヤマト
ビームが螺旋を描いて収束し、ガミラス艦を一撃でへし折ってみせる!
第一話で全く歯が立たなかったことを思えば
ほんと胸のすくようなシーン。
イスカンダルのオーバーテクノロジー+真田技師長の組み合わせは最強だね。

続いて謎の生き物を手にする謎のガミラス軍人。
誰だこれ? 
公式サイトのガミラスメカニックに戦車が追加されたので
たぶん第4話で戦車戦があるんだろう。その指揮官か?

沖田「メ2号作戦を発動する。ハヤブサをおろせぇぇ!」
(なんだか「はやぶさ」って単語を聞いただけで感激してしまう自分がいる。
 コスモファルコンって艦内ではハヤブサって呼ばれてるのか?)
BGM「コスモタイガー」(新録)にのせて順次発艦するコスモファルコン。
発進ギミックはすごい凝ってるねぇ。
ワンダバは思ったほどの違和感はないが、どうなんだろう。
イヤだというわけじゃあないんだが、微妙だなぁ。
聞いてればそのうち慣れるのかなあ。

ゆきかぜの生存者について古代に聞く真田。
今回も親友設定はあるんだよね。

負傷者を治療する医療班。
原田のアホ毛は健在。アップの岬かわいい。

「たとえ不確かでも、それに賭けねば勝てぬ戦(いくさ)もある」
沖田艦長かっこよすぎ。

峡谷の間を飛ぶ2機のコスモゼロ。
古代ともう一人は山本妹らしい。
そして「ブラボー1」(古代?加藤?)から「ガミラス基地発見」の報が!

シュルツ「それで隠れたつもりか?」
この台詞が、もういやらしくて素晴らしいね。

ミラーを展開する衛星群、反射されるビーム、
雪「高エネルギー体、真上です!」
そして反射衛星砲がヤマト後部甲板へ直撃!
横倒しになるヤマト。
この辺は旧作そのままブラッシュアップ。
効果音もそのまま! パリーンもキタ! SEさんGJ!

ここからBGMが「夕陽に眠るヤマト」(新録)になり、
次々にシーンが移り変わる。

コスモゼロによるミサイル攻撃、ヤマトの主砲発射(実体弾?)、
加藤(?)のダーツ投げ、アナライザー(何してる?)
コスモファルコン空戦シーン、群れ飛ぶミサイル、
榎本・徳川・藪など艦内組の描写、
実体弾(?)を食らってのけぞるガミラス艦(すごい威力だ)、
どこかから出てくる氷に覆われた(?)ヤマト、
僚機を撃墜される加藤、
氷を蹴散らしながら突き進むヤマト(かっこいいぃぃ!)、
山本妹機ミサイル発射、
ヤマト艦底から打ち上げられるVLSミサイル群(超かっこいいぃぃ!)、
雪のアップ、古代&島ハイタッチ、
敵ミサイルを迎撃するパルスレーザー、
浮遊大陸を脱出するヤマト。

そしていよいよ総統様のアップ。でも台詞無し。残念。

ラストは波動砲発射シーン。
カウントダウンは南部、
「対ショック対閃光防御」「撃てぃ!」は沖田。
古代くん台詞減ったかなぁ。
「電影クロスゲージ、明度20」くらいは残ってるよね?
効果音はもちろん旧作と同じ。SEさんGJその2!
そして木っ端微塵に崩壊していく浮遊大陸&ガミラス艦(?)・・・

わずか2分あまりなのに情報量が多すぎて
消化不良になりそうなくらいお腹いっぱいになる。
いやがおうでも期待を抱かせるPVになってるじゃないか。
(でも、あまり期待しすぎると映画館でがっかりするからなぁ)

とにかく第二章の公開が待ち遠しい。
ああ、でも6月30日は用事が入りそうなんだよなぁ・・・


デスラー役の声優は山寺宏一! [アニメーション]

24日の夜、酒を飲んでテレビをぼーっと見ていたら
そういえば25日にヤマト2199の公式サイトが更新、
という情報があったよなー、と思い出して
時計を見たら午前0時をちょっと回ってる。

いくらなんでもこの時間に更新はないよなーって
期待せずにネット開いてみたら、なんと表紙が変更になってる!

土星とコスモゼロをバックに古代&雪。
第二章の宣伝ポスターと同じ。

デスラーの声優が発表になってる。
山寺宏一。

ネットで噂にはなってたけど、まさかなーって思ってた。
実力は十分だけど何と言っても復活編で古代を演じていたしね。
いくらなんでも一人で古代とデスラーを演じるのはいかがなものか。
(いちおう別作品だけどねぇ)

そのまさかだった。

ある意味で妥当、ある意味で無難な人選?。
いちばんファンからの文句の少なそうな人、という側面もあるのかな。


デスラーと言えば伊武雅刀しかない、って思い入れは
多かれ少なかれすべてのヤマトファンが持ってるんじゃないかな。

でも、今回のヤング・デスラーには合わないよなーって思ってた。

だから、伊武さん以外の人がキャスティングされるのは
ほぼ間違いないと踏んでいたんだけど。

じゃあ誰ならいいんだ、てなるとこれは難しい。
○○のデスラーはいやだ、っていうんならたくさん思い浮かぶんだけど。

たとえば
子安のデスラーはいやだ、とか
置鮎のデスラーはいやだ、とか。
そういうんだったら10人以上挙げられる。

あ、誤解してもらいたくないんだが子安や置鮎が嫌いというわけじゃない。
二人ともいい声優さんだと思うけど、デスラーには合わない、というだけ。

そんな中、
この人のデスラーだったら見てみてもいいかも、って思ったのは関俊彦。

SEED終盤の鬼気迫る大熱演が忘れられない。
彼の演じるガミラス本星での狂気のデスラーを見てみたかったなぁ。


これで、後に残った大物キャラはドメルのみ。
さて誰か。

大塚明夫じゃ、はまりすぎて意外性皆無だけど
このスタッフならありかな?

第二章のPVも公開されてるけど、長くなるので別記事で。


TV Bros ヤマト2199特集号 [アニメーション]

ネットの情報でTV Brosが特集を組んでいるとのこと。
さっそく近所のコンビニにいったら、売ってた。

表紙はヤマトをバックに沖田艦長、古代&雪。
ちょっとレジに持って行くのが恥ずかしいかな(でも持って行ったけど)。

内容は8ページ。

最初の2ページは古代&島役の小野大輔&鈴村健一のインタビュー。
小野大輔は、古代を演じるのはプレッシャーがあったけど、
収録の際に、それが自分一人だけでなく周囲の声優さんもみな役割を担っていて
それがヤマトのブリッジと同じだったと気づき、
プレッシャーから解放された、というエピソードがよかった。

3ページめはキャラの紹介。
沖田がいちばん絵が大きい。
森雪はいるがアホ毛軍団はなし。TV Brosの読者的にはそれでいいのだろうか?
(ふだん買わない雑誌なのでどんな層が買っているのか見当がつかない。
 他の記事も目を通したけどよく分からない。
 純然たる若者向け、という感じではないようだけど。)

4ページめは用語の解説みたいなもの。
「ガミラス」「イスカンダル」「次元波動エンジン」「アマノイワトヒラク」とか・・・

5~6ページは出渕裕監督のインタビュー。
波動砲の標的が第一作とそれ以降で違うこともきっちり触れてる。
浮遊大陸もあるんだ。とりあえず(苦しいが)理屈づけもしてあるみたい。
反射衛星砲攻略は航空戦になることや、
山本妹がラブストーリー要員だったとか。
(古代に惚れて雪と加藤が嫉妬するとか?)
女子キャラが増えたからそういう要素も出てくるんだろうけど
あまりそればっかりやってると尺が・・・と心配になる。
あ、太田にはラブ要素は全くないらしい(じゃ藪にはあるのか?)。
けっこう新しい情報もあって読んでて楽しい。

7ページめは人間国宝・ささきいさおへのインタビュー。
「ヤマト」は「君が代」を歌うような気持ちで歌うとか。

8ページめはヤマトから現在までの日本SFアニメの歴史を1ページに。
「ガンダム」「マクロス」「エヴァンゲリオン」と紹介されている。
でも最後の
「J9シリーズ」や「モスピーダ」もリメイクして欲しい
って、誰が書いてるんだよこれ。
(いや、どちらも嫌いじゃないんだが、
 リメイクするならもっと優先されるべき作品があるような気がするんだ・・・)


「禍家」 [読書・ミステリ]


禍家 (光文社文庫)

禍家 (光文社文庫)

  • 作者: 三津田 信三
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2007/07
  • メディア: 文庫



評価:★★☆

ちなみにタイトルは「まがや」と読む。 

主人公の少年・貢太郎は、両親を交通事故で亡くし、祖母と二人暮らし。
中学校入学を機に東京の郊外の街へと引っ越してきた。

しかし、初めて見るはずの場所なのに、激しいデジャビュに襲われる。
「坊主、おかえり・・・」と近所の老人はつぶやき、
やがて新居の中に現れる怪異の数々・・・。


はっきり言ってホラーは嫌いなんだ。
中盤あたりの描写は正直言って読むのが苦痛だった。
でも読んでしまったのは、やっぱ刀城言耶シリーズの作者だから。

基本的にオカルト話なんだが、
ラストにはミステリ的な展開もあって
読後感はそんなに悪くなかった。

まあ払ったお金の分くらいは楽しめたかな。


金環日食を見た [日々の生活と雑感]

金環日食を見るために、
昨日は通常より1時間半も早起きして
6時に出勤した。

6時40分くらいから欠け始め、こりゃいいと思っていたら
7時くらいから厚い雲の襲来。

あちゃー・・・と思っていたのだが
なんと金環になる直前に奇跡的に雲の切れ間がやってきた!

日食グラス越しに見ていたのだけど、
試しにEOS X2のレンズの前に
日食グラスをあてて撮ってみたら、なんとか写ったみたいだ。

20110521.jpg

ちょっとぼけてる気もするがまあドンマイ。

横にいた同僚は家から望遠鏡を持ってきて
(中学生の時に買ったものだと・・・物持ちいいね。
 ちなみに私よりちょっぴり年上。)
しかも太陽撮影用のフィルターまでつけてばっちり撮っていた。
ちょっと羨ましいかも・・・

日食が終わったら
なんだかもう一日分働いたような気がして
「もう家に帰って酒飲んで寝たいよねー」
「だよねー」
なんて同僚と会話をしながら仕事場へ向かいました・・・・。


「消滅の光輪」 [読書・SF]

消滅の光輪 上 (創元SF文庫 ま 1-2)

消滅の光輪 上 (創元SF文庫 ま 1-2)

  • 作者: 眉村 卓
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2008/07
  • メディア: 文庫




消滅の光輪 下 (創元SF文庫 ま 1-3)

消滅の光輪 下 (創元SF文庫 ま 1-3)

  • 作者: 眉村 卓
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2008/07
  • メディア: 文庫



評価:★★★★

昔、「SFマガジン」という月刊誌を買っていた。
大学生の頃である。
高校~大学にかけて、私の読書はミステリかSFが95%で
(今でもあまり変わっていないけど)
その一環で「SFマガジン」も買っていた。


そして、ちょうど私が買っていた頃に連載されていたのが
この「消滅の光輪」だった。

最初は短期連載の予定だったらしく、
「前編」から始まり、翌月に「中編」と続いた。

しかしその次が「後編・その1」、
その後「同・その2」「その3」「その4」と続き、
その次から「連載第7回」となって、
結局大長編になってしまった作品。

しかも、最後まで読み切った記憶がない。
たぶん途中でやめたのだろう。

その後単行本になり、文庫版は全3巻だった。

文庫は買って読んだはずなのだが、内容の記憶がない。
もちろん、最初の部分は覚えているのだが
中盤以降の展開がさっぱり抜けている。


ちなみに「SFマガジン」のほうは、
大学を卒業してしばらくしたら買うのをやめた。

就職して1年目で、
忙しかったし、心理的に余裕が無かったのだろう。
買っても読み切らないうちに次号が出て、
どんどん未読の号が溜まってしまった。
それで買うのをやめたと記憶している。


前置きが長くなってしまった。紹介に入ろう。
「消滅の光輪」は、数多い眉村卓の作品群の中で、
(有名なジュブナイル作を除けば)
最も評価の高い、いわば代表作ともいえる
<司政官>シリーズの一編である。


遙かな未来、宇宙へ進出した人類が、
多くの星に入植している時代。
植民星が自立するまでの間、惑星規模の治政を担当するために
地球連邦経営機構から送り込まれた官僚、それが司政官である。

司政官制度の成立直後は、連邦の権威を背景に、
植民者や植民星の企業体からも一目置かれる存在だったが、
長い年月が経つ間に司政官の地位は形骸化し、
実権を伴わない象徴的な存在へと変化していった。

そんな時代の司政官・マセが主人公である。


マセの任地である惑星ラクザーンの太陽が
近い将来に新星化することが判明する。

一千万人近い植民者を、短期間でラクザーンから脱出させるという
とてつもない使命を与えられたマセだが、
それを実現するには、失墜した司政官の権威を復活させ、
強力な指導力で脱出計画を立案・実行しなければならない。

そして、実際に脱出が始まってからも、
マセの方針に対する不満分子が反乱を起こしたり・・・
(しかもその裏には組織的なものも垣間見える・・・)

さらに、ラクザーンにもともとすんでいた原住者(ヒューマノイド型の生物)たちは、
マセの懸命な説得にもかかわらず、ラクザーンを離れることを拒否したり。

マセの、苦悩と苦闘の日々は続く・・・


文庫本で上下巻、合計で約1000ページという大作だが、
眉村卓の文章は読みやすく、さくさくページが進む。
しかし、内容の方はさくさくとは進まず、
もっぱらマセの内面描写が多めで
ストーリーの進行はゆっくりめ。

しかし退屈さは全く感じさせないところはさずがベテランの力か。

マセの性格づけがうまいのだろう。
「司政官」という職に対して使命感もあればプライドもある。
基本的に誠実で、理性的・合理的に行動し、
必要があれば非情に徹することもできる。
しかし、常に自分に対して「これでいいのか」という自省も忘れない。

若い頃と今では、たぶんマセに対する感じ方が違ってきている気がする。

能力はあるけれど閑職に回されていた中間管理職のおじさんに
(と書くとかわいそうか。作中ではマセは30代くらいのはず)
突如社運をかけたプロジェクトのリーダー役が回ってくる。
彼はそれに自分のすべてをかけて取り組んでいくが、
社内のあちこちから反対するものや足を引っ張るものが現れて・・・

という風に読み解けば、マセに対する感情移入はいっそう深まろうというものだ。

あと、出番はあまり多くないのだけれど、ランという女性が魅力的だ。
ラクザーン科学センターの研究者という立場で、
マセとたびたび行動を共にする。
この物語のヒロインといっていいだろう。

ランは明らかにマセに対して好意を抱いている描写がある。
しかもそれをマセの前でもほとんど隠さない。

しかし、マセのほうは
(わかっているのだが)気づいていないふりをしたり、
自分の勝手な思い込みだろうと決めつけたり、
司政官という立場でそんなことを考えている場合ではないだろう、
と自分の気持ちを無理矢理押さえ込んだり。

マセはいわゆる朴念仁だね。今風にいえば「ツンデレ」(?)か。
なかなか進展しない二人の仲ももどかしい。

終盤、マセは組織の人間としてはけっこう過酷な扱いを受ける。
「司政官」という職を辞することも考えるようになる。
このあたり、マセに非常に同情してしまう。
世の大人たちは程度の差はあれ組織の中で生きているはずで、
マセの境遇は人ごとで無い部分もある。
そういう意味で、この作品はやはり読むべき年齢というのがあるのだろうな。

青二才のモラトリアム学生だった私は、
この作品を最後まで読み通すことはできなかったということか。

50歳を超えた今。
ランとの関係の着地点も含めて、
長大な物語を最後まで興味をもって読み終えることができたよ。
(ラストは、人類という種の将来まで見据えるような
 スケールの大きなテーマが現れてくる。
 さすが日本SF作家第一世代の面目躍如だ。)


それにしても、今年は厚めの本をけっこう読んでるな。
記録を見ても
「交渉人・爆弾魔」が536ページ、
「厭魅の如き憑くもの」が624ページ、
「司政官 全短編」が736ページ、
「首無の如き祟るもの」が640ページ、
「ARIEL 02」「同 03」「同 04」が
 みんな新書(上下二段組)で440ページ以上。
べつに厚い本ばかり選んで読んでるわけじゃない。
たまたまなんだけどね。


「ARIEL 04」 [読書・SF]

ARIEL 04 (ソノラマノベルス)

ARIEL 04 (ソノラマノベルス)

  • 作者: 笹本 祐一
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2008/06/06
  • メディア: 新書



All Round Intercept & Escort Lady略してARIEL。

日本の誇る天才科学者・岸田博士が開発した、
人型巨大ロボットである。
(女性型なのは、開発スタッフの趣味である。)

その任務は、地球征服を企む異星人の野望を打ち砕くこと。

・・・のはずなのだが・・・。

これは、ARIELと宇宙からの侵略者との戦いを描いたアクションSF大作。

・・・のはずなのだが・・・・。

しかし、光速を越えて宇宙を航行するような技術を持つ異星人に、
辺境の未開惑星である地球製のロボットが対抗できるはずがない。

・・・のはずなのだが・・・。

というふうに、さまざまな定石をひっくり返した作品である。

昔ソノラマ文庫で出ていて、途中まで読んでた。
6巻くらいまでかなあ?

その後なぜか読むのをやめてしまったのだけれど、
作品の方は20巻を迎えてめでたく完結し、
このたびソノラマノベルスから
文庫2巻を一冊に合本+書き下ろし短編のおまけ付き、
という形で再刊された。


連作短編形式をとっていて、
文庫全20巻・話数にして52話もある。

侵略もののようで、実は基本路線はギャグだ。
あるときは有名な特撮作品のパロディだったり、
あるときはラブコメだったり、
あるときは萌え萌え女子高生が活躍する学園ものだったり。
いろんな作風のものが混在していて、飽きさせずに読ませる。


本書はその4巻目。文庫版では7・8巻に当たる部分。

地球への侵略行為を請け負っている
零細企業・ゲドー社の戦艦オルクスの前に、
大企業・ゲルニクス社の最新鋭戦艦が現れる。
自衛のための迎撃に追われるオルクスに
もたらされた知らせは・・・ゲドー社の倒産だった!

この最新鋭戦艦を巡って
オルクスや地球人のキャラたちが
毎度おなじみの大騒ぎを繰り広げる、というオハナシ。

払った値段分はきっちり楽しませてくれる、
さすが笹本祐一。

あー、でも新書で440ページ超というのは、
手で持っていると、ちょっと疲れるかなぁ。
読み応えはあるんだけど。


「向日葵の咲かない夏」 [読書・ミステリ]

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)

  • 作者: 道尾 秀介
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/07/29
  • メディア: 文庫



評価:★★

1学期の終業式。
小学4年生のミチオは担任に頼まれて、欠席したS君の家へ向かう。
そこで見たものは、S君の首つり死体だった。
驚いたミチオは学校へ知らせに戻るが、
大人たちとともに引き返してくると、死体は消えていた・・・

1週間後、S君は1匹の蜘蛛へと姿を変えてミチオの前に現れる。
蜘蛛となったS君は語り出す。
「僕は殺されたんだ・・・」


小学生が主役だがジュブナイルではない。
暗めのファンタジーのようなホラーのような。

読んでいると、事件のこと以外にもいろいろ気になるところ、
「?」と疑問を感じるところが少なからずある。

最終的には、事件のことも、それ以外の疑問点についても解明される。
というか「こういうことだった」というのが明かされていくのだが・・・

そういう意味では、作品の着地点はミステリになる。
しかし、真相が明かされていくにつれて
暗闇に明かりがさしてくるような感じは全くなく、
かえってどんどん闇の深さばかりが増していくような
そんな結末を迎える。


本格ミステリとしてみると、
すごく技巧を凝らして作ってあるのはわかる。

「一人の少年のある夏の物語」とすると、読後感はかなり悪い。
率直に言えばかなり後味の悪い作品だ。
というか読んでる途中からだんだん気が滅入ってくる。

だから★も2つしかつけなかった。


そんな作品なのに途中でやめようとは思わず、
けっこう短時間で読み切ってしまったのだから
やっぱり作者はうまいんだろうなとは思う。


「聖なる血 龍の黙示録」 [読書・SF]

聖なる血―龍の黙示録 (祥伝社文庫 し 13-4)

聖なる血―龍の黙示録 (祥伝社文庫 し 13-4)

  • 作者: 篠田 真由美
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2007/12/12
  • メディア: 文庫



評価:★★★☆

キリストから聖なる血を授けられ、
2000年の時を生きてきた吸血鬼、
龍緋比古(りゅう・あきひこ)をめぐる伝奇アクション・シリーズ
<龍の黙示録>第4巻。

全巻文庫で持ってるので、いま月1冊のペースで読んでる。

カトリックの総本山・ヴァティカンがついに龍緋比古の抹殺を決意。
修道士セバスティアーノは「キリストの聖杯」を持って日本へ渡る。
そして4600年の時を経て甦った古代エジプトの邪神が龍緋比古を襲う。

龍緋比古が主役なのだが、脇役陣も充実。
龍を慕う妖魔・ライラ。
前巻より登場の、1400年前からの因縁で龍に仕える“鴉”。
そしてヒロインながら、実質ほぼ主役といっていい活躍をする
龍の秘書・柚ノ木透子(ゆのき・とうこ)。
最初は普通の人間だったはずだが、
だんだん人外の存在へと変貌しつつある。
龍とのロマンスがどのような結末を迎えるのかも気になる。

ここのところ巻を重ねるにつれて龍の側に立つキャラが増えてきて
なんだか「八犬伝」みたいな雰囲気になってきた。

どうやらヴァティカンの上層部にラスボスがいそうな気配で、
そのうち舞台がイタリアに移るらしい。