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世界記憶コンクール [読書・ミステリ]

世界記憶コンクール (創元推理文庫)

世界記憶コンクール (創元推理文庫)

  • 作者: 三木 笙子
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2012/05/18
  • メディア: 文庫

評価:★★★

明治末の時代を舞台に
雑誌記者・里見高広と天才絵師・有村礼のコンビが
帝都・東京で起こる不思議な事件の謎を解く
<帝都探偵絵図>シリーズの第2作。

「第一話 世界記憶コンクール」
 ある日、高広のもとへ質屋「兎屋」(うさぎや)の
 若主人・兎川(とかわ)博一が「相談に乗ってほしい」とやってくる。
 新聞記事にあった「記憶に自信のある方求む」の広告。
 謝礼は一日につき一円と破格。
 文章を一目するだけで瞬時に記憶できる "特技" をもつ博一は
 父親の熱心な勧めもあって応募することになり、採用となった。
 責任者は空木(うつぎ)と名乗る大学教授で
 脳の活性化の研究のためだという。
 内容は簡単な文章を覚え、それを紙に書くだけ。
 しかし1ヶ月後、突然空木は姿を消してしまう。
 相談を受けた高広が真っ先に連想したのは「赤毛組合」。
 ホームズ譚の中でも有名な一編だ。
 高広と礼は真相を探り始めるが・・・
 「赤毛組合」そっくりの展開ながら、原典をうまくひと捻り。
 最後はこのシリーズお得意の "人情噺" へつなげていく。うまい。

「第二話 氷のような女」
 フランス留学で法律を修めたものの、帰朝後は定職にも就かずに
 政治家になる夢を追っている青年・里見基博。
 見かねた友人の中根秀真(ほづま)が仕事を持ってきた。
 「天然氷」と称して悪質な水を使った "悪水氷" が出回り、
 コレラ等の伝染病の感染源になっているという。
  "悪水氷" の探索を請け負った基博は資産家・相模清右衛門と
 その遠縁の娘・よし乃と知り合う。
 「天然氷」の出荷前検査を請け負っている医師・村上とともに
  "悪水氷" の出所を追い始める基博だが・・・
 高広の養父・基博の若き日のエピソード。
 よし乃に一目惚れしてしまった基博だが、
 村上もまたよし乃を妻にと望んでいることを知り、
 心が穏やかでない日々を過ごす。
 いやあ、大の男にこんな表現は失礼かもしれないが
 恋に悩む基博君がなんともかわいく、微笑ましい。

「第三話 黄金の日々」
 第1巻第1話『点灯人』で高広と出会った森兄妹の兄・恵は
 東京美術学校の予科生となっていた。
 恵の同級生・幸生は、英国人を父に持ち
 高名な陶工・唐澤清山の養子になっていたが
 他人の作品の稚拙ぶりを容赦なく論評するので
 クラスメイトたちからは敬遠されていた。
 ある日、恵は「久尻焼」のことを耳にする。
 200年前に製造が途絶えてしまったこの幻の陶磁器が
 フランスで高評価を受け、値段が急騰しているという。
 そして、失われたはずの製法を、
 唐澤清山ただ一人だけが知っていると。
 巨大な利益を生む「久尻焼」をめぐって
 事件に巻き込まれた幸生を救うのは、恵と高広と、そして・・・
 読み終わってみるとタイトルの意味が沁みてくる。

「第四話 生(いき)人形の涙」
 明治天皇へガーター勲章を贈呈すべく、
 日本を訪れた英国使節団。
 その首席随員をつとめるアーリントン卿は
 20代の頃、日本で英国公使館の書記官として
 幕末という激動の時代を過ごしていた。
 彼は取材で出会った高広に、かつて自分が日本で体験した
 不思議な出来事を語る。
 当時、公使館の近所に住む人形師・キヘイがつくった生人形が、
 攘夷を叫ぶ無法者たちが騒ぎ起こした晩に
 生きて動き出したという話だった。
 そして、英国使節団の歓迎会の会場で、
 勲章の一つが盗まれるという事件が起こる。
 犯人を追い詰めるために高広はある "策" を仕掛けるのだが
 実際これを実行するのはけっこう難しそう。
 ちなみに、この事件がきっかけで高広は礼と出会うことになる。

「第五話 月と竹の物語」
 銀座通りに店を構える小間物屋『なよ竹』。
 店名にちなみ、礼に美麗なかぐや姫の絵を描いてもらって
 飾り窓の中央に飾ったところ、
 日がな一日、店の前でかぐや姫の絵を眺めている男が現れた。
 開店と同時に現れ、閉店と同時に去っていく。
 しかしその数日後、飾り窓が割られて
 店内にあった金塊が盗まれるという事件が起こる。
 犯人は、絵を眺めていた男と思われたが・・・
 今回の高広は、現場を見ただけでほぼ真相を見抜くなど
 本書の中ではいちばん "名探偵" っぽい活躍を見せる。
 犯人はもちろん、絵を眺めていた男の意外な目的も含めて
 鮮やかに事件を解き明かしてみせる。


今回収録の作品のうち、
第二話と第四話は過去の番外編的作品、
第二話と第三話はサブキャラにスポットをあてた作品、
そしてそれらをシリーズの定番パターンの第一話と第五話で
挟むという、作品世界を広く楽しめるつくりになってる。

マンネリに陥らないように目先を変えて、
いろいろな題材に挑戦してるようにも見える。

手元にはシリーズ第3巻「人形遣いの影盗み」もある。
これも近々読む予定。

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コメント 3

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2017-06-06 21:44) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2017-06-06 21:45) 

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2017-06-06 21:45) 

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