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「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」第二章 感想・・・のようなもの その7 [アニメーション]


※ネタバレ全開です。未見の方はご注意ください。

第六話「死闘・第十一番惑星」(前編)


■永倉さん登場

脱出シャトルで宇宙を彷徨う永倉さん。
彼女の記憶を辿って第5話の物語がスタート。


■奮戦・永倉曹長

第3話でクリスマスではしゃいでいたガミラスの女の子。
しかし彼女の目前に広がるのは地獄のような光景。

そして迫りくるガトランティスの殺人ドローン。
絶体絶命の彼女を救ったのは、空間騎兵隊の永倉さん。

「星巡る方舟」では、桐生美影の父・悟郎率いる
空間騎兵隊第7連隊の生き残りとして登場。

男ばかりの集団にあって紅一点という立ち位置で、
「方舟」のときは、おそらく
それ以上の意味はなかったであろう彼女だが
こうして続編の製作が始まり、忘れ去られずに再登場を果たした。
誠に目出度い。

そして、忘れ去られるどころかこの第6話では
冒頭では可憐な少女を救い、
生存者たちの希望を背負ってシャトルで脱出、
しかも敵艦隊の写真までしっかり撮り、
傷だらけの状態で古代たちの作戦会議に参加する。
彼女の存在が古代の決定を促したのは間違いない。

そして約束通り、援軍であるヤマトを伴って戦場に帰還する。
もう、ほとんど主役級の活躍ではないですか。

いやあ、私はすっかり彼女のファンになってしまったよ。


■ガトラン兵

夜明けと共に一般市民を襲い始める殺人ドローン。
立ち向かうは空間騎兵隊の古橋。
あえなくガトラン兵の自爆に巻き込まれてしまうが・・・

ガトランティス兵の自爆ってどういう条件で起こるのかな。
最初は、一定時間ごとに何らかの処置(投薬とか)を受けないと
起こるのかなあと思ってたんだが、第6話を観ていたら
バイタルサインが一定レベルを下回ったら起こるのかな、とも思った。

これは "ガトランティス人" というものを端的に示す設定だと思うので
どこかで詳しく説明がほしいところ。


■土方さん生死不明

第十一番惑星の司令官なのだから、
当然ガトランティスを迎撃したのだろうが
おそらく多勢に無勢、形勢の不利を悟って降伏を申し入れる。
全滅するまで戦うなんていう思考は持っていないんですね。
(民間人も多数いたんでしょうし)

ガミラスとの和解を実現した沖田のことを知っていますから
彼もまたガトランティスと意思の疎通ができると信じたいのでしょうね。

しかしガトランティスの指揮官コズモダードの反応は非情。
「降伏とは何だ?」「ならば戦って死ね」
「さすればこの星にも安寧が訪れる」
このへんがガトランティスの基本的な思考なのでしょう。

第1話での大戦艦といい、自爆する兵士といい、
メンタリティを地球人とほぼ同じくするガミラス人とは全く違う価値観。
最後までこれを貫き、理解不能・不倶戴天の敵同士として
最終回まで突き進むのか。
それとも、どこかの時点で分かり合える可能性を示すのか。

21世紀版のリメイクではそのあたりをどう扱うか。
今後のストーリーが楽しみですね。


■脱出

「戦って死ねだと!上等だ! だが民間人を巻き込むわけにはいかねぇ」
斉藤隊長、軍人の本分を弁えてますね。流石です。

そして永倉に脱出を命じ、救援を託す斉藤。
「まさか私が女だから?」
もちろん彼女が選ばれたのは、その軍人としての能力ゆえだと思うけど
斉藤たちの心の底には「彼女には生き延びてほしい」というのが
確かにあったと思うよ。
男ってのは、そういう生き物だから。


■ "理" よりも "情" を重んずる者たちの物語

今回、「第二章」を観ていて真っ先に思った感想がこれ。

テレサのメッセージに応えようとする古代。
それに同意する真田さんを初めとする旧ヤマトクルーたち。
藤堂や山南の心の内にもそれはあったと思うし、
この第6話における第十一番惑星の扱いを巡る
作戦会議にも端的に表れている。

合理的に考えれば、既に戦闘開始から40時間が経過、
そして惑星近くに展開する敵艦隊の規模は、ヤマト単艦では手に余る。
普通なら艦隊本部に任せて先を急ぐのが合理的判断だが・・・

「テレサのメッセージの真相を探るため、先を急ぐべきだ」
「目の前で溺れている者を見捨てるのは矛盾です」
正反対の意見を述べるキーマンと山本。
以前なら古代が口にしたであろう意見を山本が言う。
なぜならここでの古代は意見を言う立場ではなく
判断し、決定を下す立場だから。

そしてその古代に決定を促したのは、その場にいながら
ひと言も口を開くことのなかった永倉の存在。

「万に一つの可能性を信じて彼女は脱出してきた」
「その万に一つの可能性は、生きている者たちがいることを
 俺たちが信じることからしか始まらない」

まさに義理と人情の世界。
"浪花節" ならぬ "福井節" が炸裂してますねぇ。

 そういえば「浪花節」なんて言葉もめっきり聞かなくなったなあ。
 これもまた "昭和の香り" なんでしょうねえ。
 そして、そんな「浪花節」な古代に素直に感情移入できる、
 そんな私も "昭和の感性" なんでしょうねえ・・・

この作戦会議のシーン、
第二章でいちばん脚本が冴えてるところだと思ったよ。


■キーマンの立ち位置

これもだんだんはっきりしてきた。

ヤマトの艦内においては、「情」に流れがちなクルーに対して
あえて非情な「正論」を吐く役回り。

本来なら真田さんか新見女史の役回りなのだろうが
「2202」での真田さんは、
古代に次ぐくらい "熱い男" になってしまったし、
新見さんは負傷で、そもそも乗艦していないからねぇ。

対立する意見がある方が会議のシーンは盛り上がるし。
「それほどのリスクを背負って、のこのこと死体の回収に行くのか」
なんて丁々発止な言葉の応酬もいい。

そのおかげで、古代の
「万に一つの可能性は、おれたちが信じることからしか始まらない。」
という台詞も、より観客の情に訴えるものになる。

そして、反対意見を述べながらも
作戦にはきっちり協力するところがまた憎い。

文句だけ言って何もしなかったら観客の反感を買うばかりだが
戦闘に参加してしっかり戦果も挙げるので、嫌われることもない。
このあたりの計算はしっかりしているなあと思う。


(続く)

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「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」第二章 感想・・・のようなもの その6 [アニメーション]


※ネタバレ全開です。未見の方はご注意ください。

第5話「激突!ヤマト対アンドロメダ」(後編)


■藤堂の笑み

アンドロメダとの対決直後、太陽系内の全艦隊に通信が入る。
発信者は藤堂長官。
「ヤマトの追撃を中止せよ。反乱の嫌疑は晴れた」

出航時点では長官の制止を振り切って
武器も使用していたのだから、紛れもなく反乱。
だから「反乱の嫌疑が晴れた」ではなく、
「反乱扱いをやめる」というのが正しいんだろうけどね。

その背後にあったのはガミラス大使館からの "横槍"。
対外的にそんな発表はできないだろうしなあ。

そしてここでは、第一艦橋クルー全員で旧作式の敬礼。
藤堂も当然のような顔をしてるので、
やっぱりこれが2202年時点での正式な敬礼なのか。
モヤモヤはやっぱり晴れません。

この時、敬礼を返す藤堂が浮かべる笑みが
彼の心情を表してるのだろう。


■ローレン・バレル

現在までのところ、バレル大使は "いい人" のように描かれている。

デスラー体制を倒してくれたヤマトに
恩義を感じているのは事実だろうし、
藤堂への電話でも分かるように
心情的に古代たちを応援しているのも確かだろう。

しかし彼の忠誠心は、まずガミラスにあるというのも
間違いないところだと思う。

ガミラスが調査艦を出すより、
テレサに "呼ばれた" ヤマトクルーの方が、
テレザートの発見、そしてテレサへ接触できる確率は高いだろうし、
テレサの秘密とガトランティスの動静を入手できれば万々歳。

もっと言えば、テレザード探索に向かったヤマトが
途中で沈んでしまってもガミラスの懐は全く痛まない。

意地悪く解釈すれば、テレザードのこと、反重力特異点のことを
古代に話したのも親切心からではなく、
さりげなく反乱を煽ってるようにも思える。

いつ爆発するか分からない古代なら、
爆発の時期をこちらでコントロールしよう、って思惑。

木星圏からヤマトに向かう旧航空隊の前に
計ったようなタイミングで現れるキーマンといい、
地球連邦大統領と直談判して、
追撃艦(アンドロメダ)との全面的な交戦に入る前の
絶妙なタイミングでヤマトの安全を確保したバレルといい。

大統領相手の腹芸など朝飯前。
まあそうでなくては同盟国への駐在大使なんぞ務まらないだろうが。

しかも "アドバイザー" としてキーマンをヤマトに乗船させて。
もう、漁夫の利を狙ってるのがみえみえではないですか。

 テレザードへ向かうヤマトの後を、フラーケンの次元潜航艦が
 密かに追尾していても驚かないよ、私は。

それはネーミングにも現れていると思う。
物語のキーマンなのでキーマン少尉、
それと同じで、まさに "老練" なるバレル大使、というところか。

ちょっと裏を読み過ぎな気もするけど
それくらいの "仕込み" はあるような気もしてる。


■三者三様

心情的にはヤマトの発進・出航を認めてやりたいが
立場上それができない"上司"・藤堂。

行くのなら、俺とガチンコ勝負をして勝ってから行け、って
往年の少年マンガみたいな "先輩"・山南。

お前たちの旅立ちにはちゃんとした理由があるんだよ、って
いろいろなことを吹き込む "お節介おじさん"(笑)・バレル。
でもその陰ではちゃっかり自分に利益を持ってこようとしてる。
こんな人、あなたの周囲にも一人くらいはいませんか(笑)。

バレル、藤堂、山南。
それぞれ立場と思惑は異なっても
結果的にヤマトの旅立ちを認め、見送ることになる。

理想のために突っ走る若者を危惧しつつも、陰ながら背中を押してやる。
「第二章」はそんなオッサンたちの物語でもあったのだろう。


■沖田のレリーフ

アンドロメダ艦長室に飾られていた沖田のレリーフ。
山南の私物なのか、アンドロメダの備品なのか。

地球を救った英雄なのだから、備品として
地球防衛軍旗艦の艦長室にあってもおかしくないが。

そしてそれは、ヤマトへ転属となった
加藤・山本の教え子たちに託され、
ヤマト第一艦橋に設置されることになる。

旧作ファンからしたら感涙にむせぶシーンなのかも知れないが
私にとっては不安材料。もっと言うと「イヤな予感しかない」

なにせ「さらば」の終盤で
古代に語りかけてきたのがこのレリーフだからねえ。
また要らぬことを古代に吹き込まないか気が気でない。

以前の記事にも書いたが、私は「2202」を観るときは
旧作のことはひとまず横に置いといて
ヤマトの新作として楽しもうと思ってる、て書いた。

そしてそれは、ほとんどの場合はうまくいっているのだけど
時たま、旧作のことが頭をよぎってしまう。

第4話の時も書いたけど、"沖田の亡霊" のときとか
今回のレリーフの時とかのシーンを観ると
「ああ、『さらば』のリメイクなんだよなあ」
ということを思い起こさせるのだ。

まあ、いまから最終章のことを考えても仕方がないのだけどね。


■加藤合流

そしてついに加藤が合流。
ブースター付きのコスモタイガーがカッコいい。

 「ガンダム」に出てきそうなデザインだけど。

このブースターはワープもできるそうな。
このアイテム、後半の章でまた出番があるような気がしてる。

「これがヤマトだ。父ちゃんの艦(ふね)だ」

「父ちゃん」って言葉がじつに昭和の風情で涙が出てくる。

あ、コクピットに家族の写真を貼るのは止めようよ三郎くん。
それ典型的な死亡フラグだから。

七色星団会戦でそれをやっちまって
戦死した部下がいたことを思い出せー!(笑)


(続く)

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「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」第二章 感想・・・のようなもの その5 [アニメーション]

※ネタバレ全開です。未見の方はご注意ください。

第5話「激突!ヤマト対アンドロメダ」(前編)


■演習中のアンドロ軍団

地球防衛軍の主力艦隊は木星圏で演習中。
眼下にある木星の表面には巨大な "大白斑"。
ネットで拾った情報によると、これは4年前に
ヤマトが浮遊大陸に向けて波動砲を撃った跡らしい。

言われてみればなるほどで、このあたりも細かく設定されてるんだねえ。

そして艦隊から離脱する旧ヤマト航空隊。
総計8名とのことで、ちょっと少なくないかなぁとも思った。
加藤を入れても9名と、二桁に足りないんだから。

でも、太陽系の他の場所に配属されてる者や、
負傷とかのもろもろの理由で
退役したりパイロットを辞めてる者だっているだろうから
これくらいが順当なのかも知れない。


■加藤夫妻

まさか真琴ちゃんに泣かされる日が来ようとは。

「2199」ではお色気&ギャグ要員としての出番が多かった彼女だけど
母になってからの今作では、加藤の良き妻として描かれている。

第3話で、ヤマト発進の理由をいろいろ考えてみたけど
ここで真琴ちゃんが語る「順番だよ」って言葉が
いちばんすんなりと心に入って来る気がする。

女性の目から見たらまた違う意見もあろうかと思うが、
男目線で見ると実によくできた嫁になってる。

「カッコいい父ちゃんでいてよ」
この時の抱擁が、今生の別れになりませんように。


■キーマン参戦

アンドロ軍団を脱走したコスモタイガー隊を
アポロノームの航空隊が追撃する。

そこに現れたのが大使館仕様のツヴァルケ。
搭乗するのはキーマン。
撃ったのは照明弾かと思ったが
実は強烈な電磁パルスを発生する武器だったらしい。

レーダーもミサイルも使えない。使えるのは機銃だけ。
そうなんだけど、タマちゃんが撃つのはビーム砲だったりと
まったく容赦がありません。まさに "ねじ伏せて" ますね(笑)

追撃を振り切ってヤマトに到着して収容されるが
ついでにキーマンも割り込んでくる。

「乗せろ、いいから」
うーん、あの神谷ボイスで言われたら
なんだか逆らえないような気がするから不思議。

島の取りなしもあってヤマトに乗艦を果たす。
さて、彼の目的は何か。

第三章以降に向けてどんどん布石が打たれていく感じですね。


■回転防禦! アステロイド・ベルト!!

旧シリーズ第1作で使われたアステロイド・リングだけど
ここでこう使ってくるとは。

「2199」で出渕監督が
「使えるシチュエーションが思いつかなかったのでカットした」
って言ってた気がするが、
ヤマト発進直後で整備が十分でなく波動防壁が使えない、
という状況を設定することで見事に復活。
実際、ビジュアル化するととても面白い。

 アステロイド・シップ形状の艦首を見て
 「おお、デスシャドウ号!」って思った人は私だけではあるまい。
 こんなところにも松本零士リスペクトが。

アンドロメダの砲撃で次第に撃ち減らされていくのも良くできていて、
緊張感を盛り上げる。
ただ、CGを作ったスタッフはたいへんだったろうなあと思う(笑)。

たかがアステロイドを排除するのに
ずいぶん砲撃回数が多いなあって思ったが
アンドロメダに与えられた命令は「ヤマトを確保する(止める)」こと。
「撃沈せよ」ではないのだから、
ここでの主砲は出力をかなり抑えてあって、
ヤマトの足を止めることを優先してたと推察する。


■激突!

これ、よく見るとヤマトは真っ直ぐ進んでいて、
アンドロメダの方が横に動いて
押し切られている(道を譲っている?)ようにも見える。

実際は質量もエンジン出力もアンドロメダの方が上なのだろうから
逆になりそうな気もするが、演出上はこれが正しい。
古代、そしてヤマトクルーたちの
揺るぎない信念を示すシーンだろうから。

すれ違いざまに振り返る古代と山南。
これは「2199」での沖田vsドメルの再現なのだろう。
このとき、山南が最後に口もとを緩めてふっと笑うのがいい。


■山南のキャラ

旧作では、映画「ヤマトよ永遠に」でヤマト第三代艦長になったが
キャラデザはなんだか日焼けして太った(失礼!)土方みたいで
活躍シーンもほとんどなく、今ひとつ印象に残らなかった。

「2199」での山南は沖田や土方のもとで
「きりしま」の艦長を務めていて
なんとも飄々とした雰囲気を漂わせていた。
キャラデザも旧作とは大幅に変えられていて
このあたりは土方とのキャラかぶりを回避するためだろう。

それが「2202」第1話でなんとアンドロメダの艦長として登場。
厳めしいオーラを発散させていて「性格変わった?」って思った。

しかし今回は「浮世離れしていけませんな」とか
「ま、成り行きだよ」とかの台詞で、
ああ本質は変わってないんだなあ、と安心した。

第5話ではアンドロメダを率いてヤマトの前に立ちはだかり、
古代の挑戦を正面から堂々と受けて立つ。
沖田の後輩、って設定がリメイクでも生きていれば
古代にとっては "兄弟子" 的な立ち位置だといえるだろう。
「俺を突破するくらいの気概を見せろ」ってとこか。

そしてすれ違いざまにニヤリと笑い
「あんたの息子はとんだ頑固者だ、沖田さん」

心情的には、古代たちの気持ちもわからんではないが
立場上、すんなり通すわけにも行かない。
この対決で、山南は古代の覚悟のほどを試したのだろう。
旧作での影の薄さが嘘のような大活躍だ。

 ガトランティスとの決戦で生き残れたら
 リメイク第3シリーズで文句なくヤマト艦長になれそう。
 もっとも、ヤマトのリメイクは
 「2202」で終わり、って噂もあるらしいが。


(続く)

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「ヤマト2202」感想・・・のようなもの 番外編 「サブマリン707」と艦長の資質の巻 [アニメーション]


「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」第4話冒頭で、
波動砲の封印と乗組員の安全との間で悩む古代が描かれる。
ここのシーンを観ていて想い出したのが
「サブマリン707」の、とある場面。

今回はそれについて書く。


■少年自衛官

「サブマリン707」には、水早賢次・日下五郎・海野千太という
3人の少年が登場する。

707-2b.jpg
いずれも身寄りがなく、ブラジルへ移民する(時代だねぇ)途中、
乗っていた船がU結社によって撃沈され、「707」に救助される。

やがて3人は少年自衛官として教育を受けることになり、
そのまま「707」の正式な乗員となる。
賢次と五郎は小型潜航艇・ジュニアの操縦員、
千太は烹炊員(炊事係)として腕を振るうようになる。

707-2a.jpg
 「707」は "潜水艦もの" としては艦長の速水一佐が主役だが
 少年誌への連載だったため、この3人は
 読者の感情移入がしやすいキャラとして登場させたものと推測する。


■謎のムウ潜団

「サブマリン707」では、もちろん潜水艦同士の
壮絶な戦闘シーンが見せ場になるのだけど、
その合間合間に、人間のドラマも垣間見せてくれる。

第二部「謎のムウ潜団篇」は、海底王国「ムウ」を征服した
かつての米国海軍士官・レッド大佐が大潜水艦隊を建造し、
地上世界の支配のために乗り出してくるというストーリー。


太平洋航路を往く艦船をことごとく沈めようとするムウ潜団。
海の平和を守るべく、周辺諸国は戦力を投入する。
日本政府もまた、ムウ潜団壊滅のために
「707」を含む5隻の潜水艦隊を派遣する。
(僚艦は「717」「727」「737」「747」の4隻)

■南郷の決断

その中の一隻、「717」を預かる艦長は南郷二佐。
彼は第一部「U結社篇」では
「707」艦長・速水一佐のもとで副長を努めていた男だ。
いわば彼の一番弟子と言っていい。

南郷が指揮する「717」は
ムウ潜団相手に手堅い戦いぶりを見せるが
そのさなか、敵の潜水艦と衝突事故を起こし、
沈没の危機に見舞われてしまう。

しかしその敵艦こそ、
ムウ潜団の首領・レッド大佐の乗艦だったのだ。

↓手前側の「401」がレッド大佐の乗艦。奥の黒いのが「717」。

707-2c.jpg
目の前にレッド大佐がいることを知った南郷は苦悩する。
「717」が生還を諦め、レッド大佐と運命をともにすれば
彼を葬ることができる。
そうすれば太平洋に平和を取り戻すことができる、と。
「717」の副長も覚悟を決めている様子だ。しかし・・・

707-2d.jpg
そのとき南郷は、「717」に乗っている
二人の少年(賢次・五郎)のことを思い出す。

 彼らは「707」"一世" が撃沈された際に
 海底王国「ムウ」に捕われの身となり、
 そこから辛くも脱出してきた。
 その後、紆余曲折があって
 このとき
「717」に保護されていたのだ。

南郷は「707」の副長時代から、この二人とは顔なじみだった。

彼は気づく。
「こんな子どもにまで犠牲を押しつけることはできない」と。

さらに彼は「艦長とは如何にあるべきか」を考えるのだ。

707-2e.jpg
実は、私が長大な「707」の物語でいちばん印象に残っているのは
このシーンだったりする。
派手な戦闘シーンや艦長同士の手の内の読み合いよりも。

南郷は乗員の生命を優先し、戦場を離脱する道を選ぶ。


一方、海底に残されたレッド大佐の艦は浮上能力を失っており、
乗員たちは死を待つばかりになってしまうのだが
その時にレッド大佐が副長に下す命令がまたスゴイ。
これもまたある意味「乗員の命を守る」命令なんだが、
極限状態で冷静にこういう命令ができる大佐もたいしたものだ。

結局、レッド大佐たちは仲間によって救出され、
ムウ潜団が誇る最新鋭潜水艦「ブラック・ジャック」に乗り込んで
再び日本の潜水艦隊の前に現れることになる。


その「ブラック・ジャック」が繰り出す新兵器に翻弄されながらも
最後まで果敢に抵抗を続ける「747」艦長・磯崎二佐の奮戦、
そして最終決戦での「707」と「ブラック・ジャック」の一騎打ちなど
読みどころも満載。

「謎のムウ潜団篇」は、シリーズ中の最高傑作だと思うので
一読の価値はあると思う。


■艦長の資質とは

南郷の行動にも、いろいろ意見があるかも知れない。

実際、生き残ったレッド大佐は「ブラック・ジャック」を駆って
「707」の僚艦を沈め、多くの死傷者を出している。

しかし、「サブマリン707」という作品において
艦の運命を握っている「艦長」という存在はどうあるべきかは
この一連のシーンによく現れていると思う。

速水一佐、南郷二佐、レッド大佐以外にも、
「サブマリン707」には潜水艦、水上艦を含めて
綺羅星のように多くの艦長が登場する。

彼らは目的を達するため、敵を倒すため、乗組員を守るため、
極限状態の中で、自らの "規範" に従って
(「何を優先するか」と言い換えてもいい)
決断を下し、そして戦い、ある者は生き残り、
ある者は敗れ去って海の藻屑と化していく。

「サブマリン707」とは、そんな艦長たちの
"決断の物語" と言っても過言ではないだろう。


■名艦長

「フィクションにおける名艦長を3人挙げよ」と言われたら、
私はたぶん、
「宇宙戦艦ヤマト」の沖田艦長、
「終戦のローレライ」の絹見(まさみ)艦長、
そしてこの「サブマリン707」の速水艦長を挙げるだろう。

でも、この南郷艦長も忘れがたい一人だ。


■おまけ

アニメ、小説、マンガから一人ずつ挙げたので、
映画からも挙げておこう。

ここは何と言っても映画「眼下の敵」(1957・米/西独合作)でしょう。
アメリカ駆逐艦艦長マレル(ロバート・ミッチャム)と
ドイツUボート艦長シュトルベルク(クルト・ユルゲンス)。
この二人も別格かなあ。

序盤から中盤にかけての、
二人のチェスの名人同士のような手の読み合いも見応えがあるけど
終盤、絶体絶命の危機に陥ったマレルが繰り出す
起死回生の一手もシビれるし
何より、ラストでの艦長二人の決断、そして乗組員たちの
敵味方を越えた "人間ドラマ" が素晴らしい。

潜水艦映画、そして "艦長" を描いた映画の傑作である。
未見の方はぜひ。
一見の価値があると思う。


■おまけのおまけ

シュトルベルク艦長の副官の名は「ハイニ」。
そういえば「2199」で登場した次元潜航艦艦長・フラーケンの
副官もハイニさんでしたね。
このへんもわかってやってるんでしょうねぇ。

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「ヤマト2202」感想・・・のようなもの 番外編 「サブマリン707」とアポロ・ノームの巻 [アニメーション]


「宇宙戦艦ヤマト」第一作がTV放映されるおよそ10年前、
1963年から65年にかけて週刊少年サンデーに連載されていた
一本のマンガがある。それが「サブマリン707」である。


■「サブマリン707」とは

太平洋の平和を乱す "悪の組織" に、
海上自衛隊所属の潜水艦「707」が立ち向かう物語。

艦長は速水一佐。
第二次大戦時には伊号潜水艦の艦長を務めていた大ベテランで、
沈着冷静にして大胆、頭脳も明晰で
チェスの名人のように相手の手の内を読み、
その上を行く戦術を次々と繰り出していく。

主役である「707」は、第一部「U結社篇」では
"ドンガメ" とあだ名されるほどの旧式艦だった。

↓"ドンガメ"こと「707」
707-1a.jpg

しかし第二部「謎のムウ潜団篇」の冒頭、
速水たちが艦を離れた隙に敵の攻撃を受けて沈んでしまい、
代わって最新鋭潜水艦「707」"二世" が登場する。

 いわゆる "メインメカの乗り換え" というイベントが行われるなど
 今から考えても斬新な構成だ。

「707」二世は、数々の最新兵器を装備し、
さらには小型潜航艇 "ジュニア" を二隻搭載するなど
「ヤマト」の原型みたいな作品である。

↓いわゆるMk.IIメカ、「707」二世とその搭載潜水艦 "ジュニア"。
707-1b.jpg

私を含めて往年のファンなら、「707」という言葉から
思い浮かべるのは、この "二世" の方だろう。


■「アポロ・ノーム」

「ヤマト2202」に登場するアンドロメダ級三番艦「アポロノーム」。
艦名の発表当時、私と同世代かそれより上の人なら
「おお!」って思ったのではないか。

なぜなら同名の艦船が「サブマリン707」にも登場するのだ。
「707」での「アポロ・ノーム」とは、
アメリカが完成させた超巨大空母のことで
そのものずばり、第四部「アポロ・ノーム篇」で登場する。

三胴式の艦体は全長800m、各種ミサイル・ロケット弾を満載する。
707-1c.jpg

航空機1500機を収納し、大型戦略爆撃機すら離着艦可能。
しかも艦体が3つに分離して潜水航行まで行える。

707-1d.jpg
艦底部には潜水艦6隻格納し、

707-1e.jpg
フル装備するとアメリカ海軍の全戦力の1/3に相当するといわれる。

その「アポロ・ノーム」が、各国来賓を招いた公開試験航海の最中に
"エイモス・リーグ" を名乗る秘密結社に奪取されてしまう。

アメリカ政府はただちに「アポロ・ノーム」の追撃と撃沈を決定、
公試に招かれていた日本の「707」も、米国および他国の海軍とともに
「アポロ・ノーム」追撃に加わることになる。

紆余曲折の後、「アポロ・ノーム」を発見した「707」だが
最新鋭の武装を誇る「アポロ・ノーム」の戦力は未知数だ。
どう対処するかとの副長からの質問に、速水はこう答える。
707-1f.jpg

707-1g.jpg
そのとき「707」は、敵との中間地点に謎の "音波発信源" を発見する。

そして、「アポロ・ノーム」からの "発射音" をも探知する。

速水は、"発信源" が「707」の位置を探知して
それを「アポロ・ノーム」から発射された "誘導弾" に
伝えているとみて、"発信源" の破壊を決断する。
"発信源" のある地点へむけて、最大速力での突入を命ずるが・・・
707-1h.jpg
707-1i.jpg

ここ以外でも、作中で速水はたびたび
危機突破のために果敢な操艦を指示している。

まさに "死中に活"、沖田戦法の元祖のような人ですね。

この後、「707」は間一髪で発信源の破壊に成功、事なきを得る。

 実際のところ、誘導弾の方がどう考えても
 潜水艦よりも速いだろーっていうツッコミはおいといて(笑)

さらに「アポロ・ノーム」に肉薄する「707」。
いよいよ決戦の火蓋が切って落とされるかと思いきや・・・

この後、「アポロ・ノーム」は実に呆気ない最後を遂げるのだが
そこにはいろいろな "大人の事情" があったらしい。


不完全燃焼に終わった不運な "先代" に代わり、
「2202」での「アポロノーム」くんには
ぜひ先代の "無念" を晴らすような大活躍を期待するものです。

もっとも「2202」第二章までは、
艦載機が山本に撃墜されてしまうなど
いまのところ良いところがありませんけど(笑)。

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